スペインイモリ (スペインイボイモリ / イベリアトゲイモリ) さんのプロフィール |
スペインイモリ
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有尾目・イモリ科 | ||||
学 名 | Pleurodeles waltl | |||
英 名 | Iberian ribbed newt / Spanish ribbed newt | |||
分布域 | イベリア半島やモロッコ | |||
生息環境 | 湖沼や池、流れの緩やかな川など | |||
全 長 | 15~25cm 程度 | |||
IUCNによる保存状況評価 / 準絶滅危惧種 (NT) | ||||
スペインイモリは、イベリア半島中部から南部にかけてのスペインやポルトガルに分布しているイモリの仲間で、モロッコ北西部にも分布している。 ヨーロッパではもっとも大きいイモリで、別名・イベリアトゲイモリ、スペイントゲイモリなどとも呼ばれている。 頭部は扁平していて幅広く、目は頭部の上方近く、やや前方についている。 四肢はよく発達していて、尾は長くて、体長の半分ほどの長さがある。 体色は灰褐色や暗灰色で、ふつうは黒っぽい斑が散在している。 また、体には小さな粒状の突起が多数あるが、体側面の肋骨に沿う粒状突起はオレンジ色をしている。 普通は雄の方が雌よりも体が小さく、細い体つきをしている。 飼育下では全長20cmを超えるものはほとんど見られないが、自然下では、大きいものは全長30cm程に成長する スペインイモリは湖沼や池、流れの緩やかな川などに生息していて、水生植物が繁茂しているようなところで見られる。 水深があるようなところを好み、日中は水生植物などの間で休んでいて、主に夜間に活動する。 泳ぎは大変うまく、水生昆虫やミミズ、カエルなどの両生類やその幼生などを食べるが、小魚なども食べる。 ほとんど水中生活をしていて、陸には滅多に上がってこない。 池や沼など、生息場所の水が干上がると、泥の中や岩の隙間などに潜り込み、雨で再び水かさが上がるまで休眠している。 ところで、スペインイモリは、国内のアカハライモリなどと同じように、尾や四肢などを完全に再生することができる。 目の水晶体や脊髄なども再生することができるが、損傷した心臓組織や脳細胞も再生できることが知られている。 この優れた再生能力は医学の研究にも役立っていて、宇宙空間での研究も行われている。 また、スペインイモリは、外敵などに襲われると肋骨を棘のように体から押し出し、身を守ることが知られている。 肋骨の先は尖っているが、普段は後方を向いていて、危険が迫ると前方に向かって動かし、脊椎に対する角度を最大50度まで広げることができる。 これにより、肋骨の先はしばしば皮膚を突き破って棘のようになり、有力な防御方法となる。 この様子から「トゲイモリ」と呼ばれているが、体からは乳状の有害な物質が分泌され、棘のようになった肋骨の先で相手の口内などを刺すことにより身を守っている。 この防御方法は極めて有効で、毒は口内の薄い皮を通して相手の体に入り、激しい痛みを引き起こす。 しかし、自らはこの毒に対しての免疫があり、肋骨によって破られた皮膚から体内に毒が入っても、自らに害を及ぼすことはなく、破られた皮膚も繰り返し再生される。 このほか、繁殖期は3~6月頃と言われているが、スペインイモリには決まった繁殖期は見られないとも言われている。 雌は一度に200~300個程の卵を年に4~5回ほど産卵し、卵は水草や岩などに産み付けられる。 幼生は全長10cm程に成長すると成体へと変態し、飼育下では10年以上の寿命をもっている。 尚、近年の開発による生息地の消失などによって、スペインイモリの生息数は減少している。 特に、観光地が集中しているイベリア半島とモロッコの沿岸地域やマドリード郊外などではほとんど見られなくなってしまっている。 現在、国際自然保護連合(IUCN)では準絶滅危惧種(NT)に指定しているが、導入されたオオクチバスなどによる卵や幼生の食害も加わり、更なる生息数の減少が心配されている。 |
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