マヒワはアトリの仲間で、体はカワラヒワよりも小さく、主に冬鳥として各地に飛来する。 群れで生活していて、羽毛の色は雌雄でやや異なっているが、いずれも黄色い色がよく目立つ。 分布域 ヨーロッパから東アジアまで、ユーラシア北部に広く分布していて、気温の下がる冬には、アフリカ北部やユーラシア南部へ移動して越冬する。 国内では、北海道の針葉樹林帯などで少数が繁殖しているが、ほとんどは冬鳥として飛来する。 形態 マヒワはスズメよりは少し小さく、羽毛の色は雌雄でやや異なっている。 全長は11~13cm程度、翼を広げた翼開長は20~23cm程で、雄では上面が灰緑色や黄緑色のような色合いで、肩から背にかけては不明瞭な暗色の斑がある。 顔から胸にかけては黄色をしていて、腹は白っぽいが暗褐色の縦斑が見られる。 額から頭頂、目先や喉などは黒っぽく、羽にははっきりとした黄色い筋がある。 雌では全体に黄色みが淡く、胸の黒っぽい縦斑がよく目立つ。 また、雌雄ともに嘴は赤みを帯びていて、先は暗褐色をしているほか、目は暗褐色で、足は褐色や暗褐色をしている。 一見するとカワラヒワに似た感じがしないでもないが、マヒワは全体に黄色いので、すぐに見分けることができる。 生態・生活 国内では本州中部より北に多いが、西日本でも冬鳥として見ることができる。 繁殖期以外は群れで生活していて、冬に飛来した時には大きな群れが見られる。 平地から山地にかけての森林や林縁などに生息しているが、飛来した時の多くは山地で見られる。 冬が深まるにつれて低地に移動し、平野部の市街地周辺などでも、樹木が多い公園であれば見ることができる。 主に樹上で活動し、採餌の多くも樹上で行うが、ときには地上でも採餌する。 繁殖期には昆虫類なども食べるが、主に木の実や種子、芽などの植物質のものを食べる。 カバノキ科の実や種子を好むと言われているが、マヒワは様々な植物を食べ、タンポポやヨモギの種子や耕作地で穀類なども食べる。 ところで、「鶸色(ひわいろ)」という色は、マヒワの色のような緑がかった黄色のことを指しているが、「マヒワ」は漢字表記で「真鶸(弱+鳥)」と書かれる。 これは、マヒワが飼育下ではよく育たないことから付けられていると言われているが、はっきりしたことは分からない。 繁殖・寿命 マヒワは主にユーラシア北部で繁殖するが、国内でも、北海道の針葉樹林帯などで少数が繁殖している。 繁殖期は4~7月頃で、繁殖は一夫一婦で行われる。 このペアは渡りの前の冬季に形成され、繁殖地では、ふつうは針葉樹の高い枝に営巣する。 巣は小枝や乾燥した草、苔などを用いてお椀状の巣がつくられ、巣の周りには縄張りが主張される。 しかし、縄張りは狭く、2~3のペア、多いと5~6程のペアの巣が適当な距離を置いてつくられ、緩やかなコロニーを形成している。 雌は16x12mmほどの卵を2~7個ほど産卵し、抱卵も雌が行う。 卵は10~14日ほどで孵化し、2週間ほどで巣立ちできるようになる。 その後もしばらくは親と一緒に生活し、ひと月を過ぎるころには独立していく。 飼育下での寿命は10~14年程度と言われているが、野生下では2~3年と考えられている。 しかし、飼育下で10~14年ほどの寿命があるということは、生得寿命もそれほどの長さはあるはずなので、野生下で2~3年というのは、あまりにも短すぎるように思ったりする。 保護状況・その他 マヒワは分布域が広く、生息数も多いことから、国政自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。 国内でも冬には多数が飛来し、西日本でも見ることができる。 尚、マヒワよりも分布域の狭いカワラヒワには幾つかの亜種が認識されているが、マヒワは分布域が広いにもかかわらず、亜種は認識されていない。 アトリ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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マヒワ