アライグマはカナダ南部から南アメリカ北部辺りにかけて広く分布していて、多くの亜種が知られている。 生息地によって体の大きさにも差があり、2~14kg程の幅があるが、大きいものは全長140cm、体重が28kgを超えるものも報告されている。 また、体は雄の方が雌よりも10~30%程大きく、飼育下のものは大きくなる傾向がある。 毛は長く、背面は銀灰色から灰黒色などで、淡褐色や赤褐色などが混ざっている。 腹面は灰色や淡褐色などで、目のまわりから口にかけては黒く、鼻面やあごは白っぽいので、一見してタヌキに似た感じがする。 しかし、アライグマの尾には黒い輪が数本見られるので、遠くからでも見分けることができる。 また、タヌキはイヌ科に属していて、歩く時には指先で歩く指行性だが、アライグマは蹠行性で、クマのようにかかとをつけて歩く。 主に森林や草原地帯などに生息しているが、水辺の近くを好み、河川のある湿った森林などに多く見られる。 それだけでなく、アライグマは環境によく適応していて、湿地帯や沿岸部のほか、農地や郊外、都市部などにも現れる。 行動範囲は、平均すると直径1~3kmなどと言われているが、その範囲は生息環境や雌雄などによっても大きく異なっていて、開けた草原などの雄の行動範囲は7~50k㎡、雌では2~16k㎡とも言われている。 しかし、いずれにしても雄の行動範囲の方が雌よりも広く、その中には幾つかの雌の行動範囲が含まれている。 アライグマは岩の窪みなどに巣をつくるが、木登りがうまく、木の洞などに巣をつくることが多い。 また、ほかの動物が掘った巣穴や、時には人家の納屋や車庫、屋根裏などに住みつくこともある。 昼間も行動するが、元来は夜行性の動物で、夕方から水辺などで採食し、アライグマは泳ぎもうまい。 両生類や魚のほか、果実や木の実、昆虫や小動物、鳥の卵など、アライグマは何でも食べる。 カエルやザリガニ、魚や貝などを好むが、地域や季節によって様々なものを食べ、都市部では生ゴミを利用したりするほか、トウモロコシなども好み、よく畑を荒らすことがある。 アライグマは四肢に5本の指をもっているが、前肢の指の感覚が鋭く、前足を水中に入れて獲物を捕らえたりする。 この様子が物を洗っているように見えることから名前が付けられているが、特に「洗う」という行為ではなく、水がなくても食べ物を擦るような習性がある。 また、二足歩行はしないが、時には前足で食べ物を抱えたまま、短い距離を移動するようなこともある。 このほか、暖かい地域に生息しているものは年中活動しているが、冬には雪に覆われるような寒い地域では、まったくの冬眠ではないが、穴ごもりをすることが知られている。 繁殖期は2~6月頃で、北方のものは早い傾向がある。 一夫多妻で、妊娠期間63~65日程で、1産1~7子、普通は4子を出産する。 生まれたばかりの子どもの体重は60~75g、体長は10cm程で、目は閉じていて、毛は生えていない。 生後3週間前後で目が開き、70日程の授乳期間がある。 10ヶ月から1年程で独立し、雌は1年、雄は2年程で生成熟する。 また、雌は母親の行動圏の近くに留まるが、雄は遠くへ離れていく。 飼育下での寿命は10~20年程度と言われているが、野生での平均寿命は3~5年程度と考えられている。 これは、大型の肉食動物に捕食される他、狩猟や交通事故、栄養失調などが主な原因と言われている。 ところで、アライグマは一見かわいい動物なのでペットにする人もいるが、元来の性質は荒い。 また、国内では逃げ出したり、ペットとして飼われていたものが捨てられたりして、近年では野生化したアライグマが農作物を荒らしたりする被害が多く発生しているほか、屋根裏などにも棲みつくため、家屋への被害も問題になっている。 現在、環境省ではキョンやタイワンジカ、ヌートリアなどと共に特定外来生物として指定しているが、国内にはピューマやオオヤマネコ、コヨーテやオオカミといった天敵がいない為、キツネやタヌキなどの在来種への圧迫や生態系への影響などが危惧されている。 国外でもドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国やベラルーシ、アゼルバイジャンなどといった地域でも移入定着していて、生息域も拡大傾向にある。 アライグマ科の動物へ / このページの先頭へ |
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アライグマ