バイカルアザラシはゴマフアザラシと同じく小型のアザラシだが、淡水に棲む世界で唯一のアザラシとして知られている。 ロシアのバイカル湖や周囲の河川におよそ6~9万頭ほどが生息すると考えられていて、バイカル湖の生態系の頂点にあるとされている。 体毛は全身が濃い灰褐色で、腹部は少し黄色がかっている。 頭部に対してバイカルアザラシの目はかなり大きく、これは水中で視覚を頼りに獲物を探す為だと言われている。 繁殖期以外は、基本的に単独生活をし、主にカジカやハゼなどの魚類や甲殻類などを食べるが、採餌は主に夕暮れや夜間に行われる。 移動するときは、アシカ類とは違って後ろ足が後方に向かっているので、地上では後ろ足を地面につけずに、腹部を地面につけて前足を使って移動する。 水中ではかなり自由に動き回り、潜水能力にもすぐれ、通常でも20分程は潜っていることができ、長いときは数十分の潜水が可能だと言われている。 バイカルアザラシは、湖が凍結する冬期は北部に移動するが、氷が解ける頃には湖全体で活動する。 この移動距離は、9月から翌年5月までに400~1600km程を移動することが報告されている。 しかし、海から数百キロも離れた湖に、どの様にしてバイカルアザラシが生息するようになったかは疑問のままである。 一夫多妻で、妊娠期間9ヶ月ほどの後、ふつう1産1子、時に双子を出産する。 出産は2~3月頃で、生まれたばかりの子どもの体重は4~5kg程度。 子どもは氷に掘られた巣穴の中で育てられ、2~3ヶ月ほどの間は授乳される。 その後は徐々に魚やカニなどの甲殻類を食べるようになり、氷が解ける頃には独立していく。 雄は4~7年、雌では3~6年で性成熟し、大きいものは体重150kg近くまで成長する。 寿命は50年を超すと言われ、他のアザラシよりも長い。 外敵はヒグマが挙げられるが、ヒグマに襲われるよりも、毛皮を目的とした乱獲や漁具による事故、近年では環境破壊などによって、バイカルアザラシの数は減少している。 これまで、バイカルアザラシは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって準絶滅危惧種(NT)としてレッドリストに指定されていたが、現在は「少なくとも懸念(LC)」とされていて、生息数は持ち直している。 しかし、開発や漁業との問題など、今後の課題も残されている。 アザラシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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バイカルアザラシ