動物図鑑・スッポン

スッポン (キョクトウスポッン・ニホンスッポン) さんのプロフィール



動物図鑑・スッポン

スッポン
(キョクトウスポッン・ニホンスッポン)

カメ目 スッポン科
学 名 Pelodiscus maackii
英 名 Northern chinese softshell turtle / Amur softshell turtle
分布域 日本やロシア極東地域から中国北東部など
生息環境 河川や池、湖沼など
甲 長 15~35cm 程度

スッポンは、よく噛み付くカメとして知られているが、スッポンの仲間は日本を含むユーラシアやアフリカ大陸、北アメリカなどに広く分布している。

この内、これまでは日本や台湾、ロシア極東地域から中国大陸沿岸部を経てベトナム南部辺りにかけて分布しているものを Pelodiscus sinensis としてキョクトウスッポンやシナスッポンなどと呼び、更に、この内で国内に分布しているものを亜種・P. s. japonicusとしてニホンスッポンと呼んでいた。

しかし、現在は、日本やロシア極東地域から中国北東部、朝鮮半島などに分布するものを Pelodiscus maackii として、P. sinensis からは独立した別種として捉えている。
このため、ニホンスッポンと言う呼称は誤解を招くようにも思われるが、国内では、ニホンスッポン、キョクトウスポッンなどの呼称に関わらず、単にスッポンと呼ばれることが多い。

スッポンは、国内では本州以南、四国や九州に分布していて、島嶼部では壱岐や五島列島などで見られる。
背甲は平たいが、背甲は他のカメ類とは違って、背甲に硬い角質の鱗板がなく、柔らかな皮膚で覆われている。

体は雄の方が少し大きく、尾も雌に比べて長くて太いが、いずれも首はかなり長くて、吻も突出している。
吻端も細く尖っていて、鼻孔は吻端についている。
また、水かきはよく発達していて、泳ぎは大変うまい。

背甲の色はふつう暗い黄色、オリーブ色のような色で、腹側はクリーム色などの淡い色をしている。
しかし、全体が黄色っぽいものや、稀に白っぽいものなども見られる。

スッポンは、河川の中流から下流域、平地から丘陵地にかけての池や湖沼などに生息している。
底質が砂や泥のような環境を好み、潜って身を隠せるような場所に多く見られる。

ほとんど水中で生活していて、発達した水かきは水中生活に適している。
長い首を伸ばし、鼻だけを水面に出して呼吸している様子がよく見られるが、スッポンの皮膚や咽頭の内面には毛細血管が集中していて、そこから水中の酸素を取り込むことができることもあり、長い時間水の中にいることができる。

しかし、産卵時以外は水辺から離れることがないが、日光浴を好み、時折、甲羅干しのために陸に上がってくる。
甲羅が軽いこともあり、陸の上でも思った以上に敏捷に動くことができる。

スッポンは昼夜共に活動するが、日中の間は、沈木や岩の間などに隠れていることが多い。
採餌は主として夜間に行われ、主に動物質のものを食べ、貝類や甲殻類、魚類などのほか、昆虫類やカエルなどの両生類なども食べる。
また、動物の死肉や落下果実、水草などの植物質のものも少しは食べる。

ところで、スッポンはよく噛み付くことで知られているが、元来は臆病で、何もしないと噛み付いてくるようなことはない。
噛まれたときは、しばらく動かないでじっとしていると噛むのを止め、水の中に入れてやると、離して逃げていくことが多い。

国内のスッポンの繁殖期は4~6月頃で、産卵は5~8月頃に見られる。
雌は砂地に穴を掘り、直径20~24mmほどの球形の卵を、1回に10~50個ほど産卵する。
卵は40~80日、平均すると60日程度で孵化する。

また、気温が下がる12~3月頃は、池や川の水底で越冬する。
寿命は30年以上と言われていて、長ければ100年程も生きるとも言われている。

このほか、スッポンは食用として利用されていて、国内でも養殖も行われている。
しかし、国内では、かつては農地近くのため池などでもよく見られたが、近年の農地の区画整理や河川・池沼などの護岸化、埋め立てなどにより生息地や産卵場所が急激に減少していて、スッポンの生息数も減少している。

環境省では、国内の野生の個体数などが詳しく分からず、情報不足としているが、国際自然保護連合(IUCN)では、従来は同種とされていた P. sinensis は生息数が減少しているとして、絶滅危惧種(VU)として指定している。
本種・P. maackii は未だ認識評価されていないが、P. sinensis と同じ程度に生息数が減少しているのではないかと想像できる。

一方、国内のスッポンは、大隅諸島から奄美諸島、沖縄諸島などの南西諸島に移入定着している。
これらは、食用や養殖用として持ち込まれたものが逃げ出したと考えられているが、在来の淡水魚類などへの影響が心配されている。

尚、頭部の形態がよく似ているスッポンモドキは、スッポンモドキ科に属していて、オーストラリアやニューギニア島などに分布している。

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