クロエリセイタカシギは北アメリカから南アメリカに分布しているチドリの仲間で、群れをつくって生活している。 体は小さいが、名前のように背が高く、細くて長い足が特徴になっている。
クロエリセイタカシギの分布域・生息環境 クロエリセイタカシギはアメリカ合衆国のカリフォルニア沿岸域から西部内陸部の大部分、フロリダやメキシコ、カリブ海の島嶼部や中央アメリカなどに広く分布している。 エクアドルやブラジル、ペルー南西部などの南アメリカにも分布していて、ガラパゴス諸島やハワイにも分布している。 ただ、沿岸の干潟や河川、湖沼や湿地などの水辺に生息しているので、分布域はかなり広いが、分布域は連続していない。 また、北方の内陸部のものは、冬にはアメリカ南部からメキシコ南部へ移動して越冬するが、稀にコスタリカまで南下することもあると言われている。 クロエリセイタカシギの大きさ・特徴 クロエリセイタカシギは全長33~41cm程の水辺の鳥だが、足が長いのが特徴で、足は20~25cm程の長さがある。 この足は細くて、今にも折れてしまいそうだが、嘴も細くてかなり長く、黒い色をしている。 羽毛の色は白と黒にはっきりと分かれていて、頭部から背側にかけては黒色で、嘴の付け根辺りから喉や胸、腹側は白い色をしている。 目は赤く、目の上には特徴的な白い羽毛がある。 セイタカシギとはよく似ているが、クロエリセイタカシギは肩の辺りの黒い部分が体側まで延びているのが特徴で、これが名前の由来にもなっていて、英名もその様子から付けられている。 また、長い足はピンク色をしているので、一層よく目立つ。 雌雄ともに同じ色をしているが、雌や幼鳥では黒い部分が茶色がかっていることもある。 クロエリセイタカシギの生態・生活 クロエリセイタカシギは河川や干潟、湖沼や湿地などの水辺に生息していて、氾濫原や人工にできた湿地やため池などでも見られる。 淡水のほか、河口や海岸の塩性の干潟などにも多く生息していて、様々な水辺環境で見られる。 群れをつくって生活していて、多くは低地で見られるが、中央アメリカなどでは標高2500m辺りまで生息している。 日中に活動し、採餌は干潟や湖沼周りの浅い水域で行われ、カモ類のように、水の中に入って泳ぐようなことは滅多にない。 長い足は水辺での生活に適していて、水辺を歩き回って甲殻類や小魚、水生昆虫や無脊椎動物などを食べる。 また、オタマジャクシや貝類、時には植物の種子なども食べる。 外敵は猛禽類などだが、多くはヒナや卵が襲われる。 クロエリセイタカシギの繁殖・寿命 クロエリセイタカシギの繁殖期は地域によって差があるが、北アメリカでは4~8月頃にかけて見られる。 繁殖期には緩やかなコロニーをつくり、ふつうは数十羽だが、時には百を超える大きなコロニーをつくる。 巣は水辺近くに浅い窪みをつくり、草や小石、貝殻などを用いてつくられる。 雌は3~5個、ふつうは4個の卵を産み、抱卵は雌雄が交代して行い、卵は22~26日ほどで孵化する。 ヒナは既に羽毛で覆われていて、孵化後2時間程で歩いたり泳いだりすることができるが、1~2日の間は巣に留まっている。 ヒナはひと月ほどで飛べるようになり自立するが、その後も数週間ほどの間は親と一緒に生活している。 雌雄ともに1~2年で性成熟し、野生下での寿命は5~10年、飼育下の長いものでは20年ほどの寿命があると言われている。 また、クロエリセイタカシギは、外敵などが近づくと、巣やヒナを守るために飛び回って大きな鳴き声をあげるが、怪我をしたように偽傷し、相手の注意を巣からそらすことも観察されている。 クロエリセイタカシギの保護状況・その他 クロエリセイタカシギは開発になどによる生息地の減少に伴い、一時は個体数が減少した時期もあったが、現在のところ個体数は安定していると考えられていて、絶滅の恐れはないとされている。 尚、ハワイに分布しているものを別種・Himantopus knudseni とする場合もあるが、ふつうは本種の亜種・H. m. knudseni とされている。 また、クロエリセイタカシギ自体をセイタカシギの亜種とすることもあるが、その場合の学名は Himantopus himantopus mexicanus と記述される。 この他、クロエリセイタカシギはニュージーランドにも移入されているが、国内でも大阪府などで移入定着しているのが確認されている。 これは、個人が飼育していたものを故意に放鳥したと考えられているが、在来のセイタカシギとの交雑などが心配されていて、要注意外来生物に指定されている。 |
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クロエリセイタカシギ