動物図鑑・フトアゴヒゲトカゲ

フトアゴヒゲトカゲ さんのプロフィール



動物図鑑・フトアゴヒゲトカゲ

フトアゴヒゲトカゲ

有鱗目・アガマ科
学 名 Pogona vitticeps
英 名 Central bearded dragon
分布域 オーストラリア
生息環境 森林や草原、岩のある砂漠地帯など
全 長 45~60cm 程度
体 重 300~600g 程度

フトアゴヒゲトカゲはオーストラリアに分布している固有種で、ノーザンテリトリー州南東部からサウスオーストラリア州東部、クインズランド州南西部、ニューサウスウェールズ州西部など、オーストラリア中央部に広く分布している。

体はがっしりとした感じで、頭部は大きく、二等辺三角形のような形をしている。
腹部は扁平して幅広く、四肢は頑丈で、尾も太くてしっかりとしている。
また、尾は長くて、体の半分以上を占めているが、一般的に雄の方が頭部が大きく、鱗も大きい。

アゴヒゲトカゲは危険を感じると口を大きく開け、喉を膨らませて相手を威嚇するが、喉から首、体側にかけては棘のような鱗が並んでいて、このときの姿がアゴヒゲを生やしているように見えることから名前が付けられている。
この棘は頭部にも見られ、背側などにも棘のような突起状の鱗がある。

体色は茶色や褐色、赤褐色やオレンジ色などだが、緑色や黄色いもの、灰色や白っぽいものなど、変化が大きい。
いずれも腹側は淡い色をしているが、体色は体温や光によってある程度変えることができるが、これは体温調整を助ける役目をしていると言われている。

フトアゴヒゲトカゲは森林や草原、乾燥林や岩のある砂漠地帯など、さまざまな環境に適応している。
昼間に活動し、主にバッタやコオロギなどの昆虫類や、花や果実、木の葉などの植物を食べるが、カエルやトカゲ、小型のげっ歯類なども食べる。

半樹上性の生活をしていて、朝や夕方には岩や木の枝などに登って日光浴している姿が見られるが、日中の最も暑い時間の間は、木陰や岩陰、地下の巣穴などで過ごしている。
また、普段は単独で生活しているが、餌の多い場所などでは群れになることがある。

四肢の力は強く、移動するときは他のアガマ科のトカゲのように、体を地面から完全に持ち上げて移動することができる。
これは地面からの熱を避けるだけでなく、体を冷やすことにも有効であると言われている。

時に、3本の肢で体を支えて、前肢の1本をゆっくりと円を描くように動かすことがあるが、これは仲間とのコミュニケーションを示している言われている。
餌の多い場所などで、体の小さいものが大きなものに出会ったときなどは、しばしばこの行動が見られる。

繁殖期は9~3月頃の春から夏にかけて見られるが、飼育下では1年を通して繁殖することが知られている。
雌は土を掘って浅い巣をつくり、10~30個ほどの卵を産む。
卵はそのまま土の中に埋められ、温度によって60~80日程で孵化するが、飼育下では、約29℃で55~75日程で孵化している。

多くは1~2年で性成熟するが、性成熟は、年齢よりも体の大きさなどの成長率が優先すると考えられている。
また、雌は精子を体内に保存することができる特徴をもっていて、雄と離れていても卵を産むことができる。

寿命は長く、平均で10年程度、長いものだと15~20年ほどの寿命をもっている。

フトアゴヒゲトカゲは、現在のところ絶滅の危惧はないとされているが、保護のため、オーストラリアでは持ち出しを厳しく禁止している。
この他、フトアゴヒゲトカゲは仲間の行動を見て学ぶことができるなど、科学研究用に利用されることがある。

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