ハシビロガモは、名前のように、大きな嘴が特徴になっていて、ほかのカモ類とすぐに見分けることができる。 国内では冬鳥で、各地の水辺でふつうに見られる。 分布 夏にはユーラシア北部や北アメリカ北部で広く繁殖し、冬にはアフリカ北部やユーラシア南部、北アメリカ南部や中米などへ渡って冬を越す。 国内では冬鳥として渡ってくるが、北海道では少数のものが繁殖している。 形態 体は所謂カモ形だが、名前のように、大きな嘴が特徴になっている。 この大きな嘴はヘラ状になっていて、嘴の先が付け根よりも幅広く、独特の形をしている。 嘴は雄では黒く、雌では黄褐色をしているが、ほとんどのカモ類には嘴の縁にヒゲクジラのような櫛が並んでいて、これによって水と一緒に吸い込んだ食べ物をこしとって食べる。 ハシビロガモではこの櫛のようなものがよく目立ち、餌をより効率よくこしとることができる。 全長は43~56cm程度、翼を広げると70~85cm程の長さがあるが、体は雄の方がやや大きく、雌雄によって羽毛の色が違っている。 雄の頭部は緑や青緑色で、胸は白い。 腹部には大きな褐色から赤褐色の斑があり、大きな嘴と共によく目立つ。 雌は全体に褐色で、暗褐色の斑があり、マガモの雌などとよく似ているが、嘴が大きいので見分けがつく。 また、足は雌雄ともにオレンジ色のように色をしている。 生態・生活 夏の繁殖期には開けた草原などに生息しているが、国内ではほとんどが冬鳥として飛来し、河川や湖沼などに生息している。 各地の水辺でふつうに見られるが、淡水域のほか、河口や内湾などの沿岸域でも見られる。 数羽から十数羽ほどの小さな群れで生活しているが、時に単独やペアのものなども見られる。 その様な場合、マガモやコガモなど、ほかのカモの群れに混じっていることが多い。 主にプランクトンや水生昆虫、小魚などを食べるが、櫛状になった嘴はプランクトンなどをこしとるのに適していて、嘴を水面に滑らすようにして水と一緒に吸い込み、食べ物だけをこしとって、水は吐き出すようにして採餌している。 時には水中に潜って採餌することもあり、多くの時間を水の中で過ごしているが、地上でも採餌し、カタツムリなどを食べることもある。 また、体に対して不釣り合いな大きな嘴は重そうに見えるが、ハシビロガモは飛行能力もすぐれていて、インドで冬を越すものは、ヒマラヤ山脈を越えてインドに渡っていく。 繁殖・寿命 繁殖期は4~7月頃で、この時期には雄によって縄張りが主張される。 巣は水辺近くの乾燥した草地などにつくられるが、巣は地面の窪みなどを利用して、直径20~30cm程のものが枯れ草などを用いてつくられる。 雌は52x37mm程の卵を7~14個、ふつうは9~11個ほどを産み、抱卵は雌が行う。 卵は23~25日程で孵化し、ヒナはすぐに親の後を追いはじめる。 育児も雌が行い、ヒナは孵化後40~45日程で飛べるようになり、雌雄ともに1年ほどで性成熟する。 詳しい寿命は分かっていないが、野生での寿命は18年のものが知られている。 保護状況・その他 ハシビロガモは狩猟の対象になっているところもあるが、国際自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。 また、国内でもマガモやコガモ、ヒドリガモやスズガモなどと共に狩猟の対象になっているが、冬季には水辺でふつうに見られる。 しかし、飛来してくる個体数には増減があり、生息環境の保全などが必要とも考えられる。 カモ科の鳥へ / このページの先頭へ |
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ハシビロガモ