オナガはカラス科に属していて、名前のように長い尾が特徴になっている。 住宅地や人里近くで見られ、遠望していても、長い尾ですぐに分かる。 分布域 国内では、北海道を除く、本州の中部辺りから北に留鳥として分布しているが、オナガはモンゴルや中国、朝鮮半島やシベリア南部など、東アジアに広く分布している。 また、以前はヨーロッパのイベリア半島やフランス南西部にも亜種が分布しているとされていたが、現在、この地方のものは別種として認識されている。 形態 体の大きさはムクドリほどだが、名前のように尾が長いので、全長は37cm程の長さがあり、翼を広げると40cm程の長さがある。 名前のよく似た「エナガ」も尾が長いが、体はスズメ程の大きさなので、オナガの方がずっと大きい。 雄の方がやや体は大きいが、雌雄ともに同色をしている。 頭部は上半分ほどが黒く、下半分ほどは白っぽい色をしているが、よく見ると黒い部分は濃い紺色をしている。 嘴は黒くて尖り、脚も黒い色をしていて、目は暗褐色で黒っぽい。 腹と背中は淡い灰色をしているが、長い尾は灰色がかった水色で、先は白く、翼の一部も同じような水色をしている。 生態・生活 オナガは植物がよく茂る密な森林などは避ける傾向があるが、平地から山地にかけての明るい林や茂みなどに生息していて、標高1600m辺りまで見られる。 開けた環境を好み、河川や湖沼周辺の雑木林などのほか、耕作地や樹木があれば都市部の公園などでも見られる。 住宅地で見られることもあり、国内でも人里近くに多く、住宅地や耕作地周辺の疎林、果樹園、屋敷林などで見られる。 群れで生活していて、この群れは家族単位や複数の家族が集まった家族群から形成されている。 時には大きな群れをつくり、冬には家族群が集まった大きな群れになっていることも多いが、警戒心が強いのか、樹上の高いところにいることが多い。 オナガは縄張りのような行動範囲をもっているようで、時には地上で採餌するが、採餌は主に樹上で行われ、昆虫類やクモ類、ミミズ類、木の実や種子などの他、鳥の雛や卵なども食べる。 地上では長い尾を上げて飛び跳ね、落ち葉などひっくり返して餌を探している。 また、都市部では、カラスのように生ゴミをあさることもあり、ドングリや種子などを土の中に保管する習性があると言われている。 繁殖・寿命 繁殖期は4~6月頃で、繁殖は一夫一婦で行われる。 営巣は緩やかなコロニーをつくって行われ、巣は樹上や木の洞などを利用してつくられるが、時に地上につくられることもある。 ふつうは1本の木にひとつの巣がつくられ、雄は巣材を運び、巣作りは主に雌が行う。 巣は木の枝や細根などをもちていて椀状のものがつくられ、中には獣毛や柔らかい植物の素材が敷かれている。 雌は5~9個ほどの卵を産み、抱卵は雌が行う。 抱卵期間は15~20日程で、雛は約16~19日程で巣から離れるが、前年に生まれた若い者が、しばしば育児を手伝うことがある。 ヒナはその後も2~3週間ほどの間は群れの中で保護されているが、オナガの巣にはカッコウが托卵することがある。 外敵はカラスやワシタカ、フクロウなどの猛禽類、大型のヘビやネコなどだが、外敵が近づくと、コロニーのものが集団になって外敵から守ることをする。 警戒時には「ギューイ、ギューイ」のような尻上がりの大きな声を上げるが、ペアの間などでは「キュルルル」、「チュルチュル」などの可愛い声で鳴いている。 また、飼育下での寿命は、国内で6年を超えるものが記録されているが、野生下では5年程度と言われているものの、詳しい寿命は分かっていない。 保護状況・その他 国内に分布しているものは分布域が減少傾向にあり、1970年代までは本州全土や九州の一部にも生息していたが、1980年代以降では、西日本では見られなくなっている。 その原因などは分かっていないが、関東平野や長野県では多く、一部の地域では生息数が増加しているとも言われている。 また、オナガは分布域が広く、大陸に分布しているものは多くの地域で生息数が増加しているようで、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 尚、オナガには次の亜種が認識されている。 Cyanopica cyanus cyanus モンゴル北西部からロシア南東部、中国南東部から北東部などに分布する基亜種 C. c. interposita 中国・陝西省 C. c.japonica 日本 C. c.kansuensis 中国・甘粛省や青海省、四川省など C. c.koreensis 朝鮮半島 C. c. stegmanni 中国北東部の満州地方 C. c. swinhoei 遼寧省から福建省、四川省などの中国東部 また、イベリア半島に分布しているものは、かつては亜種とされていて、長い間、ユーラシアの東西に分かれて分布しているのが疑問でもあった。 しかし、その地方のものは、現在は別種・ Cyanopica cooki として認識されている。 カラス科の鳥へ / このページの先頭へ |
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オナガ