アザラシの仲間は北極から南極まで、幅広く分布しているが、ゴマフアザラシは北半球のみに分布している中型のアザラシで、北海道からアラスカに至るベーリング海やオホーツク海、日本海や黄海などに分布している。 毛色は灰褐色や灰色、銀灰色などで、名前のように、全身にはゴマを撒いたような黒や灰色、白などの小さな斑点が散在している。 斑点の多いものは黒っぽく見えるが、腹部は比較的斑点が少なく、生まれたばかりの子どもは白色か黄色を帯びた白色をしている。 体つきは、寒い海域に生息している為、厚い脂肪に覆われていて、ずんぐりとしている。 頭部は丸く、鼻先は幅が広くて、水中などでは鼻孔を自由に閉じることができる。 しかし、アシカ類とは違って、耳たぶはなく、後ろ足を前方に折り曲げることはできない。 その為、地上での動作は鈍く、前足をわずかに使って這うようにして移動するが、水中では後ろ足をうまく使って敏捷に泳ぎまわることが出来る。 また、耳たぶはないが、聴力は優れていると言われている。 主にニシンやタラ、カレイなどの魚のほか、イカやタコなどを食べるが、エビなどの甲殻類や貝類など、かなり幅広く食べる。 普通は3分程度をかけて水深20m程度のところで獲物を探したりするが、ゴマフアザラシは潜水能力にも優れ、20分ほども潜っていることができる。 また、潜水する深度は300m以上にも達することがある。 夏は各海域を回遊しながら生活しているが、外洋で見られることは少なく、ほとんど大陸棚の上に留まっている。 また、冬から春にかけての繁殖期には、流氷とともに沿岸域に移動し、港湾や入り江などでもよく見られる。 普段は散らばって単独で生活しているが、繁殖期などには周辺の海域から集まってきて、浅瀬や砂州、岩場などに大きな群れを形成する。 アラスカでの最大の群れは数千を超えるとも言われているが、この群れは緩やかなコロニーを形成するが、はっきりとしたハーレムはつくらない、 繁殖期は3~4月頃に多く見られるが、地域によって差があり、アジアのものは1月に見られることもある。 交尾は水中で行われるが、アザラシ類にしては珍しく、繁殖は一夫一妻で行われると言われている。 妊娠期間は9~12ヵ月と幅があるが、平均すると10ヵ月程度とも言われていて、岩場や流氷上で出産、育児が行われる。 1産1~2子で、ふつうは1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは体長75~90cm、体重は7~12kg程度で、親とは違い、全身は白い産毛で覆われている。 2~4週間ほどの間は授乳期間があるが、授乳期間が終わる頃には白っぽい産毛は抜け落ちて、親と同じような色になっている。 国内では北海道周辺の海域に生息しているが、多くは流氷が去るのと共に離れていく。 しかし、北海道東部では、同所的に生息しているゼニガタアザラシが定着していて、ゴマフアザラシも、流氷が去った後でも留まるものが見られる。 雌は3~4年、雄は4~5年程で性成熟し、野生での寿命は雄で20~25年程度、雌はふつう雄よりも長生きで30年程度と言われている。 また、飼育下では30年を超えるものが知られている。 ゴマフアザラシは水族館などでもよく見かけるアザラシだが、元来は警戒心が強く、人が近づくとすぐに水の中に逃げ込んでしまう。 外敵はサメやシャチ、セイウチなどのほか、ホッキョクグマやヒグマなどが挙げられるが、幼獣はホッキョクギツネや大型の猛禽類などに襲われることもある。 現在のところ、絶滅の恐れはないとされているが、近年では地球の温暖化と共に流氷の減少が指摘され、それに伴う繁殖場所の減少が懸念されている。 右下の写真は上下逆になって泳いでいるところだが、ゴマフアザラシはよくこのような泳ぎ方をしている。 アザラシ科の動物へ / このページの先頭へ |
Private Zoo Gardenは、国内の動物園で会える動物たちを紹介している、インターネット動物園です。 今後とも園内の充実を図っていく予定ですので、動物図鑑や写真集などとして、是非利用してください。 |
このページの先頭へ |
ゴマフアザラシ