ゼニガタアザラシは太平洋や大西洋などに広く分布しているが、日本に定住する唯一のアザラシとて知られている。 アザラシの中では中型で、体には特徴的なまだら模様が見られる。
分布域・生息環境 ゼニガタアザラシは、北海道から千島列島、アリューシャン列島を経て、アラスカからカナダ、アメリカ合衆国西海岸などの北太平洋に分布している。 大西洋にも分布していて、アメリカ合衆国東海岸からバッフィン湾南部、グリーンランド南西海岸からアイスランド、ノルウェー湾、バレンツ海のほか、フランスからイギリス、アイルランドなどの大西洋北西部でも見られ、北海やバルト海などにも分布している。 国内では北海道周辺の海域にゴマフアザラシが生息しているが、ゴマフアザラシの多くは流氷が去っていくと共に離れていくが、ゼニガタアザラシは日本沿岸に定住する唯一のアザラシとしても知られていて、襟裳岬など、北海道東部で見られる。 大きさ・形態 他のアザラシ類と同様、体は厚い脂肪に覆われていて、ずんぐりとしている。 体長は雄で160~200cm程度、雌で140~170cm程度で、 体は雄の方が大きく、アシカ類とは違って、耳たぶはない。 また、頭部は丸く、鼻孔はV字やハート型のように見え、水中では鼻孔を自由に閉じることができる。 毛色は茶色や褐色、灰色などで、体には暗色の斑やマダラ模様がある。 国内に分布しているものは全体に黒っぽく、穴の開いた白い銭のように見える斑があることから、「ゼニガタ」の和名が付けられている。 生態・生活 ゼニガタアザラシは湖などの淡水域に生息しているものもいるが、多くは沿岸域に生息していて、ふつうは海岸から20km以内で見られる。 また、普段は単独で生活していて、魚類やエビなどの甲殻類を食べるが、イカやタコなどのほか、水鳥なども食べる。 遊泳力があり、餌場を探して50kmほども移動することがあるほか、ゼニガタアザラシは数日間は海で過ごすことができる。 大きな河川の淡水域に侵入することもあるほか、「Harbor Seal 」の英名のように、餌の多い港湾や河口に集まってくることもある。 水中では後ろ足をうまく使って敏捷に泳ぎまわるが、潜水時間はふつう数分程度で、深さは90m程とされている。 しかし、潜水能力にも優れ、潜水時間30分、水深500m程も潜ることができると言われている。 一方、アシカ類とは違って、後ろ足を前方に折り曲げることはできないので、地上での動作は鈍く、前足をわずかに使って這うようにして移動する。 この為か、ゼニガタアザラシは注意深い性質で、陸上では海岸から遠く離れるようなことはない。 繁殖・寿命 繁殖期は2~7月頃と、地域によって差があるが、一夫多妻と考えられている。 この時期には群れをつくるが、他のアザラシのように大きな群れはつくらないとされている。 交配は水中で行われ、妊娠期間は9ヶ月程で、普通は1産1子を出産するが、稀に2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は8~15kg程で、ゴマフアザラシの子どものように真っ白ではなく、親と同じような黒っぽい色をしている。 この子どもの毛色は、ゼニガタアザラシはゴマフアザラシと同じ属(ゴマフアザラシ属)に属しているが、ゴマフアザラシなどが流氷などの氷上で出産するのに対して、ゼニガタアザラシだけは岩場などで出産することから、目立ちにくいためとも考えられている。 子どもは生後数時間以内に泳ぐことができるが、水の中では母親の背中に抱きついている。 また、育児は雌によって行われ、4~6週間ほどの授乳期間があるが、高脂肪の母乳によって、この間に急速に発育する。 雌は3~4年、雄は4~5年程で性成熟し、寿命は雄で20~25年、雌で30~35年程度と、平均すると雌の方が寿命が長く、飼育下の長いものでは47年を超えたものが知られている。 外敵は大型のサメやシャチ、ホッキョクグマなどで、子どもはコヨーテに襲われることもあるほか、地域によっては狩猟の対象にもなっている。 保護状況・その他 ゼニガタアザラシは分布域が広いこともあり、国際自然保護連合では、現在のところ絶滅の恐れはないとしているが、国内のものは生息数が減少していて、環境省では絶滅危惧種に指定している。 このほか、ゼニガタアザラシは次の亜種に分けられている。
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ゼニガタアザラシ
雌で 140~170cm 程度
雌で 60~145kg 程度