ヒロハシサギは中・南アメリカなどに分布しているサギ科の鳥で、湖沼やマングローブ林などで生活している。 サギ類の中では珍しく、大きな嘴が特徴になっていて、名前の由来になっている。
分布域・生息環境 ヒロハシサギは、メキシコから中央アメリカを経て、ブラジルやアルゼンチン北東部などの南アメリカに分布している。 大きな移動をすることなく、湖沼や河口のマングローブ林、湿地やラグーンなどの水辺に生息している。 大きさ・形態 ヒロハシサギは全長45~50cm程で、国内で見られるコサギよりも小さい。 しかし、全体はずんぐりとしたような体つきで、体重は500~700gほどの重さがある。 特徴は大きな嘴で、サギ科の中では珍しく、平らで幅広い嘴をもっている。 頭頂には冠羽が見られるが、この冠羽は長く背中まで延びている。 また、目はかなり大きい。 亜種によってやや違いはあるが、体は青みを帯びたような灰色で、脇は黒く、胸や腹側はオレンジ色をしている。 頭頂や冠羽は黒色で、大きな嘴も黒っぽい色をしている。 雌雄ともにほぼ同じ色をしているが、体は雄の方が少し大きく、冠羽も長い。 また。雌では全体に灰色がかった色をしている。 生態・生活 ヒロハシサギは湖沼や河口のマングローブ林、湿地やラグーンなどの水辺に生息していて、普段は単独で生活している。 主として夜行性で、採餌も主に夜間に行われる。 主に魚類を食べるが、甲殻類やカエルなどの両生類のほか、水生昆虫や時に小型の哺乳類も食べる。 採餌は植物が繁茂する浅い水域で行われ、水面に張り出した枝にとまって餌を探したり、水の中を歩き回って探したりするが、、これは他のサギ類と同じように見える。 しかし、ヒロハシサギは大きな嘴で水をすくったりかき回したりして採餌することもあるので、他のサギ類では見られない大きな嘴は、採餌の時などの役に立っていると考えられている。 また、月明かりを含め、人工の照明があると餌を食べないと言われているが、ヒロハシサギは日中に採餌することが観察されている。 しかし、警戒心が強く、人が近づくとすぐに飛び去ってしまう。 具体的な外敵などは分からないが、驚いた時や威嚇する時などは冠羽を上げるが、その形は大きな扇状になる。 繁殖・寿命 繁殖期はふつう雨季に見られるが、雨量や食糧事情によって変化があり、沿岸域では乾季になることもある。 この時期には数組から十数組ほどの小さなコロニーが形成されるが、ペアだけのことも見られる。 また、他のサギ類と混成のコロニーをつくることもある。 雄は嘴を打ち鳴らすクラッタリングという求愛ディスプレイなどを行い、繁殖は一夫一婦で行われる。 巣はマングローブ林などのほか、氾濫原の水面に張り出した樹木につくられる。 巣は樹上につくられるが、高さは50cm程のところから10m程の高さまで、さまさざまな高さのところに見られる。 巣は葉のついた小枝などを利用した平らなもので、幅30~35cm、深さ10~15cmほどのものだが、巣は再利用されることも多く、その場合は手を加えられて大きくなる。 雌は2~4個ほどのを卵を産み、雌雄ともに抱卵し、卵は25~35日ほどで孵化する。 巣立ちや成熟の時期などは分からないが、平均した寿命は8~9年、長いものは15年と言われているが、これが飼育下のものか野生下の寿命なのかは分からない。 また、ヒロハシサギは、人を避ける傾向があり、人がいたりすると巣を放棄することがあると言われている。 保護状況・その他 ヒロハシサギは分布域が広く、生息地の多くが適切な保全をされていることもあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 しかし、全体的な個体の概数は分かっておらず、地域によってはほとんど見られないところもあるなど、ヒロハシサギの生息数などについては、今後の調査、観察が必要とされている。 尚、ヒロハシサギには次の亜種が認識されている。 Cochlearius cochlearius cochlearius 南アメリカ北部から中央部にかけて分布する基亜種 C. c. panamensis コスタリカやパナマ C. c. phillipsi メキシコ東部やベリーズ C. c. ridgwayi メキシコ南部からホンジュラス C. c. zeledoni メキシコ西部 |
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ヒロハシサギ