モズは、秋になると低地へ降りてきて、開けた疎林のほか、市街地の公園などでも見ることができる。 冬になると北のものは南へ移動するが、秋冬には、国内の多くの地域でふつうに見られる。 分布域 モズは日本国内のほか、朝鮮半島やロシア南東部、樺太や千島列島、中国の甘粛省などに分布していて、台湾やベトナムなども迷鳥として記録されている。 国内では九州から北海道まで各地に分布しているが、北のものは、冬には南へ移動して冬を過ごす。 形態 体はムクドリよりは小さいが、スズメよりは大きく、全長は19~20cm程度、翼を広げた長さは27~28cm程にはなる。 頭部は大きくて尾はやや長く、嘴は黒っぽく、先は鉤状に曲がっている。 雌雄ともに同じような色をしているが、やや異なっている。 雄の頭部は赤褐色のような色で、背面は青みを帯びた灰色のような色をしている。 脇は頭部よりも淡い褐色で、腹側は更に淡い色をしている。 また、翼には小さな白い斑が見られ、目を通る黒い筋(過眼線)がある。 雌では全体に淡い色で、目を通る過眼線も薄い色をしている。 また、下面には波のように見える細かい模様が見られる。 生態・生活 国内では多くの地域で一年を通して見られ、繁殖期以外は単独で生活していて、雌雄ともに縄張りをもった生活をしている。 森林や二次林、河畔周辺の雑木林などに生息しているが、秋頃になると平地へ降りてきて、耕作地や樹木のある公園、寺社の樹林などのほか、時に住宅地でも観察される。 開けた環境を好むようで、森林では縁に多く、公園の樹木でもよく枝先にとまっていて、住宅地の電線などにもとまっている。 昆虫類やクモ類、ミミズや甲殻類などの動物質のもの食べるが、モズは小さいながらも猛禽類でもあり、両生類や爬虫類、小型の鳥類やネズミなどの小型哺乳類など、様々なものを食べる。 地上で採餌していることもあるが、ふつうは樹上などから獲物を探し出し、地上でとらえた獲物を再び樹上に上げてから食べている。 また、モズの仲間には「早贄(はやにえ)」と呼ばれる習性が見られ、これはとらえた獲物を木の枝に突き刺したり、木の股に挟んだりするもので、「秋の初めての獲物を生け贄として奉げる」という言い伝えからそのように呼ばれている。 これによって、大きな獲物を引き裂いて食べやすくすることができるが、中には食べられずにそのままのものも見られる。 その後にほとんどのものは食べられるようだが、「はやにえ」を行う理由ははっきりとは分かっていない。 食べ物の貯蔵や縄張りの主張など、幾つか考えられているが、詳しいことは今後の研究が待たれる。 繁殖・寿命 モズの繁殖期には幅があり、2~8月頃に見られるが、この間に2回繁殖することもある。 巣は樹上や藪の中に木の枝などを組み合わせた皿状のものがつくられる。 雌は2~6個ほどの卵を産み、抱卵は雌が行う。 卵は14~16日ほどで孵化し、ヒナは2週間ほどで巣を離れるようになる。 その後も2~3週間ほどは親と一緒に生活していて、やがて若いものだけの群れをつくるようになる。 また、モズの巣にはカッコウが托卵することもあるほか、卵やヒナは外敵であるカラスや大型の猛禽類やヘビに襲われることがあり、時にイタチやクマネズミに襲われることもある。 飼育下での詳しい寿命は分からないが、野生下では、足環による観察で8年を超えたものが確認されていて、未確認だが、12年を超えたものもいると言われている。 保護状況・その他 モズは、現在のところ絶滅の恐れはないとされていて、国内でもふつうに見られる。 しかし、国内の地域によっては生息数が減少していて、自治体によっては絶滅危惧種などに指定している。 尚、モズには次の亜種が認識されている。 Lanius bucephalus bucephalus 日本や朝鮮半島、ロシア南東部などに分布する基亜種 L. b. sicarius 中国西中部の甘粛省に分布 ところで、「モズ」の名前は、平安中期に編まれた「和名類聚抄」には「鶪」で見られ、「伯労(はくろう)なりと云ふ。日本紀私記に百舌鳥と云ふ」と書かれている。 日本書紀にも「百舌鳥耳原」の地名が見えるので、モズは随分古くから馴染みのある鳥であったのだろう。 名前の由来は、モズは「さまざまな鳥(百の鳥)の鳴き声に似た囀りをする」ことから付けられていると言われている。 モズ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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モズ