アメリカクロクマ

アメリカクロクマ (アメリカグマ) さんのプロフィール


動物図鑑・アメリカクロクマ

アメリカクロクマ (アメリカグマ)

食肉目 クマ科
学 名 Ursus americanus
英 名 American Black Bear
分布域 北アメリカ
生息環境 主に森林地帯
体 長 120~200cm 程度
尾 長 7~17cm 程度
体 重 雄で150~200kg程度、雌で100~150kg程度

アメリカクロクマは北米で見られる中型のクマで、単にアメリカグマとも呼ばれている。
名前のように、毛色はふつう黒いが、北米に広く分布していることから、毛色には変化が見られる。


分布域
分布域は広く、アラスカからカナダを経て、メキシコ北部まで、北アメリカの森林地帯に広く分布している。
島嶼部にも見られ、北アメリカではもっとも広く分布している。


形態
北アメリカに分布しているクマ (アメリカクロクマ、ヒグマホッキョクグマ) の中ではもっとも体が小さく、体高は80~90cm 程度。
しかし、性別や年齢、季節や健康状態、食糧事情などによって体の大きさにはかなりの違いがあり、飼育下の完全成熟した雄の中には体重が400kgを超えるものも確認されていて、雌の体重も200kgを超えるものも報告されている。

また、性成熟した頃の雄の体重は55kg程度、雌では40kgほどなので、これを含めると、雄の体重は55~400kg、雌は40~230kgほどになるが、平均すると、雄の体重は150~200kg、雌では100~150kg程度で、いずれの場合も雄の方が体大きく、雌では雄よりも三割ほど小さい。

また、毛は短く、毛色は一般に黒い色をしているが、分布域が広いこともあり、褐色や青色を帯びたものからほとんど白いものまで、毛色にもかなり差異がある。


生態・生活
アメリカクロクマは日中に活動し、普段は単独で生活している。

草や木の根・木の実・果実などの植物質を好んで食べるが、雑食性で、昆虫や魚などのほか、機会があれば、小動物やビーバートナカイの子どもをとらえることもある。
また、食べ物を求めて広い地域を歩き回り、雄の行動範囲は数頭の雌の行動範囲と重なっている。

アメリカクロクマは動きも素早いが、木登りも大変うまく、子グマと一緒に木に登って実を採ったりもする。
視覚もかなり優れていると言われているほか、力も強く、140kg程の大きな岩を前足でひっくり返すことができる。

天敵はグリズリーと呼ばれる大型のヒグマで、時に生息地が競合することがある。
このような時は得意の木登りを活かして、木に登って敵が行き過ぎるのをやり過ごすと言われている。

また、幼いものや若いものはオオカミピューマなどに襲われることもあるが、アメリカクロクマは狩猟の対象になっていて、一番の外敵は人間だと言われている。

国立公園内のバンガローなどに食べ物を探しに入ってくることもあるが、性質もおとなしく、脅かしたりしなければ向かってくることは稀である。
しかし、近寄りすぎると力も強いので危険である。

冬には木の洞などで穴ごもりをするため、秋には多くの食物を食べ、体重もかなり増える。
この時期に食べ物が少ないと樹皮なども食べることから、林業に被害を及ぼすことがあるほか、トウモロコシなどの農作物やブタなどの家畜を狙うこともあるので、アメリカクロクマは害獣とされることもある。


繁殖・寿命
繁殖は一夫多妻で、6~7月半ば頃が繁殖期になるが、その時期は地域によってやや差がある。

雌の妊娠期間は、遅延着床の期間も含め、平均220日程で、主に1~2月に出産する。
ふつう、出産は雌が冬眠している間に行われ、1産1~5子で、多くは2~3子を出産する。

生まれたばかりの子どもの体重は200~450グラム、体長20cmほどで、毛は生えていない。
目も閉じていて、28~40日程で目が開き、5週間ほどの後に歩きはじめるようになる。

母親と一緒に冬の間は巣穴で過ごし、春になって巣穴から出てきたころには、子どもの体重は2~5kgほどになっていて、生後6~8か月頃には乳離れする。
その後も生後1年半ほどの間は母親のもとで過ごしているが、やがて独立して分散していく。

雄は3~4年で性成熟するが、完全に成熟するには10~12年ほどで、それまでは体も成長を続け、大きくなる。
また、雌は2~5年で性成熟し、隔年で子どもを出産するが、時には3~4年の間隔がある。

野生での寿命は31年の個体も見つかっているが、平均すると18年程度と言われている。
また、飼育下での寿命は25~30年程度と、野生よりも長く、44年を生きたものも報告されている。


保護状況・その他
アメリカクロクマは、分布域が広いこともあり、現在のところ絶滅の危機はないとされているが、農地の拡大や開発、狩猟などによって生息地は減少している。

また、かつては北米の大部分に分布していたが、森林地帯では国立公園の保護下で見られるものがほとんどになってしまっている。

更なる生息地の減少なども心配されていることから、「ワシントン条約附属書II」記載されていて、国際取引を規制しないと絶滅のおそれのある種になっている。

尚、アメリカクロクマは分域が広いこともあり、次のような亜種が知られている。

 Ursus americanus americanus (Eastern black bear)
 アラスカからカナダを経て、モンタナ州東部からメイン州、南はテキサスまで
U.a. altifrontalis (Olympic black bear)
カナダのブリティッシュ・コロンビア州中部から米国カリフォルニア北部、アイダホ州北部など
U.a. amblyceps (New Mexico black bear)
コロラド州、ニューメキシコ州、テキサス州西部、アリゾナ州の東半分からメキシコ北部、ユタ州南東部まで
U.a. californiensis (California black bear)
オレゴン州南部から南カリフォルニア
U.a. carlottae
(Haida Gwaii black bear / Queen Charlotte Islands black bear)
ハイダ・グワイ(旧クイーンシャーロット諸島)とアラスカ
U.a. cinnamomum (Cinnamon bear)
コロラド州、アイダホ州、モンタナ州西部とワイオミング州、ワシントン州東部とオレゴン州、ユタ州北東部
U.a. emmonsii (Glacier bear / Blue bear)
アラスカ州南東部
U.a. eremicus (East Mexican black bear )
メキシコ北東部の米国テキサス州との国境地帯
U.a. floridanus (Florida black bear)
フロリダ州、ジョージア州南部、アラバマ州、ミシシッピ州北部
U.a. hamiltoni (Newfoundland black bear)
カナダのニューファンドランド島
U.a. kermodei (Kermode bear/ Island white bear)
ブリティッシュコロンビア州
U.a. luteolus (Louisiana black bear)
テキサス州東部、ルイジアナ州、ミシシッピ州南部
U.a. machetes (West Mexican black bear )
メキシコ中北部
U.a. perniger (Kenai black bear)
アラスカ州キーナイ半島
U.a. pugnax (Dall Island black bear)
アラスカ州アレクサンダー諸島のドール島
U.a. vancouveri (Vancouver Island black bear )
カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島、

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