ニホンツキノワグマは、本州・四国・九州に分布する中型のクマの仲間で、アフガニスタンやイランから、中国、朝鮮半島などに分布しているヒマラヤグマ(ツキノワグマ)の日本固有亜種とされている。 ヒマラヤグマの毛色は黒色や暗褐色、赤褐色などで、胸に月の輪の形をした白斑があることからツキノワグマと呼ばれているが、この白い斑は細くて真ん中で切れているものや、中には白斑がないものなどもいる。 これはニホンツキノワグマも同じで、全身は普通黒色だが月の輪の斑紋がないものも見られ、アメリカクロクマに対してニホンクロクと呼ばれることもある。 頭は幅広く、耳は離れていて突き出した感じがし、四足で立つと肩の方が低い。 また、足の裏には毛がなく、普通はヒマラヤグマに見られる頬の長い毛は見られない。 ニホンツキノワグマは昼夜共に活動するが、主として夜行性が強いと言われている。 これは人との接触を避けるためと言われていて、元来は日中によく活動する。 雑食性で、木の実や木の根のほか、昆虫やザリガニ、魚など、何でも食べる。 しかし、どちらかと言えば植物性が強く、春にはブナなどの新芽、夏はアザミなどの草本類のほか、秋にはドングリやクリ、アケビ、ヤマブドウなど、季節によって様々なものを食べる。 人や家畜を襲うことはほとんどないが、驚いたときなどは向かってくることがある。 また、ニホンツキノワグマは木登りもうまいが、「クマ剥ぎ」という習性があり、樹の皮を根元から2~3m程にわたって剥ぎ取り、爪痕や歯痕を残す習性がある。 これは枯死を引き起こす為、害獣とされることもある。 冬には木の洞や岩穴で冬眠するが、地域によっては冬ごもりしないものもいる。 ふつう雌は冬眠している間に1~3子を出産するが、冬眠前の栄養状態が悪いと出産できないことがある。 寿命は20~30年程だが、野生のものは20~25年程度と考えられている。 また、野生下の固体の寿命は、近年では短くなっているとも言われている。 ニホンツキノワグマは日本人にはなじみが深く、ニホングマなどともいい、物語などにもよく出てくる動物であるほか、毛皮は敷物、肉は食用にされ、胆のうは「クマノイ」といって、珍重されてきた動物でもある。 しかし、近年の開発などによる生息地の減少によって、九州のニホンツキノワグマは既に絶滅しているとも言われているほか、四国に生息するものも絶滅が危惧されている。 近年では人の住むようなところにも現れ、時折人を襲うような事件が起こっているが、これも生息地の減少によって食べ物が不足している事から生じているとも考えられている。 また、ヒマラヤグマは全体に生息数が減少しており、現在では国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(VU)としてレッドリストに指定されている。 尚、国内に生息するクマには、ニホンツキノワグマのほか北海道に生息するエゾヒグマがいるが、エゾヒグマも生息数は減少している。 クマ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ニホンツキノワグマ (ニホンクロクマ)