ニホンノウサギ

ニホンノウサギ (ノウサギ) さんのプロフィール


二ホンノウサギ

ニホンノウサギ (ノウサギ)

ウサギ目 ウサギ科
学 名 Lepus brachyurus
英 名 Japanese Hare
分布域 日本(本州・四国・九州・佐渡・隠岐など)
生息環境 森林地帯や草原など
体 長 40~55cm 程度
尾 長 2~5.4cm 程度
体 重 1.5~3kg 程度

ニホンノウサギ(ノウサギ)は国内に分布している固有種で、単にノウサギと言えば本種を指すことが多い。
キツネタヌキシカニホンザルなど共に馴染みのある動物だが、昼間は隠れていることが多く、見る機会は少ない。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


ニホンノウサギの分布域・生息環境
ノウサギの仲間はアフリカやユーラシア、北アメリカなどに広く分布しているが、二ホンノウサギは日本の固有種とされていて、北海道を省く本州や四国、九州と、その周辺の島に分布している。

平地から標高のある山地まで見られ、藪や草原、森林などのほか、河川周辺の雑木林などにも生息している。


ニホンノウサギの大きさ・特徴
二ホンノウサギは、ヨーロッパ北部からシベリア、モンゴル、北海道などに分布しているユキウサギによく似ているが、体は小さく、尾は短い特徴がある。

耳は細長く、6~9cm程もあり、自由に動かすことができる。
後ろ足は前足よりも長く、前足に5本、後ろ足には4本の指がある。

体毛は短く、毛色は茶色や赤茶色、褐色などで、腹部は白いが、四肢も茶色っぽい色をしている。
しかし、二ホンノウサギには夏毛と冬毛が見られるものもいて、冬でも茶色のままのものと白くなるものがいる。

北のものや積雪地帯に分布しているものほど白色化が多く見られる特徴があるが、これは周囲の環境に適応した保護色になっている。

また、この毛色の変化は、気温や日照時間、光量などの環境条件に影響されると考えられている。


ニホンノウサギの生態・生活
ニホンノウサギは平地から丘陵地、山地まで生息していて、標高2700m辺りの高地まで見られる。

主に藪や草原、森林などに生息しているが、荒地や二次林、河川周辺でも見られる。
時には都市近郊の丘陵地や山地などで見られることもあるが、多くは農村部に生息していて、森林の端の人里の近いところに多い。

ノウサギの仲間は群れをつくることはなく、普段は単独で生活している。
草食性で、草や草の茎、木の葉などを食べるが、イタドリやスギナ、ススキなどのイネ科の植物など、季節によって様々なものを食べ、冬には樹皮や小枝なども食べる。

主として夜行性の動物で、昼間は木の根元や洞、岩陰や草むら、藪の中などで休んでいるが、ノウサギの仲間は、巣穴などはつくらない。

早朝や夕方には活発に活動し、行動範囲は季節や食糧事情などによって変化するが、行動範囲はねぐらとなる周囲0.1~0.3平方km程度と言われていて、一晩に0.06平方km程を移動すると考えられている。

外敵はキツネやテンワシなどの猛禽類だが、聴力に優れていて、外敵を察知すると、甲高いような鳴き声を上げて仲間に知らせる。
動きは素早く、走るときには耳を倒して、丈夫な後足で跳躍する。

また、二ホンノウサギは日中にも活動するが、人との接触が多いようなところでは、しばしば夜行性になる。
山地でも見る機会は少ないが、ノウサギは警戒心も強く、姿を見てもすぐに逃げてしまう。


ニホンノウサギの繁殖・寿命
二ホンノウサギの繁殖期は地域によって差があり、南のものは1年を通して繁殖するが、北のものは1~8月頃に見られる。

繁殖期には雄同士が争うようなことがあるが、特定の繁殖形態はなく、雌雄共に複数のものと交配する。

雌の妊娠期間は42~47日程で、1産1~5仔、稀に6仔を出産するが、普通は2仔を出産する。
また、妊娠期間が短いこともあり、ニホンノウサギは年に3~5回ほど繁殖する。

出産のときにも巣穴などはつくらず、出産は岩陰や洞、地面のくぼみなどに枯れ草などを敷いて行われる。

生まれたばかりの子どもの体重は80~100g程度で、目は既に開いている。
子どもは出生後ほどなく動き回ることができ、生後10日から2週間ほどで草類を食べはじめるようになる。
ひと月を過ぎるころには離乳し、雌雄ともに8~10か月ほどで性成熟する。

飼育下での寿命は10年程度だが、野生下は短く、3~4年程度と言われている。
しかし、飼育下での寿命に比べると、3~4年の寿命はやや短いようにも思う。


ニホンノウサギの保護状況・その他
国際自然保護連合(IUCN)によると、現在、ニホンノウサギには絶滅の危惧はないとされているが、国内では森林の開発などによる生息地の減少などが懸念されている。

ノウサギは農作物に被害を与えることもあり、害獣として駆除されることもあるが、一方ではキツネやワシなどの大切な獲物にもなっていて、ノウサギの減少による他の動物への影響なども心配されている。

かつては、食料や毛皮の利用などで広く狩猟されていたニホンノウサギだが、現在ではほとんど見られない地域もあり、自治体によっては準絶滅危惧種などに指定される状況になっている。
亜種であるサドノウサギは、環境省でも準絶滅危惧種に指定していて、自然環境の保全などが提唱されている。

尚、ニホンノウサギは次のような亜種に別けられている。

キュウシュウノウサギ (Lepus brachyurus brachyurus)
ニホンノウサギの基亜種で、東北より南の本州太平洋側から四国、九州などに分布している。

オキノウサギ (L. b. okiensis)
隠岐諸島に分布していて、体長50cm、耳の長さは9cm程で、毛色は冬でも白くならない。

トウホクノウサギ (L. b. angustidens)
東北地方から本州の日本海側に分布していて、冬には白色化する。

サドノウサギ (L. b. lyoni)
佐渡ヶ島に分布していて、冬には全身が白色になる。

上の4亜種が一般的に認められているが、亜種の再検討も提唱されている。
特にキュウシュウノウサギとトウホクノウサギは分布の境界が不明瞭なことなどもあり、亜種については今後の研究が待たれる。

また、国内のウサギの仲間としては、北海道にナキウサギ科の「エゾナキウサギ」が生息しているが、奄美大島と徳之島のみに生息する「アマミノクロウサギ」は、本種と同じウサギ科に属しているが、ウサギ科の中でも最も原始的な種類で、国の天然記念物に指定されている。

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