アナグマはヨーロッパからアジアにかけての寒帯から温帯域に広く分布していて、国内では北海道を省く、本州・四国・九州に分布している。 以前は、1属1種とされていて、地域によって体の大きさにも違いあり、多くの亜種に分けられいたが、現在は、ヨーロッパやロシア西部などに分布しているヨーロッパアナグマ(Meles meles / European badger)、イランや中国などに分布しているアジアアナグマ(Meles leucurus / Asian badger)、国内に分布しているニホンアナグマ(Meles anakuma / Japanese badger)の三種に大別されている。 平均した体格はヨーロッパのものがもっとも大きく、国内に分布するものはもっとも小さい。 しかし、いずれも体は頑丈で幅広く、全体にずんぐりとした感じがする。 尾は短くて、四肢も太くて短い。 また、四肢にはそれぞれに5本の指を持っているが、前足の爪はとても長い。 毛色は背側が灰褐色や褐色などで、腹部と四肢は黒っぽく、口先から目、耳にかけて暗い縞があり、その間は白っぽい。 一見してタヌキに似ているが、タヌキはイヌ科に属しているが、アナグマはテンやカワウソなど同じイタチ科に属していて、盲腸はない。 ハナグマにも似た感じがするが、ハナグマはアライグマ科に属している。 山地から平野部の森林地帯、雑木林、草原、ステップなどに生息し、分布域が広い為、様々な環境に見られる。 主として夜行性の動物で、昼間は巣穴に潜んでいることが多い。 クランと呼ばれる5~6頭程の家族単位で生活し、巣穴は水はけのよい斜面などを利用して、地下2~3mのところにつくられ、乾燥した木の葉などで内部は清潔に保たれている。 大きいものでは長さが50mを超え、時には100m近くになるとも言われている。 入り口も複数設けられていて、幾世代にもわたる多数の集団で生活している。 この他にも単独でやつがいで生活するものの巣穴もあり、これらは家族で使うものよりは小さくて、ふつうは入り口もひとつだけである。 また、アナグマが使わなくなった巣穴をキツネなどが利用することもある。 アナグマは主にミミズや昆虫類などを食べるが、カエルやトカゲ、ヘビなどのほか、モグラやウサギなどの小動物、鳥類など、何でも食べる。 また、雑食性で、果実などの植物食も食べ、果物が豊富にある時期はその割合も多くなり、時にトウモロコシやライ麦畑などを荒らすこともある。 寒い地方に生息するアナグマは、クマのように冬に穴ごもりをし、大きな雄では秋には30~35kg程にもなる。 暖かい地方のものは冬でも活動するが、寒い時は寝ていることが多い。 アナグマは泳ぎもうまく、小さい時から飼うとよく慣れると言われているが、国内ではアナグマとタヌキの両方をムジナと呼び混同されることが多い。 また、アナグマの毛はあまり上質とは言えず、ブラシなどに使われるが、国内で俗にタヌキ汁と言われるものは、アナグマの肉を使ったものである。 行動範囲はさ地域環境や食糧事情などによって変わるが、平均で1~4k㎡と言われ、肛門腺や尾部下腺からの分泌液、尿などを樹木などにつけて縄張りを主張する。 分泌液を相手の体に擦り付けたりする習性もあるが、これは互いの識別やコミュニケーションの為と考えられている。 ヨーロッパに分布しているアナグマの繁殖期は周年見られ、特に決っていないが、多くは冬の終わりから夏にかけて行われる。 雌雄共に複数のものと交配すると考えられていて、雌はふつうは3~4子、多ければ6子を出産する。 また、受精卵には遅延着床がみられるため、妊娠期間は9~12ヶ月と長い。 生まれたばかりの子どもの体重は70~120g程で、目は開いていない。 ひと月程で目が見えるようになり、雌雄共に1年を過ぎる頃には性成熟すると考えられている。 野生での寿命は10~15年程度と考えられているが、短いものは6年程度とも言われている。 外敵はオオカミなどが挙げられるが、一番の外敵は人間で、害獣として駆除される他、狩猟の対象にもなっている。 アナグマは分布域や生息環境が広いこともあり、国際自然保護連合のレッドリストでは、現在のところ絶滅の恐れが少ないとされているが、地域によっては開発などによる生息地の減少が心配されている。 このほか、国内のニホンアナグマは1亜種とされているが、ヨーロッパアナグマは8亜種、アジアアナグマは5亜種が知られている。 イタチ科の動物へ / このページの先頭へ |
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アナグマ