アナグマの仲間は、ヨーロッパからアジアまで、ユーラシア大陸の温帯から寒帯域にかけて広く分布しているが、ニホンアナグマは、北海道を除く、本州・四国・九州に分布している。 体は幅広く頑丈で、毛色は背側が灰褐色や褐色などで、腹部と四肢は黒っぽい。 四肢は太くて短いが、いずれも5本の指があり、特に前肢の爪は強力で、地面を掘るのに適している。 体の大きさは地域によって差があるが、平均すると体重12~13kg程で、大陸のものよりは小さい。 一見してニホンタヌキに似ていているため、同じようにムジナと呼ばれたりすることもあるが、両眼の周辺は黒褐色で、その間は白っぽい。 また、タヌキはイヌ科に属していて、ニホンアナグマはテンやラッコなどと同じイタチ科に属している。 ニホンアナグマは山地の森林や雑木林などに生息しているが、さまざまな環境に適応していて、里山や標高1400m程の高地でも姿を見せる。 成熟した雄は普段は単独で生活しているが、雌とその子どもたちは家族単位で生活している。 主に夜間に活動し、ミミズや昆虫類、カエルやトカゲ、モグラやウサギ、鳥などのほか、果実や木の根、木の実、穀類など、何でも食べる。 巣穴は地面を掘って作られ、大きいものでは複数の入り口を持ち、家族によって何世代にも渡って使用される。 この間に内部は複雑に繋がり、様々な部屋が作られる。 単独で生活しているものなどは規模の小さな巣穴を作るが、同じ巣穴を長くは使わず、使われなくなった巣穴はキツネなどが利用することもある。 温暖な地域に生息するものは冬でも活動するが、ニホンアナグマは温度が下がる冬季にはクマのように冬眠する。 冬眠する期間はおよそ2ヵ月前後と言われているが、地域によって差があり、寒冷地では3~5ヵ月程冬ごもりするとも言われている。 平均気温が10℃を超える頃には活動をはじめると考えられているが、体重の季節変動が大きく、冬眠などに備えた秋頃の体は大きく、春頃に比べて1.9倍程になるものも見られる。 また、ニホンアナグマにはタヌキと同じように、驚いたり外敵に襲われそうになったときなどは、動かずにじっとして擬死、所謂「タヌキ寝入り」する習性がある。 繁殖期は4~8月頃に見られるが、地域によって差がある。 一夫多妻、或いは雌雄共に複数のものと交配するとも言われていて、雌はふつう1~3子を出産する。 また、受精卵は遅延着床がみられるため、妊娠期間は約1年間に及ぶことがある。 生まれたばかりの子どもの体重は平均80g程で、4~6週間ほどの授乳期間がある。 雄は遅くても2年程で群れを離れていくが、雌はそれよりも早く、1年を超えた頃には離れていくと考えられている。 雄は15ヶ月、雌は24ヶ月程で性成熟すると言われていて、野生下での詳しい寿命は分からないが、およそ10年程度と言われている。 このほか、ニホンアナグマは狩猟の対象にもなっていて、俗にタヌキ汁と言われるものは本種の肉を使ったものである。 しかし、近年では開発などによる生息地の減少が懸念されているほか、外来種のアライグマとの競合も指摘されている。 また、ニホンアナグマは繁殖率も低いため、自治体によっては絶滅危惧種Ⅱ類や準絶滅危惧種などに指定されている。 尚、以前はアナグマを1属1種として、本種も亜種・Meles meles anakumaとされていたが、歯式の違いなどから、現在は独立種として扱われていて、日本の固有種とされている。 また、これに伴い、アナグマの仲間は本種・Meles anakumaと、ヨーロッパアナグマ(Meles meles / European badge・ヨーロッパやロシア西部など)、アジアアナグマ(Meles leucurus / Asian badger・イランや中国など)の3種に分類されていて、ヨーロッパアナグマは8亜種、アジアアナグマは5亜種が知られている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ニホンアナグマ