エゾリスは北海道に広く分布している樹上性のリスで、平地から山地にかけての森林地帯に生息している。 冬でも冬眠することはなく、一年を通して活動している。
エゾリスの分布域・生息環境 エゾリスはユーラシア大陸に広く分布しているキタリス(ユーラシアキタリス・Sciurus vulgaris) の亜種で、北海道全域の平野部から標高1700m程度までの山地に生息している。 常緑針葉樹林や落葉広葉樹林に広く生息しているが、耕作地周辺や、近年では樹木のある都市部の公園でも見ることができる。 エゾリスの大きさ・形態 北海道にはエゾリスのほか、シマリス属のエゾシマリス(Tamias sibiricus lineatus)が生息しているが、エゾリスの体はこれよりもかなり大きく、体長22~27cm程で、300~450gほどの体重がある。 また、国内には本州、四国、九州にニホンリス (ホンドリス / Scriurus lis) も生息しているが、エゾリスはこれに比べても体が大きく、毛も密で色も全体に濃い色をしている。 毛色は、夏は茶色を帯びた灰色やこげ茶色、赤褐色などで、冬には灰褐色になる。 この毛色の変化は季節ごとの保護色の役目を担っているが、腹部は一年を通して白い色をしている。 耳は大きく、冬毛では先端に長毛のふさ毛が見られる。 また、尾は長くて20cm程の長さがあるが、毛が長いのでフサフサとしていて太く見えるが、長い尾は樹上でのバランスを取るのに役立っている。 エゾリスの生態・生活 エゾリスは主に森林地帯に生息しているが、耕作地周辺や樹木のある都市部の公園などにも生息している。 他のリスと同様、昼間に行動し、普段は単独で生活している。 樹上性のリスの仲間で、木の上を活発に動きまわり、午前中と夕方には特に活発に活動する。 主にクルミやヤマブドウ、ドングリやイチイなどの木の実や芽、種子などを食べるが、花や樹液、時には昆虫類や小鳥の卵なども食べる。 採食するときは前足を使って器用に食べるが、エゾリスはカルシウムなどの補給のため、動物の骨や、落ちたシカの角を齧ったりすることもある。 巣は樹上に木の枝などを用いた簡単な皿状のものをつくったりするが、冬季や繁殖期にはしっかりとした球状のものをつくる。 行動範囲は巣の周りをを中心にしているが、特に縄張りはなく、行動範囲はしばしば重なっている。 また、エゾシマリスは冬眠をするが、エゾリスは冬眠することがなく、一年を通して活動している。 秋には多くの食べ物を採餌し、体重も増えるが、秋にはエサの少ない冬に備えて木の実などを地中に埋めておく習性がある。 冬には地面に埋めておいた木の実のほか、樹皮や冬芽、木の枝に生えたコケやキノコなどを食べるが、エゾリスは50cm程も積もっている雪の中から埋めておいた食べ物を探し出すことができる。 しかし、夏は日中を通して活動するが、冬の間は朝のうちだけ活動したり、巣の中で眠っていることが多く、活動時間は短くなる。 外敵はキタキツネやテン、タカなどの猛禽類で、危険を感じると尾をふって、するどい警戒音をあげる。 この他、都市部などに生息しているものは、森林や郊外に生息しているものよりも警戒心が薄くなると言われているが、体も大きくなる傾向があるとも言われている。 これは公園などの餌付けにより、冬でもより多くの餌を食べることができるからだと考えられているが、加工食などの摂取による体への影響が心配されている。 エゾリスの繁殖・寿命 エゾリスの繁殖期は2~3月と5~7月頃に見られ、食糧事情などがよければ年に2回繁殖することがある。 多くは1年に1回繁殖し、繁殖は一夫多妻で行われる。 繁殖用の巣は、エゾマツやトドマツなどの針葉樹では、木の中間辺りより少し上の枝の付け根につくられることが多い。 細い木の枝や樹皮などを用いて直径30cm程のラクビーボール大のものをつくるが、大きいものでは50~70cm程のものも見られる。 また、広葉樹では、キツツキなどが使い終わった古巣や、木の洞などを利用して巣をつくることが多い。 雌の妊娠期間は38~39日程と短く、1産1~7子、ふつうは3~4子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体長6~8cm、体重は8~12g程で、目は閉じていて、毛は生えていない。 生後ひと月ほどで目が開き、この頃には毛も生えそろっている。 子どもは8~10週程で完全に離乳し、雌雄共に1年程度で性成熟する。 野生での寿命は6~7年と考えられているが、2~4年のものが多いとも言われている。 エゾリスの保護状況・その他 エゾリスは、かつては毛皮を目的とした狩猟によって個体数が大きく減少した時期があったが、現在では狩猟の対象からも除外されていて、個体数は安定していると考えられている。 都市部の公園などにも生息していて、北海道ではふつうに見られる。 一方、本州、四国、九州に生息する二ホンリスは、現在では九州や西日本の一部では見られなくなってしまっている。 尚、ニホンリスは現在は独立種とされているが、エゾリスと同様、以前はキタリスの亜種・Scriurus vulgaris lis とされていた。 |
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