トウホクノウサギは、国内に分布しているニホンノウサギの亜種で、東北地方や本州の日本海側に分布している。 冬でも積雪のある地域に生息していて、夏では褐色の毛色をしているが、冬季には白い色になる。
トウホクノウサギの分布域・生息環境 トウホクノウサギは、名前のように、東北地方を中心に分布しているが、本州の日本海側にも分布している。 他のノウサギのように、丘陵から山地にかけての草地や森林などに生息していて、普段は単独で生活している。 また、本州では、東北地方より南の太平洋側に別亜種のキュウシュウノウサギが分布している。 トウホクノウサギの大きさ・特徴 トウホクノウサギは体長45~55cm程で、形態や生態などは他のニホンノウサギによく似ているが、後肢がやや長いことが特徴とされている。 後肢には4本の指があり、足裏には肉腫などはなく、毛が密生している。 大きな耳は自由に動かすことができ、外敵などの接近を素早く聞き分けることができる。 毛色は季節によって変化し、夏毛では褐色や灰褐色で、冬毛はふつう白色になるが、耳の先は黒っぽいままになっている。 この毛色の変化は環境に応じての保護色と考えられているが、毛色の変化は気温よりも日照時間に関係していると考えられていて、日が短くなるにつれて白色化していく。 トウホクノウサギの生態・生活 トウホクノウサギは、ほかのニホンノウサギのように、丘陵地から山地にかけての草地や藪、森林などに生息しているが、里山の農地近くや疎林にも姿を見せることがある。 普段は単独で生活していて、昼間は岩穴や木の洞、藪の中などで休んでいて、主に夕方と夜明け近くに活動する。 草食性で、草類や木の葉などを食べるが、冬季には小枝や樹皮などを食べる。 主として夜行性であるため、山などでも見る機会が少ないが、警戒心も強く、見つけてもすぐに飛び跳ねて逃げてしまう。 外敵はキツネやテン、ワシなどの猛禽類で、長い耳で危険を聞き分けると、素早く身を隠し、外敵をやり過ごす。 逃げる時には丈夫な後肢で跳躍し、ジグザクに走ったり、同じところを回ったりする。 これは臭いや足跡などを辿って追われにくくしていると考えられている。 トウホクノウサギの繁殖・寿命 トウホクノウサギの繁殖期は3~10月頃で、特定の繁殖形態はなく、雌も複数の雄と交配し、この間に3~5回ほど出産する。 雌の妊娠期間は45日程で、1産1~4子、平均すると2子を出産する。 巣穴などはつくらず、出産は草原や藪の中で行われ、地面のくぼみなどに枯れ草などを敷いて行われる。 生まれたばかりの子どもは目が開いていて、毛も生えている。 育児は雌によって行われるが、親は外敵に見つからないように子どもを藪の中などに隠し、授乳の時だけ戻って短い時間授乳する。 子どもは1週間から10日ほどで草などを食べはじめ、ひと月ほどで離乳し、独立した生活を送るようになる。 雌雄ともに8~10ヶ月程で性成熟し、野生下での寿命は3~4年程度と言われている。 しかし、飼育下では10年ほどの寿命があるので、野生下でも5~6年、或いはそれ以上の寿命をもっているようにも思ったりする。 トウホクノウサギの保護状況・その他 トウホクノウサギを含むニホンノウサギは、かつては里山近くでもよく見られ、食用や毛皮を目的とした狩猟も行われてきたが、近年の森林開発などによる生息地の減少、農作物やスギなどの苗木を食べる害獣として駆除されたこともあり、生息数は減少している。 このほか、ニホンノウサギには、本種を省き次の3亜種が知られている。 キュウシュウノウサギ(Lepus brachyurus brachyurus) 本州・太平洋側や四国、九州に分布する基亜種 サドノウサギ(L. b. lyoni) 佐渡島 オキノウサギ(L. b. okiensis) 隠岐諸島 しかし、これらは主に毛色や後肢の長さに基づいているが、毛色の変化は日照時間や気温によって変化することなどから、亜種の再検討も提唱されている。 特にトウホクノウサギとキュウシュウノウサギの境界ははっきりとしていないこともあり、亜種については今後の研究が待たれる。 |
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トウホクノウサギ