ビントロングはジャコウネコ科に属する動物で、別名をクマネコやクマジャコウネコとも呼ばれている。 インド北東部からバングラディシュ、ブータン、ミャンマーなどを経て、インドシナ半島やマレー半島などの東南アジアに分布しているが、インドネシアやフィリピンなどにも分布している。 いくつかの亜種に別けられるが、大きいものでは体長が1m近くになるものも見られ、ジャコウネコの仲間としては最大の種であると共に、本種だけでビントロング属を構成している。 全身は黒色で、体毛は長くて粗い。 また、毛先は赤褐色や灰色などをしているので、時にはそのような毛色に見えることがある。 頭部は幅広く、毛は体のものよりは短い。 耳は小さくて丸みを帯び、外縁は白く縁取られているが、耳の後ろから生えた毛で、ふさ毛があるようにも見える。 また、四肢は短く、それぞれに5本の指をもっている。 目は小さく、鼻づらも短いほか、体は雌の方が2割ほど大きい。 一見するとクマのように見えたりするが、尾は太くて体と同じくらい長く、毛も体のものよりも長くフサフサとしている。 この長い尾は筋肉がよく発達していて、食肉目としては珍しく、キンカジューのように尾の先は物に巻きつけることができるが、ビントロングは旧大陸では物に巻きつけることができる尾をもっている唯一の哺乳類とも言われている。 また、他のジャコウネコと同様、尾の下には臭腺をもっていて、樹木や木の葉などにマーキングをする習性がある。 ビントロングは、この尾を巧みに使って樹上を移動するが、木登りは大変うまい。 真っ直ぐに伸びた、ほとんど枝のないような木でも巧みに登っていき、降りるときも尾を木や枝に巻きつけて、頭を下にして降りていくことが出来る。 しかし、動きは慎重でゆっくりとしていて、ビントロングが跳躍するようなことはほとんど見られない。 密林や深い森林地帯などに生息していて、普段は単独か数頭からなる小規模な群れで生活している。 夜行性の動物で、時に日中も活動するが、昼間は木の洞の中などで休んでいることが多く、早朝や日暮れから食べ物を探して活動を始める。 行動範囲は4~20k㎡程で、食糧事情などによって変化するが、平均すると6~7k㎡程と考えられている。 この範囲はほかのものと重複しているが、ビントロングは縄張りを強く主張することなく、互いに相手を避けるような生活している。 主にイチジクなどの果実を食べるが、木の葉や新芽などのほか、昆虫やミミズ、カタツムリ、鳥や鳥の卵、小動物なども食べる。 また、主として樹上性であるため、食べ物なども樹上でとることが多いが、水に入ることも厭わず、地上に降りて魚などを食べることもある。 このほか、ビントロングは幼獣から飼育するとよく馴れると言われているが、性質は元来荒い。 決まった繁殖期は見られず、おそらく一夫一婦と考えられている。 妊娠期間は90日程で、1産1~6子、ふつうは2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は140~300g程で、目は閉じているが、毛は生え揃っている。 生後10日程で目が開き、6~8週間ほどの授乳期間がある。 雄は28ヵ月、雌は30ヵ月程で性成熟し、野生での寿命は15~18年程度と言われているが、飼育下では20~25年と考えられている。 また、繁殖は年に2回行われる傾向がある。 外敵はトラやヒョウ、ウンピョウやドール、アミメニシキヘビなどの大型のヘビ類などがあげられるが、これらの捕食者よりも、近年は森林の開発や破壊、密猟などによって、ビントロングの生息数は減少している。 現在は国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定され、保護されている状況になっている。 尚、ビントロングには9亜種が確認されている。 ・Arctictis binturong binturong (タイ南西部からマレー半島) ・A.b. albifrons (ヒマラヤ東部からブータン、ミャンマー北部、インドシナ半島) ・A.b. gairdneri (タイ北部) ・A.b. kerkhoveni (インドネシアのバンカ島) ・A.b. memglaensis (中国雲南省) ・A.b. niasensis (スマトラ島) ・A.b. pageli (ボルネオ島) ・A.b. penicillatus (ジャワ島) ・A.b. whitei (フィリピンのパラワン島) ジャコウネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ビントロング (クマネコ / クマジャコウネコ)