イカル

イカル さんのプロフィール

鳥類図鑑・イカル

イカル

スズメ目・アトリ科
学 名 Eophona personata
英 名 Japanese Grosbeak
分布域 ロシア極東地方や中国東部、日本など
生息環境 森林や雑木林など
全 長 18~23cm 程度
翼開長 30~33cm 程度
体 重 65~80g 程度

イカルは大きな嘴が特徴のアトリ科の鳥で、国内各地で繁殖している。
多くの地方で一年を通して見られ、特徴のある大きな鳴き声は「キーコキーコ」などのように聞こえる。

分布域・生息環境

イカルはロシアの極東地方や中国東部、朝鮮半島や日本などに分布していて、夏にはロシア東部や日本で繁殖し、冬には中国南部などに移動して越冬する。

丘陵から山地にかけての森林地帯に生息していて、国内では各地で繁殖するが、積雪の多い北のものは、冬には暖かい地方へ移動して冬を過ごす。

大きさ・形態

体はムクドリほどの大きさで、全長は18~23cm程度、翼を広げる30~33cm程の大きさがある。
大きな黄色い嘴がよく目立つ鳥で、離れていても、この嘴からイカルであることがすぐに分かる。

全体は灰色をしているが、学名の「personata」は、ラテン語で「仮面をかぶった」というような意で、その名の通り、嘴の周りから頭部にかけて濃紺色をしている。
翼や尾も濃紺色で、翼の一部(初列風切)には大きな白い斑が見られる。
雌雄同色で、全体にずんぐりとした印象を受けるが、目は黒褐色、足は赤っぽい色をしている。

生態・生活

イカルは丘陵から山地にかけての森林地帯に生息しているが、冬季には低地に降りてきて、平野部でも見られる。

普段は小さな群れで生活しているが、単独でいるものもしばしば見られる。
また、冬季にはシメの群れと一緒になっていることもある。

樹上で採餌していることが多いが、冬が深まるにつれ地上で採餌することも多くなり、耕作地や寺社の疎林のほか、樹木が多ければ市街地の公園でも見ることができる。

主に木の実や種子を食べるが、昆虫類なども食べる。
大きな嘴は硬い木の実を食べるのに適していて、ハゼやサクラ、カエデやマツなどのほか、ヒマワリの種子も巧みに割って食べてしまう。

樹冠近くにいることが多いが、鳴き声は大きく、「キーコキーコ」などのような特徴のある声なので、この鳴き声でもイカルがいることが分かる。

ところで、「イカル」は漢字表記で「鵤」、或いは「斑鳩」とも書かれるが、珍しい名前ではある。

江戸時代中期の「和漢三才図絵」を見てみると、イカルらしい絵と共に「好みて豆・粟を食ふ。故に『豆甘美(まめうまし)』と名づく。俗に以つて爲『豆迥(まめまはし)』」と爲す」書かれているので、この頃には、「まめうまし」、俗に「まめまはし」と呼ばれていたことが分かる。

一方、これよりも古い平安時代の「和名類聚抄」を見ると、「以加流賀(いかるが)の貌は鴿に似て白き喙といふ。兼名苑に云はく、斑鳩は觜大きく尾の短き者なりといふ」とあるので、より古くは「いかるが」と呼ばれていたのだろう。
(「兼名苑」は中国南北朝から唐代の頃に書かれたもので、奈良県の斑鳩地域は、この「斑鳩」が多く見られたことから名付けられたとも言われている)

ただ、「和漢三才図絵」では、「倭名抄」に『鵤(伊加流加)』・『斑鳩』とあれど、共に誤りなり」とあるが、誤りのようなところは見られず、これには困惑している。

いずれにしても、「イカル」の名前の由来ははっきりしない。

繁殖・寿命

イカルの繁殖期は5~7月頃で、交配は一夫一婦で行われる。

巣は小枝や枯れ草、コケ類などを用いてお椀状のものを樹上につくり、周囲には縄張りが主張される。
しかし、縄ばりの範囲は数メートルほどで、幾つかのペアがコロニー状のように営巣することも多い。

雌は3~4個ほどの卵を産み、卵は2週間ほどで孵化する。
抱卵は雌が行い、雄は抱卵中の雌に餌を届ける。
育児は雌雄によって行われ、ヒナは2週間ほどで巣を離れるようになる。

寿命については分かっていないが、国内の飼育下で6年を超えるものが記録されている。

保護状況・その他

現在のところ、イカルの生息数は安定していると言われていて、国際自然保護連合などでは絶滅の恐れはないとしている。

尚、イカルには次の亜種が認識されている。

Eophona personata personata
夏には日本で繁殖する基亜種

E. p. magnirostris
ロシア極東地方から中国北東部などに分布し、冬には中国河北省辺りへ南下する


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