ヒグマはユーラシア大陸や北アメリカに広く分布する大型のクマで、森林地帯や草原地帯、ステップ地帯やツンドラ地帯など、生息域もかなり広い。 エゾヒグマは北海道に分布するヒグマの亜種で、サハリンや南千島列島、スタノヴォイ山脈辺りから中国北東部、朝鮮半島などにも分布している。 森林や原野・高地などに生息し、国内では最大の陸上哺乳類で、体格はがっしりとして大きく、腰よりも肩の方が高く、肩の部分は盛り上がっている。 雄の方が雌よりもひと回りほど大きく、毛色は褐色や赤褐色・黄褐色・黒色などだが、ふつう体が黒く、頭部が黄褐色のものは胸に白い斑紋が見られ、全身赤褐色のものはエゾヒグマの中でも体が大きく、爪もよく曲がっている。 四肢にはそれぞれ5本の指があり、前足の爪は丈夫で鋭い。 足裏は幅広く、蹠行性で、歩くときには足裏を全部地面につけて歩く。 また、足の裏が広いので、後足で立ち上がるようなこともする。 体は北アメリカに住むヒグマよりは小さいが、雄の大きいものでは体長が2.5m、体重は450kgを超えるものもいて、エゾヒグマは力も強い。 昼夜共に活動し、休む場所などは決まっておらず、発情期と子育ての時期を除いて、普段は単独で生活をしている。 幼獣や若い固体は木登りもするが、成長すると体が大きい為に木には登れなくなる。 しかし、エゾヒグマは泳ぎは大変うまく、本州まで海を渡った例が知られている。 食性は雑食性で、果実や草類のほか、木の葉や木の実、球根や樹皮・樹脂などの植物質の他、昆虫や魚、ザリガニ、鳥や鳥の卵、小動物など、エゾヒグマは何でも食べる。 野生下のものは、冬には山の斜面に穴を掘ったり、岩穴や木の洞を利用して冬眠するが、秋にあまり餌を食べることができなかったものは、冬眠せずに食物を探して歩き回る。 繁殖期は5~7月頃で、妊娠期間8ヶ月程で、1産1~3子、普通は2子を出産する。 出産は冬眠中に行われ、生まれたばかりの子どもは、体長20~35cm程度、体重は300~600g程度で、目は閉じていて、毛は生えていない。 育児は雌だけで行われ、子どもは1年後には体重50kg程に成長し、2~3年で独立していく。 雌雄共に4~5年で性成熟し、野生下での寿命は15~30年程度と言われている。 外敵はトラが挙げられるが、トラのいない国内では、人だけが外敵となっている。 近年は森林の開発などで生息地が減少していて、農作物を荒らしたり、餌を探して人の住む近くに現れて危害を加えるような問題も起こっている。 しかし、エゾヒグマは全体としては生息数が減少していて、国際自然保護連合(IUCN)では、絶滅危惧種(VU)としてレットリストに記載している。 尚、エゾヒグマは、以前はヒグマの1亜種とされていて、学名もU.a. yesoensisとされていたが、現在はU.a. lasiotusと同種とされ、「yesoensis」は「lasiotus」のシノニム(別名・同意語」とされている。 このほか、国内にはエゾヒグマのほか、ヒマラヤグマの亜種であるニホンツキノワグマが本州以南に生息している。 クマ科の動物へ / このページの先頭へ |
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エゾヒグマ