トラはライオンと並ぶネコ科の中でも最大の動物だが、アムールトラはその中でも最も体が大きく、成熟した雄の体長は3.5mを超え、体重は380kg程になるものもいると言われている。 また、トラの仲間ではもっとも北方に分布しているトラで、ロシア極東部や中国東北部などのアムール川流域に生息し、別名をシベリアトラとも呼ばれている。 アムールトラは寒い地方に生息している為、毛は長くて深い。 夏毛では、背側の長さが1.5cm程だが、冬毛は4~5cm程の長さになり、首周りは夏冬共にこれよりも長い。 トラに見られる黒い縞は幅が狭く、腹部は白い。 また、夏毛はベンガルトラに似ているが、冬毛は長くて綿のようで、体色が淡く鮮やかになり、換毛期には長い冬毛が残り、夏毛と混じっている。 アムールトラは他のネコ科の動物と同様、普段は単独で生活し、広い縄張りをもった生活をしている。 落葉樹や針葉樹の混在した低木の森林などに生息し、海抜1000m辺りまでに多く見られる。 主として夜行性だが、時に昼間も活動する。 獲物を狙うときは待ち伏せして襲うこともあるが、積極的に狩りに出ることが多い。 アムールトラは一晩で10~20km、或いは30~40km程も歩きまわると言われ、ヘラジカやアカシカ、ニホンジカやイノシシなどの他、鳥や両生類、魚など、何でも食べるが、力が強く、ウシなどの大型の草食動物なども単独で倒すことができる。 また、アジアにおいてトラに対抗し得る動物はヒグマだが、アムールトラはヒグマをも倒してしまうこともあり、運動能力にも優れ、泳ぐのもうまい。 決まった繁殖期は見られず、倒木の下や岩穴などに巣をつくり、子どもは雌が育てる。 妊娠期間は3~3.5ヵ月程で、1産1~6子、ふつうは2~4子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は1kg程で、目は開いていない。 目は10日から2週間ほどで開き、2ヵ月程の授乳期間の後、少しずつ肉を食べるようになる。 1年半ほどは親と一緒に生活し、雌雄共に4年程で性成熟する。 飼育下での寿命は20~25年程度と言われているが、野生では短く、10~15年程度と考えられている。 トラの仲間はいずれも減少傾向にあるが、アムールトラも毛皮や漢方薬の材料として乱獲されてきたほか、近年の森林伐採などによる生息地の減少により固体数が減少していて、かつては朝鮮半島から満州、モンゴルなどにも分布していたとされているが、現在は限られた地域でしか見られない状況になってしまっている。 また、以前は体長4mを超えるものも見られたと言われているが、近年のものは獲物の減少によって痩せているものも多く、それほど大きなものは見られないとされている。 現在、アムールトラは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって、絶滅危惧種(EN)としてレッドリストに指定されているが、分布域が重なっているアムールヒョウも生息数が減少していて、同じ絶滅危惧種(EN)として指定されている。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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アムールトラ (シベリアトラ)