ミケリスは東南アジアに分布している中型のリスの仲間で、ほとんどの時間を樹上で過ごしている。 名前のように、毛色は黒色、白色、橙色の三色で、全体に美しい色をしている。
ミケリスの分布域・生息環境 ミケリスはタイ南部からマレー半島、インドネシアのスマトラ島やボルネオ島、その周辺の島々などに分布している。 主に森林地帯に生息しているが、耕作地の周辺などでも見られる。 ミケリスの大きさ・形態 ミケリスは体長20~25zmほどの中型のリスで、国内で見られるエゾリスと同じほどの大きさがある。 特に大きくはないが、生息地では大型種のひとつになっている。 他のリスと同様、尾はかなり長く、体と同じ長さほどあるが、この長い尾は木の上などでバランスを取るのに役立っている他、尾の動きによって仲間同士のコミュニケーションを取る役目も果たしている。 耳は小さく、体毛は密生しているが、特に柔らかいということはない。 しかし、ミケリスの学名にある「Callosciurus」とは「美しいリス」の意味で、毛色は黒色、白色、橙色の三色にはっきりと分けられていて、とても美しい動物として知られている。 但し、ミケリスには幾つかの亜種があり、毛色には変化がある。 タイからマレー半島にかけて分布しているものは、背側と尾が黒く、脇が白くて腹側は鮮やかな橙色、頬は白っぽい色をしていて、リスの中でももっとも色鮮やかな毛色をしている。 しかし、スマトラ島北部やボルネオ島北東部に生息しているものは脇や頬が白くなく、背と尾が黒く、腹側は赤褐色をしている。 この他にも、オレンジ色の頬をしているものや、灰色の縞模様の尾をしているものなど、地域によって毛色の変化がある。 ミケリスの生態・生活 ミケリスは森林地帯に生息しているが、生息地が油ヤシやココナッツ、ゴムなどの栽培地に開発されたりすると、それらの耕作地周辺にも生息している。 昼間に活動し、特に早朝と夕方には活発に活動する。 他のリスと同様、動きはとても敏捷で、樹上でもかなり素早く動き、ミケリスは樹上性の哺乳類の中ではもっとも敏捷とも言われている。 その動きは活発でよく目立つが、ミケリスの鮮やかな三色の色合いは一種の保護色になっていて、樹木の間などで一度見失うと、再び探し出すのに時間がかかってしまう。 普段は単独で生活していて、地上に降りることは少なく、巣も木の洞を利用したり、木の葉や小枝などを使って樹上につくる。 主に樹木の中層から上層部で、イチジクなどの果実や木の実・芽・茎などを主に食べるが、雑食性で、時には昆虫類や鳥の卵などの動物性のものも獲って食べる。 生息地が油ヤシなどの栽培地に変わってしまうと、油ヤシの実を食べることもある。 また、ミケリスは熟した果実を木の割れ目に押し込もうとしているのが観察されていることから、食料を蓄えていると考えられている。 外敵は大型のヘビやワシなどの猛禽類が知られているが、ほかにも多くの捕食者がいると考えられている。 しかし、危険を感じるとすぐに樹上や森の中に身を隠してしまい、捕食されることは少ないとも言われている。 ミケリスの繁殖・寿命 ミケリスには決まった繁殖期がなく、一年を通して繁殖が見られるが、多くは6~8月頃と言われている。 また、ミケリスは1年に1~2回繁殖すると考えられているが、一夫一婦や一夫多妻などの繁殖形態などは分かっていない。 雌の妊娠期間は40~48日程で、1産1~4子で、普通は2~3子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体重16g程度で、45日程の授乳期間がある。 雌雄共に1年程で成熟し、野生での寿命は8~10年と言われているが、飼育下では17年のものが記録されている。 ミケリスの保護状況・その他 ミケリスは個体数が安定していると考えられていて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 しかし、生息地は近年の開発によって大きく減少していて、今後の個体数の影響が心配されている。 尚、ミケリスには40を超える亜種がいるとされているが、その内のいくつかは重複しているものもあり、実際の亜種はかなり少ないと考えられている。 |
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