バク

バク さんのプロフィール


動物図鑑・バク

バク

奇蹄目 バク科
学 名 Taipiridae
英 名 Tapir
分布域 東南アジアや南アメリカなど
生息環境 森林地帯
体 長 130~250cm 程度
尾 長 5~10cm 程度
体 重 110~300kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種

バクは、現存している有蹄類の中ではもっとも原始的な形質をもっている動物で、東南アジアと北アメリカ南部から南アメリカにかけて分布している。
バクだけで奇蹄目・バク科を構成していて、すべてバク属に属し、5種が知られている。

体はいずれもずんぐりとした感じで、四肢は短く、尾も短い。
鼻は上唇と一緒に伸びている特徴的なもので、ゾウほどではないが、かなり自由に動かすことができる。
鼻の先端の感覚は鋭く、草類を選んで口に入れることもできる。

体には柔らかくて短い毛が密生していて、体色はアジアに分布しているものを省き、茶色や褐色、暗褐色や灰褐色などをしている。
また、犬歯は発達していて、外敵などから身を守るのに役立っている。

後肢の指はサイなどのように3本で、前肢には4本の指をもっている。
しかし、前肢の指は第三指(中指)が中心になっていて、奇蹄目の特徴を現している。

体の大きさは種によって違いがあるが、多くは体長2m程度、体重は150~300kg程で、ロバと同じくらいの大きさがある。
(但し、ロバよりは体高は低く、平均すると1m程度)

また、外敵はトラジャガー、大型のワニなどだが、首の背部の皮は厚く、捕食者からの保護の役目を果たしている。

バクの仲間は森林地帯に生息しているが、河川や湖沼などの近くで見られ、水と密接した生活をしている。
泳ぐのは大変うまく、地上で過ごすよりも、水の中にいる方が長いとも言われている。
水中を歩いて渡ることができるほか、危険が迫ると水の中に身を沈めて逃れるが、水面に鼻だけを出して、危険が過ぎ去るまでの長い時間を水中で過ごすこともできる。

子どもを連れている母親以外は基本的に単独で生活していて、主に夜間に活動する。
草食性で、草類や果実、木の葉や芽などを食べるが、水生植物なども食べる。

繁殖期は様々だが、平均した妊娠期間は13~14ヵ月程で、普通は1産1子を出産する。
子どもにはイノシシの子どもに見られるような縞模様があるが、半年から1年ほどで消失する。
10~12ヵ月程で独立し、雌雄共に2~4年で性成熟する。
また、寿命は飼育下のもので25~30年程度と考えられている。

尚、バクの仲間は、アジアに分布しているマレーバクを除き、他のものはいずれも新大陸に分布している。

マレーバク(Tapirus indicus / Malayan tapir)はアジアに分布している唯一のバクで、ミャンマー南部からマレー半島、スマトラ島などに分布している。
ほかのバクとは異なり、体色は特徴的で、前肢の後辺りから腰にかけては白色で、他の部分は頭部を含めて黒い色をしている。

アメリカバク(Tapirus terrestris / South American tapir・Brazilian tapir )はブラジルやコロンビア周辺などに分布しているバクで、体色は暗褐色や茶褐色などをしている。
マレーバクよりは少し小さいが、それでも体重は200~250kg程の重さがある。
 国内でもよく見られるバクで、別名ブラジルバクとも呼ばれている。

ベアードバク(Tapirus bairdii / Baird's tapir)はメキシコ南部から南アメリカ北部にかけて見られ、南米に分布しているものの中ではもっとも体が大きく、体重が300kgを超えるものも見られる。
 アメリカバクに比べて、頭頂から鼻にかけて、ベアードバクの方がふくらみをもっている。

ヤマバク(Tapirus pinchaque / Mountain tapir)はコロンビアからエクアドルにかけての山岳地帯に分布していて、アンデスバクとも呼ばれている。
アメリカバクなどは体が小さく、体長は平均すると1.8m程で、体色は暗褐色や黒褐色などで、口のまわりは白くなっている。

Tapirus kabomani(Little black tapir・Kabomani tapir)はアマゾンの熱帯雨林に生息していて、アメリカバクが同所的に生息している。
ヤマバクよりもさらに小さく、体長1.3m、体重は110kg程度とも言われているが、近年になって種として認められたもので、詳しいことは分かっていない。

このほか、バクは地域によっては宗教上の理由などから狩猟されることはないが、一部の地域では肉を目的とした狩猟などが行われている。
また、近年では森林の開発などによってバクの生息地が減少していて、個体数も減少しているほか、耕作地の拡大によって農作物に被害を与えるなどの問題も起こっている。

現在バクの仲間は、最近認められたTapirus kabomaniを除き、国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価によって全て絶滅危惧種に指定されているが、生息地の減少などは続いている状況にある。

写真右下4枚はマレーバク、その他はアメリカバク。


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