ハイイロオオカミの亜種

ハイイロオオカミの亜種


動物図鑑・シンリンオオカミ

ハイイロオオカミ

食肉目 イヌ科
学 名 Canis lupus
英 名 Gray wolf / Timber wolf / Western wolf
分布域 ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の大部分など
生息環境 森林地帯や山岳地帯、半砂漠地帯など、地域によってさまざま
体 長 100~160cm 程度
尾 長 35~52cm 程度
体 重 25~50kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 亜種によっては絶滅危惧種

ハイイロオオカミの仲間は、主に北半球に幅広く分布しているが、その分、亜種も数多くに分かれている。
これまで様々に検討されてきて、現在は、絶滅種を含め37~39亜種とされているが、ここでは現存する主な亜種を挙げている。

但し、これらの亜種は更に検討が加えられていて、同種と考えられるものや、独立した別種とすべきものなど、再検討が進められていて、亜種の確定は今後の研究に委ねられている。

ところで、ハイイロオオカミをタイリクオオカミと呼ぶことがあるが、これはユーラシアに分布しているものを指している響きがある。

ユーラシアとオーストラリアに分布する亜種
Canis lupus lupus
(Eurasian wolf、Common wolf、Middle Russian forest wolf / ユーラシアオオカミ、ヨーロッパオオカミ、チョウセンオオカミ、シベリアオオカミ)
ヨーロッパからロシア、朝鮮半島、中国、モンゴル、ヒマラヤ山脈に至る、もっとも一般的な基亜種
C. l. albus
(Tundra wolf、Turukhan wolf)
フィンランドからカムチャツカ半島に至るユーラシアのツンドラ森林地帯に分布
C. l. arabs
(Arabian wolf / アラビアオオカミ)
イスラエル南部やイラク南部と西部、 オマーンやイエメン、 ヨルダン、サウジアラビアとエジプトの シナイ半島の一部に分布する小型の亜種
C. l. campestris
(Steppe wolf 、Caspian Sea wolf)
ウクライナ北部や南カザフスタン、コーカサス、トランスコーカサス地方などに分布する中型の亜種
C. l. chanco
(Tibetan wolf、Woolly wolf / チュウゴクオオカミ、チベットオオカミ)
カシミール地方からチベットやモンゴル、中国北部などに分布
C. l. dingo
(Dingo / ディンゴ)
オーストラリアに分布する亜種で、国際自然保護連合の絶滅危惧種(VU)に指定されている
C. l. pallipes
(Indian wolf / インドオオカミ)
インドからパキスタンやイラン、トルコ、サウジアラビア、イスラエル南部などに分布

北アメリカに分布する亜種
C. l. arctos
(Arctic wolf、Melville Island wolf / ホッキョクオオカミ)
カナダのメルヴィル島からエルメスミール島までの、 カナダ北極諸島に分布する中型の亜種で、ほぼ白い毛色をしている
C. l. baileyi
(Mexican wolf、Lobo / メキシコオオカミ)
ハイイロオオカミの中ではもっとも小さい部類で、現在はアメリカ合衆国のニューメキシコ南西部とアリゾナ州南東部などに再導入されている。絶滅危惧種(EN)
C. l. columbianus
(British Columbia wolf )
カナダのブリティッシュ・コロンビア州からアラスカ南東部
C. l. crassodon
(Vancouver Island wolf)
カナダのブリティッシュコロンビア州・バンクーバー島に分布。絶滅危惧種(EN)
C. l. hudsonicus
(Hudson Bay wolf)
カナダのハドソン湾北西海岸のノースウェスト準州に分布する白っぽい毛色の中型
C. l.occidentalisと同種とする場合もある
C. l. irremotus
(Northern Rocky Mountain wolf)
ロッキー山脈北部の中型から大型の亜種
C. l. nubilusと同種とする場合もある
C. l. labradorius
(Labrador wolf / ラブラドルオオカミ)
カナダのケベック州北部やラブラドル地方に生息する亜種
C. l. nubilusと同種とする場合もある
C. l. ligoni
(Alexander Archipelago wolf)
中型の亜種で、アラスカのアレクサンダー諸島に分布
C. l. lycaon
(Eastern timber wolf、Algonquin wolf、Deer wolf / シンリンオオカミ)
北アメリカ・五大湖地域の北東部する比較的小型の亜種
独立種とされる場合もあり、その場合の学名は Canis lycaon となる。
C. l. mackenzii
(Mackenzie River wolf )
カナダ北西部に分布
C. l. manningi
(Baffin Island wolf、Baffin Island tundra wolf )
ハドソン湾北部のバッフィン島と周辺の島に分布する小型の亜種
C. l. nubilus
(Great Plains wolf、Buffalo wolf、Dusky wolf、Loafe / グレートプレーンズオオカミ)
カナダ東部などに見られる中型の亜種
C. l. occidentalis
(Northwestern wolf、Mackenzie Valley wolf、Alaskan timber wolf、Canadian timber wolf、Northern timber wolf / シンリンオオカミ、アラスカオオカミ)
アラスカからカナダ西部、アメリカ合衆国のモンタナ州やアイダホ州、ワイオミング州などの北西部
C. l. orion
(Greenland wolf / グリーンランドオオカミ)
グリーンランドとクイーンエリザベス諸島に分布
C. l. pambasileus
(Yukon wolf、Autocrat timber wolf、Interior Alaskan wolf / ユーコンオオカミ)
北極のツンドラ地帯に分布
C. l. occidentalis と同種とする場合もある
C. l. rufus
(Rred wolf、Florida wolf、Mississippi Valley wolf / アカオオカミ、アメリカアカオオカミ)
東ノースカロライナ州東部に分布する絶滅危惧種(CR)
独立種とする場合もあり、その場合の学名は Canis rufus となる
C. l. tundrarum
(Alaskan tundra wolf、Barren-ground wolf / アラスカツンドラオオカミ)
ハドソン湾から北極圏へ向かう不毛地帯に分布

その他
C. l. familiaris
(Domestic dog / イヌ、イエイヌ)
従来はオオカミの近縁種とされていたが、現在はハイイロオオカミの一亜種と認識されている

上述したように、これらの亜種は再検討が加えられていて、例えば、シンリンオオカミ(C. l. lycaon)やアメリカアカオオカミ(C. l. rufus)は別種として扱われることも多い。

いずれにしても、亜種の確定は今後の研究を待たなければならないが、一部の亜種は生息数が激減していて、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに、絶滅危惧種として掲載されている。

*写真右下3枚は、チュウゴクオオカミ(C. l. chanco)。その他は、シンリンオオカミ(C. l. lycaon)


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