背側が黒色、腹側が白色にはっきりと色分けされているクイナの仲間で、沖縄地方では留鳥として見られる。 水辺の茂みに隠れている子が多いが、開けた耕作地に出てきて採餌していることもある。 分布 シロハラクイナはパキスタン東部からインド、中国南部、日本や東南アジアなどに広く分布していて、幾つかの亜種も認識されている。 国内では、沖縄地方では一年を通して生息しているが、鹿児島などでも夏に繁殖していると言われている。 形態 体はキジバトやバンほどの大きさで、本州などで見られるクイナよりもひと回りほど大きい。 全長32~33cm前後、翼を広げた長さは40~50cm程で、頭部から背にかけての上面はほぼ黒いが、名前のように、顔から腹にかけては白い色をしている。 脇には黒っぽい横斑があり、下尾筒は茶色をしているほか、嘴は黄緑色をしているが、上嘴の基部は赤っぽい色をしている。 また、雌雄ともに同じ色をしているが、体は雄の方が少し大きい。 生態・生活 シロハラクイナは分布域のほとんどの地域では留鳥で、国内でも、南西諸島では一年を通して見ることができる。 単独やペアで生活していて、湿地や湖沼、河川などの水辺周辺に生息している。 ほとんどは淡水域で見られるが、淡水がないところではマングローブ林のある汽水域や海岸付近にも生息している。 また、平野部に多いが、標高1300~1500m程の高地にも生息していて、垂直方向の生息域も広い。 採餌は水辺で行われることが多く、小魚や水生昆虫、カエルなどの両生類や多毛類などを食べるが、穀類や植物の種子なども食べる。 茂みに隠れていることが多いが、早朝や夕方には活発に活動する。 低木に上ることもあり、夜間は樹上で休むことが知られている。 また、葦原などに隠れていて、あまり姿を見せないクイナよりも、シロハラクイナは耕作地などの開けたところでも見られ、時には交通量の多い道路脇の水路で見られることもある。 繁殖・寿命 繁殖期は地域によって差があるが、主に6~10月頃にかけて見られる。 沖縄地方での繁殖期は2~10月と言われていて、繁殖期間が長いこともあり、年に2~3回繁殖するものも見られる。 交配は一夫一妻で行われると言われていて、巣は湿地内の藪の中などにつくられ、巣の周りには縄張りが主張される。 この巣は枯れ草などを用いた皿状のもので、乾燥した地面や、やや高さのある草の上や低木の上につくられる。 雌は4~8個、ふつうは6~7個ほどの卵を産み、抱卵は雌雄によって行われる。 卵は3週間ほどで孵化し、ヒナはすぐに歩くことができる。 ヒナはひと月ほどで親と同じほどの大きさになるが、シロハラクイナは、卵が孵化すると縄張り内に新たな巣をつくることが知られている。 この巣は産卵用の巣よりも大きく、どちらかの親がヒナと同じ巣をねぐらにしていることから、ヒナの生存率は高いと考えられている。 外敵は大型のヘビなどが挙げられるが、寿命については分かっていない。 飼育下では15年ほどの記録があるとされているが、野生下での詳しい寿命は分かっていない。 保護状況・その他 シロハラクイナは分布域が広く、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。 国内でも、徐々に分布域を北に広げているとも言われていて、生息数の減少は特に心配されていない。 尚、シロハラクイナには次の亜種が認識されている。 Amaurornis phoenicurus phoenicurus (または A. p. javanica) 南アジアや東南アジア、フィリピン諸島や日本に分布する基亜種 A. p. insularis ベンガル湾のアンダマン諸島と南ニコバル諸島 A. p. leucocepalus アンダマン・ニコバル諸島にあるカーニコバル島 A. p. midnicobaricus 中央ニコバル諸島 クイナ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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シロハラクイナ