キョンは中国南東部や台湾などに分布する小型のシカで、体高は40~50cm程度しかない。 体が小さいので、成獣でも、一見してニホンジカの子どものようにも見える。 体はややずんぐりとした感じで、四肢は短い。 体色は黄褐色や赤褐色で、腹側は淡くて黄色味が強く、鼻から頭頂にかけては黒っぽい色をしている。 角は雄だけがもっているが、長さは15cm程で、枝角になっている。 眼下腺はよく発達していて、これによって目が四つに見えることから、別名をヨツメジカとも呼ばれている。 また、キョンの雄の犬歯は牙のように伸びるが、雌では小さい。 主に森林地帯や低木のある草原などに生息していて、普段は単独で生活している。 時折ペアや小さな家族群で見られるが、ニホンジカなどのように群れをつくることはない。 早朝や夕方、夜間に活動し、他のシカのように草や木の根、木の葉、果実などを主に食べるが、キョンは雑食性で、ネズミなどの小型の哺乳類や、地上に営巣する鳥類などを捕らえることも知られていて、ニホンジカなどよりも食性が広い。 詳しい行動範囲は分かっていないが、キョンはイギリスやオランダなどに導入されていて、イギリスのものは雄の行動範囲が0.2~0.28k㎡程度、雌のものはこれよりも狭くて、一部は他の雌と重なっていると観察されている。 また、キョンは縄張り意識が強く、眼下線からの分泌物を木の枝などにこすりつけ、においをつけて縄張りを主張する習性がある。 鳴き声はイヌに似た大きな声で、ヒョウやウンピョウ、トラなどの外敵に出会ったときや、驚いたりして走り出すときには、ひづめで特殊な音を立てて仲間に警告する。 動きは素早く、身軽に草原や叢林を駆けることができる。 一夫多妻で、特定の繁殖期は見られないが、4~6月にかけて多く見られ、イギリスのものは10月下旬頃から3月にかけて多く見られる。 妊娠期間は7ヵ月程で、1産1~2子、普通は1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重1kg程で、2ヶ月程の授乳期間がある。 成長は早く、雌は6~7ヵ月、雄では9~12ヵ月程で成熟し、飼育下では15年以上の寿命をもっているが、野生では10~12年程度と考えられている。 この他、キョンには中国本土に分布する Muntiacus reevesi reevesi と M. r. jiangkouensis のほか、台湾に分布している M. r. micrurus の3亜種が知られている。 台湾に分布しているキョンは生息数が減少傾向にあり特定保護動物とされているが、中国南東部などでは普通に見られ、食用などに利用されることもあるほか、加工用に毛皮なども利用されている。 また、ヨーロッパの一部にも移入されているが、フランスなどでは飼育されていたものが逃げ出して野生化していて、国内でも、千葉や伊豆大島などでは動物園などから逃げ出したキョンが野生化し定着している。 イギリスやフランスに持ち込まれたものは、現在は見られないとも言われているが、国内のものは依然として生息数が多く、環境省では生態系への影響などが懸念されることから、タイワンジカやアライグマなどと同様、外来生物法で特定外来生物に指定しているが、キョンによる農作物への被害も報告されている。 シカ科の動物へ / このページの先頭へ |
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キョン(ヨツメジカ)