ドールシープはカナダのブリティッシュコロンビア州からアラスカにかけての北アメリカ北西部に分布する野生ヒツジの一種で、ロッキー山脈やアラスカ山脈などの山岳地帯や高地に生息している。 毛色は全身が白色をしているが、腹部などの他は褐色をしているものもいる。 雌は雄よりも体が小さいが、ドールシープは雌雄共に角をもっている。 雌の角は短くて、数センチ程度の細くてわずかに湾曲しているだけのものだが、雄の角は太くて、下の方にまわり込むようにひと回りしている。 長いものでは1mを超すものも見られるが、この見事な角がひと回りするように完成するには、およそ8年ほどもかかる。 また、その見事な角から、ドールシープは別名をドールビッグホーンと呼ばれることもあるが、この角は春や夏に成長し、秋の終わりから冬にかけては成長が止まるため、その年輪のようなリングの様子から年齢を推し量ることができる。 ドールシープは乾燥した険しい山岳地帯の急峻な岩山や崖などに生息しているが、動きは巧みで、岩場などを俊敏に移動する。 普段は雌雄別々の小さな群れをつくって生活していて、雌の群れにはその子どもたちが含まれている。 雄の群れでは、ふつうは角の大きなものがリーダーとなって群れをまとめている。 食物の多い夏場の間はさまざまな草類など食べるが、食物の少ない冬場には雪の下のコケ類なども食べる。 また、春には土壌のミネラルを求めて、移動しながらこれを補給することが知られている。 一夫多妻で、繁殖期は11月下旬から12月上旬頃に見られる。 この時期の雄は、雌をめぐって角を突き合わせるホーニングと呼ばれる争いをするが、この争いは激しく、10m程も離れたところから互いに突進していく。 角同士が衝突する音は1km離れたところでも聞こえると言われているほどで、繁殖期以外でも、優劣を決めたりする場合に行われる。 妊娠期間は6ヶ月程で、1産1~2子、ふつうは1子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は3~4kg程で、生後15~30分程で立ち上がり、1日の後には母親について歩くことが出来るようになる。 成長は早く、9ヶ月頃には27~30kg程の大きさになるが、子どもの死亡率は高く、最初の冬で40~50%が死亡するとも言われている。 雌は18ヵ月程で性成熟するとされているが、完全に成熟するには2年近くが必要で、3~4年で最初の出産が行われる。 寿命は10年程度と言われているが、飼育下では19年を超えたものが知られている。 ドールシープが環境の厳しい極端な山岳地帯などに生息しているのは、主に外敵から身を守る為であるが、それでもオオカミやコヨーテ、オオヤマネコ、クマなどに襲われることがあるほか、地域によっては肉や毛皮を目的とした狩猟の対象にもなっている。 また、環境が厳しい為、他の偶蹄類との競合がないことも、このような山岳地帯に生息している理由と考えられている。 尚、北アメリカの山岳地帯にはオオツノヒツジ (ビッグホーン) も生息していて、ドールシープはこれによく似ているが、体も小さく、別種である。 ウシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ドールシープ ( ドールビッグホーン)
White Sheep / Sheep dalli