キツネはシカやサル、タヌキなどと共に国内でも馴染みの深い動物だが、アカギツネはキツネの中ではもっとも普通に見られれ、ユーラシア大陸のほぼ全域と北アメリカに広く分布している。 また、北アフリカの一部にも分布し、様々な地域環境にも適応している。 生息域が広いため多くの亜種が知られているが、日本に分布してるホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)やキタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)などもアカギツネの亜種で、国内では一般に「キツネ」と呼ばれることが多い。 体は長く、鼻面は細くとがり、耳は三角形で大きい。 毛色はふつう赤褐色や褐色などで、胸や腹部は白っぽい。 尾の毛はふさふさとして長く、尾の先もふつうは白いが、黒いものも見られる。 四肢はイヌに比べると短く、体よりは暗い色をしている。 また、耳の後ろ側も黒っぽい。 毛色が銀色や黒色にみえるギンギツネはアカギツネの黒色変種だが、アカギツネの毛をよく見ると、赤や茶色、黒色、白色などが混ざったアグーチになっている。 また、尾のつけ根には臭腺があ.るほか、足の中央にあるしょ球の前にも小さな孔があり、独特の臭いを出す。 この臭いを樹木などにつけることによって、縄張りが主張される。 主に森林や雑木林、草原などに生息しているが、半砂漠地帯や時には人の住む市街地近くにも姿を見せる。 また、アカギツネは温帯域に多く分布しているが、別種のホッキョクギツネが生息する極寒のツンドラ地帯にも現れるほか、垂直方向の生息域も広く、4000mを超える高地にも生息している。 普段は縄張り内で単独で生活し、昼夜共に活動するが、主に早朝と夕方に活発に行動する。 縄張りの広さは、食料事情や地域に生息する個体数などによっても異なり、半砂漠地帯などの食糧事情の悪いところでは50k㎡、食料の豊富なところでは10k㎡、或いはそれ以下とも言われ、市街地近郊などに生息するものは1k㎡以下とも言われている。 ネズミやノウサギ、モグラなどの小動物や昆虫類、ミミズなどを食べるが、雑食性で果実や鳥や鳥の卵など、様々なもの食べる。 また、獲物は決った道を通って探すと言われているが、ニワトリや家畜のウサギなどを襲うこともある。 嗅覚と聴覚はたいへん鋭く、アカギツネは泳ぎもうまい。 速足で歩くことが多く、駆けると50km/h程で走ることができ、時には70km/h程で走るとも言われている。 巣穴は自ら掘ることもあるが、マーモットやアナグマなどの古巣や岩穴なども利用する。 また、縄張りの中には複数の巣穴が設けられていて、この内の大きいものが出産や育児などに使われる。 この巣穴は何年も使われ、その間に巣穴は次第に広くて深くなり、入り口も複数がつくられる。 他のものは危険が迫ったときなどに逃げ込んだり、食べ物を蓄えておくのに使われ、育児用のものよりは小さい。 繁殖期は12月~4月頃で、分布域が広いため、北方のものと南方のものとでは異なっていて、北のものほど遅くなる。 一夫一婦と考えられていて、雌は妊娠期間52日前後で、普通は1産4~5子を出産するが、多いものでは7~10子、或いはそれ以上を出産することもある。 生まれたばかりの子どもの体重は平均100g程で、毛色は黒っぽい。 目は閉じていて、2週間程の間に目は開き、この頃から固形物も食べるようになる。 寿命は5~10年程度と考えられているが、野生の多くのものは、それまでに事故や病気などでなくなってしまう。 しかし、飼育下では18年を超すものも知られている。 アカギツネはオーストラリアにも狩猟用として移入されているが、独自の進化を遂げてきた在来動物の脅威となっている。 その他、アカギツネは家禽などを襲うために害獣として駆除されることがあるが、キツネはネズミをよく捕らえるので、キツネが少なくなった地域ではネズミの害が増えることもある。 外敵はクマやオオカミ、オオヤマネコなどが上げられるが、一番の外敵は人間とも言われていている。 アカギツネは分布域が広く、環境への適応能力にも優れていることから、絶滅の恐れはないと考えられているが、森林の開発などによる生息地の減少が指摘されている。 イヌ科の動物へ / このページの先頭へ |
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アカギツネ (キツネ)