アオジ

アオジ さんのプロフィール


鳥類図鑑・アオジ

アオジ

スズメ目・ホオジロ科
学 名 Emberiza personata
英 名 Masked bunting
分布域 千島列島から日本
生息環境 低地から山地にかけての森林や疎林、藪など
全 長 14~17cm 程度
翼開長 21~23cm 程度
体 重 16~25g 程度
自治体によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧種など

アオジはホオジロ科の小鳥で、以前はシベリアアオジ(Emberiza spodocephala sordida)の亜種(E. s. personata)とされていたが、現在は別の独立種として認識されている。
名前のように、全体に緑色を帯びたような色をしていて、国内では季節移動しているが、各地で見ることができる。


分布域
アオジは樺太から千島列島、日本国内に分布していて、夏には北海道や本州中部より北で繁殖し、気温の下がる冬には、本州中部より南へ移動して冬を過ごす。
また、冬季には北方で繁殖したシベリアアオジが一部飛来してくる。


形態

全長は16cm程度、翼を広げると22cmほどで、スズメよりは少し大きく、ホオジロやホオアカと同じほどの大きさがある。

雌雄はやや色が違っていて、雄の頭部は灰色がった暗緑色で、目先は黒っぽい。
背から腰に掛けては灰緑色から茶褐色のような色合いで、翼も背側と同じ色をしているが、暗色の帯と白っぽい帯が見られる。
下面はやや緑がかった黄色で、脇には暗色の斑がある。

また、雌は全体に雄よりも淡く、目の上には黄色の帯(眉斑)がある他、雌雄ともに喉の辺りは黄色い色をしている。

一見するとノジコと似ているが、ノジコの目の周りは白く、下面は黄色をしている。


生態・生活

夏は北海道の海岸付近の草原や山地の低木林など繁殖し、本州では中部より北の山地で繁殖している。
冬には積雪の少ない西日本などへ移動し、低木の生えた草地や藪、疎林などに生息している。

冬季は単独でいることもあるが、小さな群れで生活していて、平地から丘陵地、低山地にかけて見られ、低木林や河川、湖沼周りの藪などでも見られる。
また、耕作地のほか、樹木があれば市街地の公園でも見られ、時に庭先にも姿を現わしたりする。

比較的明るいところを好み、森林などでは林縁に多いが、主に地上で植物の種子や果実などのほか、昆虫類などを食べる。

地上ではスズメのように二足とびで移動するが、藪などに隠れていることも多く、「チッチッ」という鳴き声で気づくことも多い。

ところで、かつてはホオジロ科の鳥の一部は「しとと」、「しとど」などと呼ばれていて、アオジは「あをのしとど」と呼ばれていたようである。

これが簡略化され「あおじ」になってと言われているが、江戸時代の和漢三才図絵にも、「鵐(しとと)」の他に「蒿雀(あをじ)」の項があり、「蒿雀は鵐に似て、青黃色を帶ぶ。故に、俗、呼んで「青鵐(あをじ)〕」と曰ふ。阿乎之止止(あをのしとど)、畧して「阿乎之」と曰ふ」と、概ねそのような記述が見られる。


繁殖・寿命

繁殖期は5~7月頃で、一夫一婦で繁殖する。
この時期の雄は縄張り意識が強く、高い木の枝にとまって「チーチュルリー」や「チョッピーチョッ」などとさえずっている。

ペアが形成されると、林や藪の中などに巣がつくられ、巣作りは雌が行う。
巣は地上から1~2m程の低木の枝の上などにつくられるが、地面の上に営巣することもあり、イネ科などの植物の茎や葉などを用いて、お椀状のものがつくられる。

巣の周りには縄張りが主張され、雌は3~6個ほどの卵を産み、抱卵は雌によって行われる。
卵は12~14日程で孵化し、育児は雌雄によって行われる。
ヒナは2週間ほどで巣から離れるが、その後もしばらくは親と一緒に生活している。

また、野生下でのアオジの寿命は、足環による標識調査で14年を超えたものが確認されている。


保護状況・その他

国際自然保護連合(IUCN)などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。

しかし、アオジの分布域はほぼ日本国内に限られていて、生息数の増減が心配されている。
一部の地方では生息数が減少している地域もあり、自治体によっては絶滅危惧種や準絶滅危惧種などに指定している。

尚、アオジは、以前はシベリアアオジ(Emberiza spodocephala sordida)の亜種(E. s. personata)とされていたが、形態学的および遺伝的差異などに基づいて、現在は別の独立種として認識されている。

また、従来のアオジには、次の亜種が認識されている。

Emberiza spodocephala sordida
「シベリアアオジ」とも呼ばれている基亜種で、中央アジア辺りから中国東部、台湾などに分布

E. s. sordida
インドから中国西部、インドシナ半島など


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