トウキョウトガリネズミは、「トウキョウ」と名前についているが、北海道に分布している。 もっとも小さい哺乳類のひとつだが、観察例が少なく、生態などについてはあまり分かっていない。
トウキョウトガリネズミの分布域・生息環境 トウキョウトガリネズミは、ロシア北部のタイガ地帯やヨーロッパ北部(フィンランド、スウェーデン北部、ノルウェーの一部など)、サハリンや北海道などに分布しているチビトガリネズミ(Sorex minutissimus / Eurasian least shrew)の亜種で、「ネズミ」と付いているが、モグラなどと同じ真無盲腸目(旧食虫目)に属している。 「トウキョウ」と名前についているが、北海道に分布していて、東京を含め、本州などには生息していない。 これは、1903年に新種として発見された時(発見者はR. M. Hawkerとされる)、標本ラベルに Yezo(蝦夷)と書くべきところを Yedo(江戸)と誤記してしまったことに基づくと言われている。 北海道北部の豊富町や幌延町、猿払村、東部の浜中町や標茶町、標津町、釧路町、白糠町、根室町、鹿追町などに分布していて、低木がまばらに生えている草原や草地、森林や二次林、湿原などに生息している。 トウキョウトガリネズミの大きさ・形態 トウキョウトガリネズミは世界最小の哺乳類のひとつで、体は指先ほどの大きさしかない。 ネズミの中ではもっとも小さいカヤネズミに比べてもかなり小さく、コビトジャコウネズミ(Etruscan Shrew)に次いで体が小さいと言われている。 体つきはネズミに似ていて、吻は長く突き出ている。 体毛は、背側が褐色や暗褐色で、腹側は灰色や褐色を帯びた灰色のような色をしているが、尾は細長く、ほとんど裸出している。 トウキョウトガリネズミの生態・生活 トウキョウトガリネズミは、ササや低木がまばらに生えている草原や草地などに生息しているが、森林や湿原、カラマツの植林地などにも生息している。 また、主に平野部の草地や低木林で確認されていることから、人里に近いところに多く生息しているのではないかとも考えられている。 自然下での詳しい生態などは分かっていないが、寒冷地の腐植層などの土壌で生活し、冬の厳寒期でも冬眠しないことが知られている。 昼夜共に活動し、コオロギなどの昆虫類やクモ類、ミミズなどを食べるが、時々10~50分程度の睡眠をとり、採食と休息を繰り返す生活をしていると考えられている。 体が小さいため、非常に高い代謝率をもっていて、飼育下ではおよそ30分ごとに採食と休息を繰り返すと言われていて、一日に体重の3~4倍の餌を食べるとも言われている。 トウキョウトガリネズミの繁殖・寿命 トウキョウトガリネズミの詳しい繁殖の様子や寿命も分かっていないが、飼育下では15日程の妊娠期間の後、雌は2~7仔ほどを出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は0.2~0.25g程で、目は開いていない。 生後18日ほどで目が開き、生後ひと月ほどの後には独立する。 自然下での寿命は1年程度、飼育下では2年、長くて2年半ほどの寿命があると言われている。 また、自然下での繁殖期も分からないが、チビトガリネズミは一年に1~2回繁殖すると言われている。 トウキョウトガリネズミの保護状況・その他 トウキョウトガリネズミには、哺乳類や猛禽類、ヘビなどの爬虫類など、多くの外敵が考えられるが、生息数は安定していると言われている。 しかし、体が小さく、見つけるのが難しいこともあり、詳しい生息数なども分かっていない。 また、分布域も局所的で、確認例が少ないこともあり、環境省では絶滅危惧種(VU)、 北海道では絶滅危急種に指定している。 |
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トウキョウトガリネズミ