キエリボウシインコ

キエリボウシインコ さんのプロフィール


ボタンインコ

キエリボウシインコ

オウム目・インコ科
学 名 Amazona auropalliata
英 名 Yellow-naped Amazon
分布域 中央アメリカ
生息環境 乾燥した森林やマングローブ林など
全 長 34~38cm 程度
体 重 500~650g 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種(CR)

キエリボウシインコは全体が鮮やかな緑色をした綺麗な鳥で、首の後ろ辺りだけに黄色い斑がある。
中央アメリカに分布している大型のインコだが、近年は生息数が大幅に減少している。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


キエリボウシインコの分布域・生息環境
キエリボウシインコはメキシコ南部からコスタリカ北部にかけて分布していて、熱帯地方の乾燥した森林やマングローブ林などに生息している。


キエリボウシインコの大きさ・形態
キエリボウシインコはインコ類の中では大型で、全長34~38cm程度で500~650gほどの体重がある。
嘴は大きく鉤状に湾曲していて、硬い木の実などを割るのに十分な力をもっている。

また、足の指は2本が前向き、あとの2本か後ろ向きになっていて、木の枝など、物をつかみやすくなっている。

体は雄の方が雌よりも大きいが、雌雄ともに同じ色をしている。
全体は綺麗な緑色をしているが、翼の先は藍色や濃紺色で、風切羽の一部に鮮やかな赤い斑がある。

また、キエリボウシインコの特徴は首の後ろ辺りだけが黄色くなっていることで、これが名前の由来になっていて、英名も同じことから付けられている。
目はオレンジ色、嘴は濃い灰色で、足も濃灰色をしている。

一見するとキビタイボウシインコ(Amazona ochrocephala)と大変よく似ていて、キビタイボウシインコの亜種 (A. o. auropalliata) とすることもあるが、キビタイボウシインコは嘴の付け根から頭頂部にかけてが黄色い色をしている。


キエリボウシインコの生態・生活
キエリボウシインコは乾燥した低木林やサバンナ、マングローブ林などに生息しているが、川沿いや沼地の森林の他、二次林などでも見られる。

繁殖期以外は群れで生活していることが多く、時には数百にもなる大きな群れをつくることもある。

日中に活動するが、採餌は午前中に行われ、午後は休んでいることが多い。
採餌は樹上の高いところで行われ、主に木の実や種子、果実などを食べるが、花や野菜類、昆虫類なども食べる。

樹上では、枝から枝へと移動するときに大きな嘴を使ったりするが、丈夫な嘴は、硬い木の実を割るのに適している。
また、採餌する時には器用に足も使い、しばしば片方の足で種子や果実などをつかみ、口へ運んで食べている。

飛翔力もすぐれていて、餌を求めて長距離を移動することもある。
それにより、キエリボウシインコは種子の散布においても大切な役割を果たしていて、森林の拡大や再生などを助けている。

夕方遅くなると、分散していた群れが集まり夜のねぐらへと移動するが、キエリボウシインコは何世代にも渡る特定のねぐらをもっていると言われていて、これはインコ類の中では珍しいとも言われている。

外敵はメンフクロウやカラカラなどの猛禽類で、大型のヘビやハナグマなどに襲われることもあるが、群れで行動することは、捕食からのリスクを下げることにも役立っている。

この他、キエリボウシインコは知能も高く、飼育下ではよく馴れる。
鳴き声は大きく、様々な声を発し、簡単な言葉なら記憶して話すこともできるが、他のインコと同様、これには大きな個体差がある。


キエリボウシインコの繁殖・寿命
繁殖期は地域によって差があり、メキシコとベネズエラ北東部では2~5月、コロンビアでは12~翌年の1月頃にかけて見られる。

繁殖は一夫一婦で、ペアの関係は生涯に渡って続くと言われている。
巣は樹洞につくられ、周囲には縄張りが主張される。

雌はふつう2~4個ほどの卵を産み、抱卵は雌によって行われる。
雄はその間巣の周りを警戒し、雌に餌を運んできたりする。

卵は24~28日程度で孵化し、ヒナは8~12週ほどで自立できるようになる。
巣立った若鳥は、その後も親と一緒に生活するか、他の若鳥の群れに加わったりする。

雌雄とも2~3年で性成熟し、詳しい寿命は分かっていないが、野生下では20~30年程度、飼育下での平均寿命は40~50年程度と考えられているが、飼育下では更に長い寿命をもっているとも言われている。

また、キエリボウシインコは毎年同じ場所で繁殖する傾向があるため、違法な密猟者にヒナや卵を盗まれることがあり、個体数の安定を妨げている。


キエリボウシインコの保護状況・その他

キエリボウシインコは、近年個体数が大幅に減少していて、現在、国際自然保護連合では絶滅危惧種(CR)に指定している。

主な原因は開発や森林伐採などだが、ペット取引のための違法な捕獲も大きな原因になっていて、危惧種の中でも最も絶滅の恐れがある種とされている。

生息地のほとんどで個体数が減少していて、メキシコやホンジュラス、グアテマラなどでは、ほとんど見られない状況になってしまっている。
保護活動も行われているが、違法な捕獲も後を絶たず、更なる生息地の減少も心配されている。

尚、キエリボウシインコには次の亜種が認識されている。

Amazona ochrocephala. auropalliata
メキシコ南部からコスタリカ北西部などに分布する基亜種

A. a. caribaea
ホンジュラス北岸沖のラ・バイア諸島

A. a. parvipes
ホンジュラス東部とニカラグア北東部

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