アジルテナガザルはインドネシアのスマトラ島中央部から南部や、マレーシアとの国境付近のタイの一部などに分布している。 他のテナガザルと同様、尾はなく、長い腕と指をもっている。 平均的な体重は5.4~5.8kg程で、体は雄の方が少し大きい。 体色には変化があり、全体に淡褐色や赤褐色、黒色、茶色など様々であるが、雌雄共に眉は白い。 雄では頬の毛も白いか淡い色をしているので、雌雄の区別は容易にすることが出来る。 また、雄は一見してシロテテナガザルに似た感じもするが、アジルテナガザルの四肢の先は白くない。 雌雄とその子どもからなる4頭程の家族単位で生活し、ほとんど樹上生活をしていて、地上に降りることは滅多にない。 主に熱帯雨林に生息しているが、湿地や低地林、標高1400m程の高地の森林地帯などにも生息している。 樹冠部分に多く見られ、主に果実を食べるが、木の葉や花などの他、昆虫なども食べる。 行動範囲は0.29k㎡程と言われているが、樹上では、ブラキエーションと呼ばれる長い腕と体を振り子のようにスイングする運動によって、枝から枝へと樹間を素早く移動する。 様々な鳴き声でコミュニケーションをとるが、早朝には大きな声をあげて縄張りを主張し、他の侵入者に対しては激しく威嚇する。 特定の繁殖期は見られず、妊娠期間7ヵ月程で、雌はふつう1産1子を出産する。 一夫一婦で、その関係は一方が死亡するまで続くと考えられている。 また、雄も育児を助け、子どもは2年程度は授乳期間があるが、その後も親と一緒の生活をする。 雌雄共に8年程で性成熟するが、この頃には親と別れて完全に独立していく。 具体的な外敵などは知られていないが、樹上生活をしているため、アミメニシキヘビなどの大型のヘビや猛禽類などに襲われることがあると考えられている。 野生下での寿命は25年程度と言われているが、飼育下では30~40年と考えられていて、中には44年のものが知られている。 近年の開発による大規模な森林伐採のため、生息地は急激に減少している。 現在、アジルテナガザルは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種(EN)として指定されているが、更なる保護が求められている。 また、一般にアジルテナガザルに亜種はいないと考えられているが、一部では、次の低地型と山地型の2亜種がいるとも言われている。 ・Hylobates agilis agilis (Mountain agile gibbon / マウンテンアジルテナガザル) ・H. a.unko (Lowland agile gibbon / ローランドアジルテナガザル) 尚、これに加えて、ボルネオ島のカプアス川とバリト川にかけて分布している亜種とされていた H. a. albibarbis (Bornean white-bearded gibbon / ボルネオシロヒゲテナガザル) は、現在、別種・Hylobates albibarbis として扱われている。 しかし、この種も、アジルテナガザルと同様、絶滅危惧種に指定されている。 テナガザル科の動物へ / このページの先頭へ |
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アジルテナガザル