インドガン

インドガン さんのプロフィール


インドガン

インドガン

カモ目・カモ科
学 名 Anser indicus
英 名 Bar-headed goose
分布域 アジア中央部辺り
生息環境 河川や湖沼、湿原など
全 長 68~78 cm 程度
翼開長 140~160cm 程度
体 重 1.8~3.2kg 程度

インドガンはヒマラヤ越えをする渡り鳥としてよく知られている鳥で、もっとも高く飛ぶ鳥としても紹介されている。
雌雄ともに同色の鳥だが、全体に落ち着きのある美しい色をしている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


インドガンの分布域・生息環境
インドガンは、夏にはカザフスタンやウズベキスタン、モンゴルやロシア南東部、チベットなどで繁殖し、冬にはインドやネパール、バングラディシュなどへ渡って越冬する。
湖沼や湿原、草原などに生息していて、大きな群れや家族群で生活している。


インドガンの大きさ・形態
インドガンはマガンと同じほどの大きさで、全長は68~78cm程度、翼を広げると140~160cmほどの長さがある。

体は全体に灰色や青みがかったような灰色をしているが、嘴と足は山吹色でよく目立つ。

首の後ろ側は暗色をしているが、頭部から首の両側面は白い色をしていて、後頭部には黒っぽい2本の帯が見られる。
そのうちの一本は両目に繋がっていて、嘴の先は黒い色をしている。
また、側面から見ると、体の前半分は縞模様のようにも見える。

雌雄ともに同色の鳥だが、全体に美しい色合いをしている。


インドガンの生態・生活
インドガンは河川や湖沼、湿原などに生息していて、大きな群れや家族群で生活している。
耕作地や草原などにも生息していて、昼間は主に休んでいて、夕方になると活発に活動する。
草類や種子を主に食べているが、耕作地で穀類なども食べるほか、魚や甲殻類、昆虫なども少しは食べる。

外敵はカラスやワシなどの猛禽類で、アカギツネなどに襲われることもある。
危険を感じとると大きな鳴き声を上げ、群れの仲間に知らせる。

ところで、インドガンは夏場を中央アジアの高地で過ごし、冬になると南へ下る渡り鳥だが、渡りの時期にはヒマラヤ山脈を越えて移動し、もっとも高く飛ぶ鳥のひとつとして知られている。

最高高度は6400m程になることが記録されているが、ヒマラヤ山脈を越える時には、標高7000mまで上がる個体もいると言われている。

ヒマラヤにはエベレスト(標高8850m)を含む高い山々がそびえていて、高度が高くなるにつれて空気も薄くなる。

このような厳しい渡りができるのは、インドガンの毛細血管の密度が高く、毛細血管の間隔が狭いためだ考えられている。
これにより、飛翔筋などの筋肉に酸素をより多く供給できることになり、高高度の長距離移動を可能にしている。

また、密度の高い毛細血管に加えて、インドガンの血液には、酸素をより効率的に取り込むヘモグロビンも含まれている。

渡りの時期の移動には2ヵ月ほどかかるが、ヒマラヤを超える時には休まずに、8時間ほどもかけてひといきに超えることも知られている。

移動距離も8000km程にも及ぶが、このような長距離移動できる飛翔力も、他の鳥に比べると、インドガンの飛翔筋に含まれるミトコンドリアの数が多く、エネルギーの生成も効率的に行われている。

飛行するときは、他のガンなどと同様、「V」字型の編隊を組んで飛行し、先頭の鳥が疲れると後ろに下がり、別のものが先頭に立って飛行を続ける。

「J」字や「V」字の片方の腕がない形に変化することもあるが、いずれもの形も、各個体が抵抗を減らし、エネルギーを節約できるような形をつくって飛行をしている。


インドガンの繁殖・寿命
インドガンは毎年繁殖し、繁殖期は4~7月頃に見られる。
この時期には大きなコロニーを形成するが、繁殖は一夫一婦で行われ、ペアの関係は数年間ほどは続くと言われている。
しかし、群れの中に特に雌が多い場合は、一夫多妻で繁殖するとも言われている。

巣作りは4月の終わりから6月にかけて行われ、巣は沼地や湖の近くにつくられる。
雌は3~8個の卵を産卵し、卵は28~30日ほどで孵化する。

育児は雌雄によって行われ、ヒナは55~60日ほどで巣立ちするが、その後も2~3週間ほどの間は親からの給餌を受けて成長する。

雌雄ともに3年ほどで性成熟し、寿命についてはほとんど分かっていないが、20年ほどの寿命があるのではないかと考えられている。
近縁種のハイイロガンは野生で20年で、飼育下では30年ほどの寿命をもっているので、インドガンもこれと同じ程度の寿命があるのだろう。


インドガンの保護状況・その他

インドガンは狩猟の対象にされることもあるが、個体数は安定していて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

しかし、分布域が広く、ヒマラヤ越えで渡りを行うこともあり、正確な個体数などは把握できていないようで、今後の研究が待たれる。

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