シュバシコウはコウノトリの仲間で、ヨーロッパから西アジア、北アフリカなどで繁殖している。 コウノトリとはよく似ているが、嘴の黒いコウノトリとは違い、嘴はオレンジ色で、足もオレンジ色をしている。
シュバシコウの分布域・生息環境 シュバシコウは、ヨーロッパや北アフリカ、小アジアや中東で繁殖し、冬季にはアフリカ熱帯域や中東の一部、インド亜大陸に移動して越冬する。 開けた湿地やサバンナなどのほか、牧草地や耕作地などに生息していて、人との共生的な関係も見られる。 しかし、繁殖域は広いが、繁殖地は分散していて、ヨーロッパでは多くの地域で見られなくなってしまっている。 シュバシコウの大きさ・形態 シュバシコウは大型の鳥で、翼を広げると155~175cm程の長さがあり、大きいものでは翼開長2m程のものも見られる。 平均した大きさは雄の方が雌よりも大きいが、雌雄とも同色をしている鳥で、翼の黒い部分 (風切、肩羽、大雨覆は黒色、次列風切は銀灰色) を除き、全体が白い羽毛に覆われている。 長くて鋭い嘴と脚はオレンジ色をしているが、足は長く、体高の半分ほども占めている。 コウノトリとはよく似ているが、シュバシコウの漢字表記は「朱嘴鸛」と表し、コウノトリの嘴が黒いの対して、表記のごとく、赤い嘴がシュバシコウの特徴になっている。 シュバシコウの生態・生活 シュバシコウは緩やかな群れをつくって生活していて、繁殖期には、大きいものだと40~50羽ほどの群れをつくる。 また、渡りの時期や越冬地では、数百から数千ほどの大きな群れをつくることもある。 日中に活動し、主に湿地や水田近くに生息しているが、特に縄張り意識は見られない。 採餌も地上で行われ、魚やカエルなどの両生類、トカゲやヘビ、クモや昆虫など、様々な動物質のものを食べる。 ネズミなどの小型の哺乳類も食べるほか、地上に巣をつくる鳥の卵やヒナなども食べ、地域や季節によってさまざまなものを食べている。 餌を探すときは、嘴を地面に向けて歩きながら、視覚でを使って餌を探している。 獲物を見つけると嘴を前に突き出して、すばやく獲物をとらえる。 成長したシュバシコウは体が大きいこともあり、外敵はほとんどいない。 しかし、巣も高い場所につくられるが、ヒナや幼鳥はワシやタカなどの猛禽類に襲われることがある。 シュバシコウの繁殖・寿命 繁殖期は3~4月頃で、この時期には緩やかなコロニーのような群れをつくる。 コロニーは数組ほどの小さなものから、大きいものだと40~50羽ほどで構成されている。 交配は一夫一婦で行われ、ペアの関係は一生の間続くと言われている。 ふつう、雄の方が繁殖地に数日ほど早く到着し、巣をつくったりするが、シュバシコウは同じ巣を利用することが多く、前年に使った巣に手を加えたりする。 雌が到着すると求愛行動がはじまり、さまざまなディスプレイが行われる。 シュバシコウはほとんど鳴くことができないが、上下の嘴をたたき合わせて大きな音を発したり、翼を広げて頭を上下に動かしたりする様子が見られる。 巣は高い木の上に小枝を重ね、草と土で固めた皿状の大きな巣をつくるが、シュバシコウは人家の高い屋根の上や煙突、時に電信柱の上などにも巣をつくる。 ポーランドはヨーロッパでは有数の繁殖地になっているが、繁殖期の夏には、湖沼や湿地近くの町や集落では、電柱や家屋の煙突など、多くの高い場所に巣が見られると言われている。 巣は鳥類の中では最大のもので、直径1~2mほどのかなり大きなものがつくられ、陽当たりのよい場所が選ばれる。 雌は3~6個、ふつうは3~4個の卵を産卵し、抱卵は雌雄によって行われる。 卵は30~35日ほど後に孵化し、2ヵ月ほどで巣を離れるが、その後1~3週間ほどの間は、親からの給餌を受けて育つ。 雌雄ともに3~4年ほどで性成熟し、野生下での寿命は25年のものが知られているが、飼育下での寿命は長く、平均35年、長いものは48年ほどの寿命をもっている。 シュバシコウの保護状況・その他 シュバシコウは分布域が広いこともあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 一部の地域では個体数が減少しているが、生息数は安定している。 しかし、開発による湿地や農地の減少など、生息地の減少や生息環境の劣化などの影響が心配されている。 尚、シュバシコウには次の亜種が認識されている。 Ciconia ciconia ciconia ヨーロッパや中東、アフリカ、西アジアなどで繁殖する基亜種 C. c. asiatica 中央アジアで繁殖 また、シュバシコウはドイツやリトアニアの国鳥に指定され、ヨーロッバでは縁起のよい鳥とされている。 赤ん坊を運んでくるという言い伝えもあることから、日本でも「コウノトリが赤ん坊を運んでくる」と言われることがある。 |
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