ロウバシガンはオーストラリア固有のガンの仲間で、主に地上で生活している。 ロウ状の膜がある黄緑色の嘴が特徴で、この嘴は離れていてもよく目立つ。
ロウバシガンの分布域・生息環境 ロウバシガンはオーストラリア固有のガンの仲間で、ビクトリア州南部や南オーストラリア州東部の沿岸域、タスマニア島やバス海峡諸島などに分布している。 また、西オーストラリア南部の沿岸部やルシェルシュ諸島にも分布していて、ニュージーランドにも移入されている。 開けた草原に生息している地上性のガンで、牧草地近くや海岸沿いにも生息している。 ロウバシガンの大きさ・形態 ロウバシガンは全長75~100cm、平均すると85cm程で、体は雄の方が雌よりもやや大きい。 頭部は比較的小さく、嘴はずんぐりとした三角形をしている。 この嘴は黒いが、多くの部分に黄緑色のロウ状の膜があり、これが名前・蝋嘴雁の由来になっている。 羽毛は大部分が灰色で、翼には暗色の斑が数列になって見られる。 尾羽は黒く、足はピンク色のような赤っぽい色をしている。 この足は他のガンに比べると丈夫で、水かきはあるが小さく、陸上での生活に適応している。 また、ロウバシガンは他のカモ類と近縁ではなく、本種だけでロウバシガン属を形成している。 ロウバシガンの生態・生活 ロウバシガンは、主に開けた草原に生息していて、牧草地近くや海岸沿いにも生息しているが、低木が茂るような草原では見られない。 普段は群れをつくって生活していて、他のガンと異なり、水の中に入ることは少なく、ほとんど陸上で生活している。 食性は植物性で、さまざまな草類やハーブ、多肉植物を食べるが、麦やマメ科植物なども食べる。 時に牧草地で草を食むことから、害獣として嫌われることもある。 ロウバシガンの繁殖・寿命 ロウバシガンの繁殖期は7~9月の秋頃で、ふつうは沖合の島に渡って繁殖する。 この時期にはペアが群れを離れて、開けた草原の草むらに巣をつくるが、巣は雄がつくり、中には羽毛などの柔らかい素材が敷かれている。 繁殖は一夫一婦で行われ、その関係は生涯続くと言われている。 また、この時期は縄張りが強く主張され、他のガンのほか、近づいてくるものなどには攻撃的になる。 雌は4~6個ほどの卵を産み、抱卵は雌によって行われる。 卵は30~35日ほどで孵化し、雌雄ともに育児を担う。 ヒナは約70日間ほどで巣立ち、雌雄ともに3年ほどで性成熟するが、寿命については野生下、飼育下ともにはっきりと分かっていない。 ロウバシガンの保護状況・その他 ロウバシガンは、かつては食用として狩猟の対象になっていて、乱獲などにより生息数が減少し、絶滅も懸念されていた時期があった。 しかし、保護活動など、さまざまな取り組みにより生息数は増加している。 現在のところ絶滅の恐れはないとされているが、世界でも希少なガンのひとつとしてとらえられている。 尚、ロウバシガンは1種だけで「ロウバシガン属」を形成していて、現在2つの亜種が認識されている。 Cereopsis novaehollandiae novaehollandiae オーストラリア南東部 (ビクトリア州南部、南オーストラリア州東部、タスマニア島、バス海峡諸島など)に分布する基亜種 C. n. grisea オーストラリア南西部 (ルシェルシュ諸島を含む西オーストラリアの沿岸域) |
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ロウバシガン