オウギバトはニューギニアの固有種で、頭頂にある大きな扇状の冠羽が特徴になっている。 全体に綺麗な鳥だが、近年は生息数が減少していて、準絶滅危惧種に指定されている。
分布域・生息環境 オウギバトはニューギニアの固有種で、ニューギニア島北部と北西部のビアク島、ヤーペン島に分布している。 地上性の鳥で、熱帯雨林や湿地林などに生息している。 大きさ・形態 オウギバトは尾羽が長く、全長70~75cm程もあり、国内で見られるキジバト(全長30~35cm程度)に比べると倍ほどの大きさがある。 原生のハト類の中ではもっとも大きいと言われていて、全長80cmを超える個体も知られている。 雌雄同色の鳥で、全体に暗い青灰色のような色をしているが、胸は紫色を帯びた赤色のような色をしている。 また、目は赤く、目の周りは黒っぽい色をしている。 しかし、オウギバトの特徴は頭頂に見られる冠羽で、扇状に大きく開き、先端は白い色をしている。 英名では「Victoria crowned pigeon」と呼ばれているが、この冠羽をビクトリア女王の冠に見立てたことによる。 生態・生活 オウギバトは熱帯雨林や湿地林などに生息していて、ペアや小さな群れをつくって生活している。 主に低地で見られるが、沿岸部や河口域でもよく見られるほか、標高600~900m辺りまでの低山地や丘陵地にも生息している。 日中に活動するが、暑い時間帯は休んでいることが多く、早朝や夕方に活発に活動する。 主として地上性の鳥で、採餌も地上で行われる。 多くの時間を採餌に費やしていて、林床などで落下果実や種子などを食べるが、昆虫類やミミズなども食べる。 危険を感じたりすると、まっすぐに樹冠部や大きな木の枝に飛び上がり、あまり長距離を跳ぶことはない。 繁殖・寿命 繁殖期は雨期の終わりから乾季にかけて見られ、繁殖は一夫一婦で行われる。 この時期の雄は、頭を上下に振ったりするディスプレイを行うが、ペアの関係は生涯続くと言われている。 巣は比較的低い樹上につくられるが、巣材は雄が運び、主に雌が巣作りをする。 巣は小枝やヤシの葉、茎などを用いた皿状のもので、雌はふつう1個の卵を産み、抱卵も主に雌が行う。 卵はひと月ほどで孵化し、育児は雌雄によって行われる。 ヒナはひと月ほどで巣を離れるが、その後も3ヵ月ほどの間は親と一緒に生活している。 早ければ雌雄ともに15か月程で成熟し、飼育下での寿命は20~25年程度と言われている。 また、フラミンゴの仲間は「フラミンゴミルク」と呼ばれる栄養のある液体を分泌し、ヒナに口移しで与えるが、ハトの仲間も「ピジョンミルク」と呼ばれる栄養のある物質をそ嚢(そのう)から分泌してヒナに与えている。 ビジョンミルクは雌雄ともに分泌するが、孵化後の数日間はこのピジョンミルクによって成長し、徐々に餌を食べるようになる。 保護状況・その他 近年の開発や森林伐採などにより生息地は減少していて、オウギバトの個体数も減少している。 現在、国際自然保護連合では準絶滅危惧種(NT)に指定しているが、ワシントン条約でも附属書IIに記載されていて、取引などは厳しく規制されている。 尚、オウギバトには次の亜種が認識されている。 Goura victoria victoria ニューギニア島北西部のビアク島、ヤーペン島に分布する基亜種 G. v. beccarii ニューギニア島北部に分布 |
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オウギバト