チュウサギ

チュウサギ さんのプロフィール


動物図鑑・チュウサギ

チュウサギ

ペリカン目・サギ科
学 名 Ardea intermedia
英 名 Intermediate egret
分布域 アフリカやユーラシア、オセアニアの温帯から熱帯域
生息環境 河川や湖沼、湿原や沿岸部など
全 長 56~72cm 程度
翼開長 105~115cm 程度
体 重 450~600g 程度
環境省による保存状況評価 / 準絶滅危惧種

チュウサギは、名前のように中型のサギ類で、ダイサギよりは小さいが、コサギよりは少し大きい。

所謂「白鷺」と呼ばれる仲間で、国内には夏鳥とて東アジアなどから飛来し、湖沼や河川、湿地などの水辺で見られる。


分布
チュウサギの分布域は広く、アフリカ東部からインド亜大陸を経て東アジアに至る温帯から熱帯域にかけて広く分布している。
オーストラリアにも分布していて、幾つかの亜種が認識されている。

国内には夏鳥として本州より南に飛来し、西南日本では越冬するものも一部見られる。


形態
体の様子はダイサギによく似ているが、大きさはダイサギよりも小さく、コサギやアマサギよりは少し大きい。

全長は56~72cm程度、翼を広げた長さは105~115cm程で、雌雄ともに同色で、一年を通して全身が白い色をしていて美しい。
ただ、夏羽では背や胸に飾り羽が伸び、嘴は黒く目先は黄緑色のような色をしている。
冬羽では、嘴は黄色っぽく、目や目先も黄色っぽい色をしている。
また、足は周年黒いが、繁殖期には基部が赤味を帯びる。

ところで、チュウサギとダイサギ、コサギは共によく似ている。
それぞれが他のものと一緒にいれば、体の大きさで見分けることができるが、単独でいたりすると分かりづらいことも多い。

チュウサギとコサギでは、ややチュウサギの方が体が大きいが、やはり単独でいると分かりづらく、コサギの足の指が黄色いことを確認することになる。

足指の色を確認できない場合は、夏羽では、チュウサギにはコサギに見られる冠羽がないので、これに注意することになる。
冬羽では、チュウサギの嘴の色は黄色いが、コサギの嘴は一年を通して黒い色をしている。

しかし、ダイサギとは大変よく似ていて、単独でいるとやはり分かりづらい。
嘴の色はどちらも季節変化があり、目の色も、どちらも冬では黄色い色をしているが、夏の婚姻色では赤っぽくなり、目先の色も同じように変化している。

一般にダイサギの口角は目の後ろ縁を超えて延びているが、チュウサギの口角は目の後ろ縁辺りで止まっていることが指摘されている。

それでも、遠望していたりするとはっきりしないので、ダイサギの嘴は頭部との比率がチュウサギよりも大きく(嘴が長い)、頭部もやや平らになっているなど、全体の様子をとらえるようにした方がよい。

また、コサギの口角は、目の中程辺りで止まっていて、チュウサギよりも短くなっている。


生態・生活
チュウサギは河川や湖沼、湿地やマングローブ林周辺などに生息していて、普段は単独で生活しているが、小さな群れでいることも見られる。

時に干潟になるような沿岸域でも見られるが、内陸部を好むようで、淡水域や水田のような耕作地などに多い。
また、河川では流れの速い場所には少なく、流れの緩やかな浅い水域に多く見られる。

国内には夏鳥として飛来し、4~10月頃にかけて見られ、他のサギ類と同様、魚や甲殻類、昆虫やカエルなどの両性類などを食べる。

採餌は河川などもよりも水田や湿地などで行われることが多いようで、魚よりも両生類や昆虫類をよく食べるとも言われている。

飛ぶ時は他のサギ類と同様、首を「S」字の様に曲げ、足を伸ばし飛び、ダイサギに似た「ゴァー」などの声で鳴く。


繁殖・寿命
国内の繁殖期は4~9月で、営巣は平地や丘陵地の雑木林などで行われる。
ふつうは湖沼や河川、水田など、餌場となる近くが選ばれ、他のペアと共に集団営巣が行われる。

また、しばしばコサギやゴイサギなど、ほかのサギ類と一緒になって集団営巣し、「サギ山」と呼ばれるコロニーを形成する。

繁殖は一夫一婦で行われ、雄は巣材を運び、巣作りは主に雌によって行われる。
雌は1~6個ほどの卵を産むが、ふつうは2~3個を産卵する。
抱卵は雌雄で行い、卵は24~27日ほどで孵化する。
ヒナは孵化後3週間を過ぎるころには巣を離れるようになり、40日頃には巣立ちし、70日程で完全に自立していく。

寿命については分かっていないが、ダイサギの寿命は飼育下・野生下ともに22年のものが知られていて、平均した寿命は15年ほどと言われている。

また、ゴイサギの野生下での寿命は、標識による記録で21年を超えたものが観察されているので、チュウサギもこれと同じ程度の寿命をもっているのだろうと考えたりする。


保護状況・その他
チュウサギは分布域が広いこともあり、国際自然保護連合などでは、現在のところ絶滅の恐れはないとしている。

しかし、全体では減少傾向にあると言われていて、国内でも、かつては夏に多くが飛来していたが、繁殖地や餌場となる河川や湿地、耕作地の減少などで、近年に飛来する数は減少傾向にある。

環境省では準絶滅危惧に指定しているほか、自治体によっても準絶滅危惧種などに指定しているが、更なる繁殖地などの減少が心配されている。

尚、チュウサギには次の亜種が認識されている。

Ardea intermedia intermedia (intermediate egret)
インドから日本にかけての東アジアや、インドネシアなどの大スンダ列島に分布する基亜種

A. i. brachyrhyncha (yellow-billed egret)
サハラ砂漠より南のアフリカ大陸

A. i. plumifera (plumed egret)
インドネシア東部やニューギニア、オーストラリア北部や東部などに分布


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