ジョウビタキ

ジョウビタキ さんのプロフィール


鳥類・ジョウビタキ

ジョウビタキ

スズメ目・ヒタキ科
学 名 Phoenicurus auroreus
英 名 Daurian redstart
分布域 アジア東部に分布し、国内では冬鳥として見られる
生息環境 森林や疎林、耕作地など
全 長 14~15cm 程度
翼開長 22~23cm 程度
体 重 11~20g 程度

ジョウビタキはスズメ大の小鳥で、国内では主に冬鳥として見られる。
雌雄で羽毛の色が違っているが、雄の腹は綺麗なオレンジ色で、鮮やかな色をしている。


分布域
ジョウビタキはアジア東部に分布していて、夏にはバイカル湖からアムール川流域、モンゴルから中国北東部、朝鮮半島などで繁殖し、冬には日本や台湾、中国南部、インドシナ半島などへ移動して冬を過ごす。

国内には冬鳥として各地に飛来しふつうに見られるが、一部の地域では繁殖が観察されている。


形態

体はスズメほどの大きさで、羽毛の色は雌雄で異なっている。
雄の頭頂は灰色で、光によっては暗い銀色のようにも見える。
顔と喉は黒く、腹側は胸から尾にかけて綺麗なオレンジ色をしている。
翼は暗褐色や黒褐色で、白い斑がよく目立つ。

雌では全体に淡い褐色や茶褐色のような色で、腹から尾にかけては淡いオレンジ色で、雄と同様、翼には白い斑が見られるが、やや小さい。
また、雌雄いずれも嘴と足は黒い色をしている。


生態・生活

ジョウビタキは、国内には主に冬鳥として飛来し、10月の中頃から翌年の3月頃まで見られる。
繁殖期以外は単独で生活しているが、時には数羽の群れで見られることがある。

平地から低山地の森林などに生息しているが、河川沿いの疎林や耕作地でも見られる。
開けた環境を好むようで、森林では林縁で見られ、樹木があれば市街地の公園でも見られる。
また、時に海岸近くの雑木林や庭先にも現れ、冬には様々な環境でふつうに見られる。

しばしば住宅地でも見られるが、あまり人を恐れないようで、ある程度の距離まで近づいても逃げるようなことがない。
しかし、縄張り意識は強く、雌雄ともに縄張りをもった生活をしていて、冬に飛来した時には、2羽が争っている様子も観察される。

一方、雄がいれば近くで雌の姿を見ることができ、その逆もしばしば見られるので、それらの雌雄は繁殖期にはペアではないかと考えたりする。

雑食性で、昆虫類やクモ類、ミミズなどを食べるが、カラスザンショウやマユミ、エノキやコムラサキ、ヒサカキなどの果実を食べる。

さえずりを聞く機会は少ないが、「チチルリ、チチルリ」のように聞こえ、冬季には枝先などにとまって、「クワックワッ」、「ヒッヒッ」などのように聞こえる声で鳴く。

ところで、「ヒタキ」の名前は、江戸時代の和漢三才図絵にも「俗云比大木」と書かれているので、この頃には一般に「ひたき」と呼ばれていたのだろう。
ただ、「黃鶲(キビタキ)」の記述はあるが、書かれている図絵はキビタキでなく、ルリビタキやサメビタキのようにも見えるので、「ヒタキ類全般」を記述しているのだろう。(絵はジョウビタキには見えない)

この「ひたき」は、ジョウビタキの地鳴きの声が「カッ、カッ」と火打石を打ち合わせる音に似ていることから、「火焚き(ひたき)」と呼ばれるようになったと言われているが、三才図絵の絵がジョウビタキに見えないことが気にかからないこともない。

「ジョウ」は、高齢の男性のことで、かつては「翁」や「尉」と呼ばれていたので、ジョウビタキの雄の頭部が白髪のように見えることから「ジョウビタキ」と呼ばれるようになったと言われている。
また、「尉」は律令制の衛門府などの三等官を指しているが、この三等官の被り物を指しているのかもしれないと思ったりもするが、詳しいことは分からない。


繁殖・寿命

国内では主に冬鳥として飛来し、夏はバイカル湖からアムール川流域、モンゴルから中国北東部、朝鮮半島などで繁殖が行われると考えられているが、国内でも北海道や長野、岐阜や兵庫、岡山などの一部でも繁殖が観察されていて、繁殖地は拡大傾向にあると言われている。

繁殖は4月頃から夏にかけて見られ、夏の繁殖地では標高の高い山地の森林などで繁殖する。

巣作りは雌雄で行われ、巣は樹洞や崖の窪みなどにつくられるが、時に家屋の隙間などに営巣することもある。
巣は直径13cm、高さ7cm程のお椀型で、細根や苔類、草本の茎や葉などでつくられ、中には獣毛などの柔らかい素材が敷かれている。

雌は1日に1個を産卵し、5~7個ほどの卵を産む。
卵の大きさは18×14mm程で、最後の卵を産むと抱卵をはじめるが、抱卵は雌が行うことが多い。

卵は12~14日程で孵化し、育児は雌雄によって行われ、ヒナは2週間ほどで巣立ちするが、寿命については、飼育下、野生下ともに詳しいことは分かっていない。


保護状況・その他

ジョウビタキは東アジアに広く分布していて、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。
国内でも、冬には各地でふつうに見られ、馴染みのある冬鳥でもある。

尚、ジョウビタキには次の亜種が認識されている。

Phoenicurus auroreus auroreus
バイカル湖辺りからモンゴルを経てアムール川流域や中国北東部、朝鮮半島などで繁殖する基亜種で、冬は日本や台湾、中国南東部などで越冬する。

P. a. leucopterus
夏はインド北東部やチベット、中国東部などで繁殖し、冬にはヒマラヤ東部やインドシナ北部などへ移動する。


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