動物図鑑・ナガレヒキガエル

ナガレヒキガエル さんのプロフィール



動物図鑑・ナガレヒキガエル

ナガレヒキガエル

カエル目・ヒキガエル科
学 名 Bufo torrenticola
英 名 Japanese stream toad
分布域 中部地方西部から紀伊半島辺り
生息環境 山間部の渓流やその周辺など
全 長 雄で 7~12cm 程度、雌で 8.5~16cm 程度

国内のヒキガエルの仲間には、外来種を省き、ニホンヒキガエルミヤコヒキガエル、ナガレヒキガエルの三種が自然分布しているが、ナガレヒキガエルは富山や石川、福井や岐阜などの北陸・中部地方西部から滋賀、京都、奈良、三重、和歌山などの近畿地方に分布していて、日本の固有種とされている。

体つきはずんぐりとしていて、体にはイボ状の突起があるなど、形態はニホンヒキガエルによく似ている。
水かきがあまり発達していないことなども同じだが、ナガレヒキガエルの四肢は、ニホンヒキガエルよりもやや長い。
また、鼓膜は不明瞭で、耳線もやや小さいなどの特徴があるとされている。

体色は緑褐色や暗緑色、黒褐色などで、腹側は黄色や淡い色をしている。
背側には白色や暗色の斑があるが、赤や橙色などの斑があるものも見られ、腹側にも暗色の斑がある。

ナガレヒキガエルは、主に山間部の渓流やその周辺に生息していて、ニホンヒキガエルのように、平野部にある人家の庭先などでは見られない。
標高1700m辺りでも見られ、地表性だが、時に木に登ることもある。

ニホンヒキガエルなどと同様、昆虫類や節足動物、ミミズやサワガニなどを食べるが、獲物を捕らえるときも同じで、跳び付いたりするよりも、長い舌を使って捕らえることが多い。

繁殖期は3~5月頃で、この時期の雄はイボ状の突起がなくなり、水中生活に適するように、滑らかな皮膚になる。
しかし、ナガレヒキガエルの繁殖は、ニホンヒキガエルのように池や湖、水田などの止水域では行われず、流れのある山地の渓流で行われる。
このことから和名(ナガレ)や英名(stream)が付けられているが、流水域で繁殖するカエルは珍しいと言われている。

雌は、渓流の浅い水場にある倒木や岩などに、ひも状の卵塊を産み付ける。
卵は2500~4000個と言われているが、流れに流されないよう、卵塊は岩などに巻きつけられるようにして産み付けられる。

幼体のオタマジャクシは流れの中で生活するが、吸盤状の大きな口をもっていて、流されないよう岩などに吸い付くようにし、藻類などを食べて成長する。

寿命は10年程度と言われていて、他のヒキガエルと同様、危険を感じると耳線や皮膚から有毒の粘液を出す。

ナガレヒキガエルは、現在のところ絶滅の恐れはないとされているが、渓流の水質汚染や砂防堰堤の建設、森林伐採などによる生息地や繁殖地の減少が心配されている。
地域によっては生息数が減少していて、自治体によっては、絶滅危惧種や準絶滅危惧種に指定している。

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