カヤネズミ

カヤネズミ さんのプロフィール


動物図鑑・カヤネズミ

カヤネズミ

齧歯目・ネズミ科
学 名 Micromys minutus
英 名 Harvest Mouse / Eurasian harvest mouse
分布域 ユーラシア北部や日本など
生息環境 湿気のある草原や低木林など
体 長 5.5~7.5cm 程度
尾 長 5~8cm 程度
体 重 4~11g 程度

カヤネズミはユーラシアに広く分布している小型のネズミで、国内にも生息している。
名前のように、背丈の高い草原や河川沿いのヨシ場などで見られ、国内ではもっとも小さいネズミとして知られている。
●分布域・生息環境
●大きさ・形態
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他


カヤネズミの分布域・生息環境
カヤネズミはヨーロッパからアジア北部に広く分布している小型のネズミで、スペイン北西部からヨーロッパ、中央アジアを経て、ロシアやモンゴル、朝鮮半島などに広く分布し、北緯45~60度辺りにかけて帯状のように分布している。

また、孤立した集団が中国南部やミャンマー北部、インドのアッサム地方などにも分布しているほか、南西諸島では見られないとも言われているが、国内では宮城県辺りから南に分布している。

背丈の高い草原やヨシ場、下草がある低木林などに生息しているが、耕作地などにも生息している。


カヤネズミの大きさ・形態
カヤネズミはネズミの仲間では体が小さく、平均すると6~7gほどの体重しかない。
しかし、目と耳は大きく、視覚、聴覚に優れている。

尾は体長と同じほど長くて裸出しているが、茎の上などでバランスをとるのに役立っている。
また、尾はものに巻きつけることができるので、後ろ足と尾を使って茎をつかむことができ、前足を使って自由に餌を集めたりすることができる。

毛は厚くて柔らかく、背中はオレンジ色や茶色、褐色や赤褐色などで、腹部は白っぽい色をしている。
また、冬毛は夏のものに比べて、やや太くて長くなる。


カヤネズミの生態・生活

カヤネズミは、背の高い草のある草原やヨシ場、草場が点在しているような低木林などに生息している。
山林に繋がる農地や水田、穀物畑などにも生息しているが、これは人の進出に伴ったもので、元来は河川沿いや湖沼近くの湿気の多いところに生息している。

普段は単独で生活していて、昼夜共に活動するが、特に夕方から夜間には活発に動きまわる。
3時間ほどの間隔で睡眠と採食を行うと考えられていて、冬の間も冬眠することなく一日中活動しているが、夏には夜行性になる傾向があると言われている。

種子や草類、果実や穀物などを食べるが、アリやバッタ、イナゴなどの昆虫類やその幼虫なども食べる。
季節によって様々なもの食べるが、食料の少ない冬には穀物のサイロなどで干草を食べたり、時には食料品店に入ったりして餌を探すこともある。

外敵は、キツネタヌキ、イタチやヘビ、フクロウなどの猛禽類だが、雨天による寒さや霜などもカヤネズミの生活に大きく影響している。

国内に生息しているカヤネズミ(M.m. japonicus)は、国内のネズミ類の中ではもっとも体が小さい。

生息環境や食性などは大陸に分布しているものと変わらず、河川敷や休耕田、草原や沼沢地などに生息していて、イネ科の植物が密生した、湿気のあるところに多く見られる。

カヤなどの茎に、直径10cm程度のボール状の巣をつくり、種子や草類、穀物などのほか、バッタなどの昆虫を食べる。

九州など南部の地域での繁殖は、春から初夏と、秋から初冬にかけての2回見られるが、関東などでは夏に見られる。


カヤネズミの繁殖・寿命

カヤネズミは分布域が広いこともあり、繁殖期には幅があるが、多くは4~10月頃に見られる。
また、天候などの条件がよければ12月まで続くと言われていて、地域によっては年に2回繁殖する。

巣は背の高いイネ科の植物などを利用して、地上から1m程の高さのところに直径6~13cm程のボール状の巣をつくる。
この巣は鳥の巣に似ているが、小枝などの巣材を運んできて巣をつくる鳥に対して、カヤネズミは周りの葉を利用し、これらを細かく裂いて、丸めてつくる。

雌の妊娠期間は17~20日程で、1産1~13子、普通は3~8子を出産し、5~6子が多い。
生まれたばかりの子どもの体重は1g程で、体長は2cm程しかない。
目は閉じているが、1週間から10日程で目が開き、2週間を過ぎる頃には離乳する。
この頃には巣を離れ、雌雄共に35~40日程で性成熟する。

寿命は短く、飼育下では4~5年近くの寿命をもっているとされているが、野生での寿命は長くて1年半程度と言われている。


カヤネズミの保護状況・その他

カヤネズミは分布域が広いことがあり、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。
しかし、開発などにより、分布域全体に渡って生息地が減少していて、それに伴い個体数も大幅に減少していると考えられている。

カヤネズミは他の動物の食料源にもなっているので、それらの動物への影響も心配されている。

国内においても、以前はどこにでもいた動物だが、草地や水田、河川敷などの減少によって、近年では全国的に生息地が減少していいる。
生息数も著しく減少していて、自治体によっては絶滅危惧種に指定しているほか、多くの自治体でも純絶滅危惧種などに指定されるほどに減少している。

また、海外の研究によると、カヤネズミは3年周期で個体数の増減が繰り返され、3年ごとに激減し、その後の2年をかけて回復すると言われている。
その理由については分かっていないが、興味深いことではある。

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