ブタはイノシシを改良した大切な家畜として利用されているが、イノシシはアジアやヨーロッパなどのユーラシア大陸南部に広く分布し、国内でも馴染みのある動物としてよく知られている。 分布域が広い為、地方によって多くの亜種がある動物で、体の大きさもかなりの差異がある。 大きいものでは体長が180cmを超え、体重も300kg近くになるものもいるが、それを超えるものも報告されている。 国内に分布するニホンイノシシでは体長140cm前後、尾の長さ20~30cm、体重は80~150kg程である。 毛は粗くて、毛色はふつう茶色や茶褐色、黒褐色などで、子どもはウリボウとよばれ、バクの子どものように体に縞がある。 鼻面は真っ直ぐに突き出したような感じで、鼻先は平たくて特徴的である。 また、上顎の犬歯は大きく、特に雄では強力な牙となっている。 力が強く、特に突進力はかなりの威力をもっている。 走るのも速く、時速45m程で駆けることが出来るといわれ、1m程度の高さのものなら走ることなく飛び越えてしまう。 また、イノシシは泳ぎも巧みで、思っている以上に運動能力は優れている。 元来は非常に神経質な動物で、見慣れないものなどを見かけると避けようとする習性があるが、不用意に近づいたりすると、時には人に向かってくることがある。 この時、イノシシは直進的に突き進んでくると思われているが、これは誤りで、他の動物のように急停止することも途中で向きを変えることもできる。 力が強く、雄では強力な牙を持っているので、無闇に近づいたりするのは危険である。 低山帯から平地にかけての森林や雑木林、草原などに生息し、クズやカヤ、ヤマイモなどの地下茎やタケノコ、果実、ドングリなど、植物質のものを主に食べる。 また、雑食性でミミズやカエル、トカゲ、サワガニなどの他、昆虫類などの動物質も少しは食べるが、イノシシは嗅覚に優れ、主に地中にある動植物を探し出して食べる為、雪の多いような地域や高山には生息しない。 この為、雪の多い時期や生息域の食物が少なくなると、人の生活圏にも入ってきて、畑などを荒らしたりもする。 また、イノシシは水場が近いところを好み、水浴びや泥浴びをする習性がある。 泥浴びのあとは体を樹木にこすり付けたりするが、これは体についた寄生虫を除くためなどと考えられている。 成熟した雄のイノシシは単独で暮らすが、雌は子どもと一緒に家族単位の群れをなして生活し、多いものでは50頭程にもなる。 昼間に活動するが、日中は休んでいることが多く、早朝や夕方に活発に動きまわる。 しかし、人間との接触が多い地域では夜行性になる傾向が強い。 1産3~12仔で、ふつうは4~5仔を出産する。 子どもに見られる縞は半年程でなくなり、一年半程で繁殖が可能となる。 完全に成獣に成長するには5~6年と言われ、寿命は飼育下で15~20年程度、野生では6~10年程度と考えられている。 外敵はトラやヒョウ、オオカミ、クマなどで、幼獣はキツネなどに襲われることもある。 また、イノシシは狩猟動物の対象でもあるが、国内では食用として広く流通することはない。 イノシシは自然分布域の他、北アメリカやオーストラリアなどにも移入されているが、これらのほか逃げ出したブタが再野生化し、イノシシの分布域は広がっている。 近年の国内においては、開発による生息地の減少などによって、人家の近くに姿を現すことが多くなっていて、都市部などでも見られることがある。 餌を求めて田畑などを荒らすこともあるが、イノシシは群れで活動する為、被害は大きいものとなってしまう。 作物への被害のほか、都市部でも食料品をもった買い物客がイノシシに襲われるといったことも起こっている。 また、国内にはニホンイノシシのほか、奄美・琉球諸島に分布するリュウキュウイノシシが知られている。 写真は、いずれもニホンイノシシ。 イノシシ科の動物へ / このページの先頭へ |
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イノシシ