マナティーの仲間は、いずれも沿岸から河川、湖沼などに生息しているが、アフリカマナティーはアフリカ西海岸に沿って分布していて、北はセネガル川から、南はアンゴラのクァンツァ川辺りまで見られる。 体は全体に丸みがあり、中央辺りがもっとも幅広い。 頭部は小さく、吻は厚くて突き出ている。 唇は厚く、上唇には剛毛がある。 前肢は長い鰭状で、大きくてよく目立つが、後肢はない。 また、前肢の先端には爪があり、尾は丸いパドル状をしている。 体表には多くのしわが見られ、背部にはまばらに毛が生えている。 体色は灰色だが、藻類などが体について成長していることも多く、時には茶色や緑色のようにも見える。 アメリカマナティーとは大変よく似ていて、見分けるのが困難だが、アフリカマナティーはやや体が細長いと言われている。 また、インド洋沿岸部などに分布しているジュゴンともよく似ているが、ジュゴンの尾が半月状になっているのに対して、マナティーの尾は丸くなっていて、前肢も胸の前で合わせることができる。 アフリカマナティーは大きな河口域などに生息しているが、河川や内陸の湖沼などにも生息している。 マングローブの茂る沿岸や内湾などでも見られるが、ふつうは淡水の汽水域で見られ、塩水を避けると言われている。 水没した樹木があり、水草などが茂っているような環境を好み、河川では、水深が浅くなったり、大きな滝やダムなどで先に進めなくなるまで上っていく。 また、マナティーの仲間は水温に敏感だと言われていて、アフリカマナティーは水温が18℃未満の水域ではほとんど見られない。 普段は単独や4~6頭程の家族で生活しているが、15頭かそれ以上集まって採食するようなこともある。 主として草食性で、水生植物を食べるが、陸生の植物なども食べる。 採食は、厚い唇で水底の植物を擦り取るようにして食べたり、大きな前肢で水草などをかき回し、食べ物を口に運んだりする。 また、植物質のほか、貝類や軟体動物、魚なども食べる。 ほかのマナティーと同様、動きは緩慢で、ふつうは毎時5~8km程の速度で泳いでいるが、危険を感じたりすると、時速32km程の速さで泳ぐことができると言われている。 アフリカマナティーの詳しい生態や繁殖の様子などについては知られていないが、アメリカマナティーに似ているだろうと考えられている。 また、日中は水の中で休んでいることが多く、夜行性であるとも言われている。 繁殖は一年を通して見られるが、出産の多くは春から初夏にかけて見られる。 一夫多妻と言われていて、雌は妊娠期間13ヶ月程で、ふつうは1産1子、時に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体長1m程で、すぐに泳ぐことができる。 子どもは長ければ2年程の間は母親と一緒に生活していて、母子の結びつきは強いと言われている。 雌は、早ければ3年程で性成熟すると言われているが、雄では遅く、成熟するまでに9~10年ほどかかる。 時にサメやワニなどに襲われることがあるが、外敵はほとんどいないと言われていて、寿命は30年程度と考えられている。 近年の開発による生息地の減少や水質汚染などによる環境の悪化、漁業による混獲などによって、アフリカマナティーの生息数は減少している。 保護活動などが行われているが、水力発電所のダムのタービンバルブでの事故や、地域によっては狩猟の対象にもなっていて、密漁なども行われている。 現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)に指定しているが、更なる生息数の減少も心配されている。 尚、マナティーの仲間は、本種のほか、アメリカマナティー、アマゾンマナティー(Trichechus inunguis)が知られているが、いずれも絶滅危惧種に指定されている。 海牛目の動物へ / このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
アフリカマナティー