ジャガーは新大陸では最大のネコ科の動物で、主にメキシコからアルゼンチン北部辺りにかけて分布している。 多くはアマゾン盆地の低地熱帯雨林で見られるが、南アメリカの森林では食物連鎖の頂点にあり、最強の捕食者になっている。 ジャガーの外見はヒョウに似ているが、雌雄共に体は頑丈で、ヒョウよりも体は大きく、がっしりとしている。 また、頭部も大きく、足も太いが、尾は短く、体の半分ほどしかない。 体色は黄褐色や淡褐色などで、体には角張ったリング状の黒い斑紋がある。 この斑紋は途中で切れていて、中にはさらに小さな黒斑が見られるが、口のまわりは白く、腹部も白っぽい。 ジャガーは一般に深い森林地帯に生息しているが、川や湖沼、湿地帯など、森林の中でも水辺を好んで生活している。 しかし、環境への適応力もあり、低木林や開けた草原、荒地などにも姿を見せる。 また、標高の高い山地林ではあまり見られないが、アンデス山地では2500m位まで生息しているほか、コスタリカでは3800m程の高地でも目撃されている。 分布域が広いこともあり、生息地によって体の大きさや体色などに差が見られることなどから、いくつかの亜種に別けられることもあるが、遺伝学的には亜種はいないとされている。 しかし、一般には開けた草原などに生息しているものは、深い森林地帯に生息しているものよりも体が大きく、体色も明るい色をしている。 ジャガーは昼夜共に活動するが、主として夜行性で、夕暮れや明け方近くには特に活発に活動する。 繁殖期以外は単独で生活していて、獲物はアグーチやカピバラなどのげっ歯類や、ペッカリーやバク、シカなどの有蹄類、更にアライグマやナマケモノ、アルマジロ、サル類といったものも捕らえる。 しかし、ジャガーは地上性の動物だが、泳ぎも巧みで、水に入ることを厭わず、川で魚を取ったり、カメやカイマンなども捕らえ、何でも食べる。 また、がっしりとして重々しい体格であるにもかかわらず、身軽で、ヒョウと同じように木登りもうまい。 ジャガーはトラやライオンのように獲物の首を噛んだりするよりも、カピバラやペッカリーなどに対しては、前足ではたき倒して捕らえる。 この前足での攻撃は強力で、一撃で相手を倒すといわれている。 ジャガーは顎の力も強く、カイマンの頭を噛み砕くほどでの力をもっている。 大型の獲物を倒した時などは、食べきれないものを茂みの中に隠したりして、次の日に食べに来る習性があるが、これはヒョウやピューマなど、他のネコ科の動物にも見られる。 このほか、ジャガーは広大なテリトリーを持っていると言われていて、獲物の多い地域でも20k㎡の縄張りを持っている例が知られている。 また、平均的な雌の行動範囲は、25~38k㎡程度とも言われていて、雄はこれの2倍ほどの行動範囲があると考えられている。 一般に、雨季よりも乾季の方が移動距離が長くなるほか、雄の行動範囲の中には、ふつう2~3の雌の行動範囲が含まれていて、縄張りの境界は樹木に爪あとを残したり、糞や尿でマーキングしたりして、他の雄との出会いを避けるようにしている。 決まった繁殖期は見られないが、出産は獲物の多い12~3月頃の間に多く見られる。 妊娠期間は91~111日程で、1産1~4子、普通は2子を出産する。 生まれたばかりの子どもの目は閉じていて、目は2週間ほどで開く。 離乳期間は5~6ヵ月程で、ほぼ2年程で独立する。 雌は1~2年、雄は2~3年程で性成熟し、飼育下での寿命は20年程度と言われている。 中には25年を超えるものも知られているが、野生での寿命はこれよりも短く、12~15年程度と考えられている。 また、ヒョウには黒変種のクロヒョウが見られるが、ジャガーの黒変種であるクロジャガー(写真右下)もしばしば見られ、時には白変種も見られる。 野生での正確な生息数は分かっていないが、時に家畜を襲うことなどから害獣として駆除されることがあるほか、毛皮を目的とした密猟なども行われている。 近年では森林の伐採などで、生息地や獲物となる動物なども減少していて、ジャガーの生息数も減少している。 現在、ジャガーは国際自然保護連合(IUCN)の保存状況評価(レッドリスト)によって、準絶滅危惧種(NT)として指定され、国際的に保護されているが、メキシコでの生息域は非常に断片化されているほか、エルサルバドルやウルグアイでは既に絶滅している。 ネコ科の動物へ / このページの先頭へ |
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