アルマジロの仲間はいずれも体が装甲帯盾に覆われていて、頭や尾・四肢もうろこ状になっている特徴的な体つきをしている動物だが、ココノオビアルマジロはアルマジロ科では最も広範囲に分布している。
ココノオビアルマジロの分布域・生息環境 ココノオビアルマジロは北アメリカから中央アメリカを経て南アメリカまで分布しているアルマジロの仲間で、アルマジロ類の中では最も広く分布している。 幾つかの亜種が知られているが、アメリカ合衆国のカンザス、オクラホマ、ミズーリー州からテネシー、サウスカロライナ州などの南東部からメキシコ、中米を経て、南アメリカのアルゼンチン北東部まで分布している。 森林や疎林、草原やサバンナ、耕作地など、さまざま環境に生息していて、近年は分布域を広げている。 ココノオビアルマジロの大きさ・特徴 ココノオビアルマジロはアルマジロ類の中では最も大きい種のひとつで、全長は1m程もある。 体は雄の方がやや大きく、大きい雄だと体重が10kg程になるものも見られる。 名前のように、体にはふつう9列の丈夫な装甲帯楯があり、これが特徴になっていて、名前の由来にもなっている。 装甲帯楯は可動帯甲と軟らかい皮で繋がっていて、オオカミなどの捕食動物や外敵に攻撃された場合などは、頭や四肢は装甲の間に引っ込めることができる。 この装甲帯楯は8~11列と変化があるが、いずれも体の上面には毛がなく、腹面の軟皮や装甲帯盾間などには硬い毛が生えている。 耳は大きく、鼻口部はとがっていて長く、尾も太くて長い。 また、四肢は短いが丈夫で、前肢に4本、後肢には5本の指があり、いずれの指にも頑丈な爪がある。 体色は灰色や灰褐色、黄褐色のような色で、ピンク色を帯びたようなものも見られるが、腹側はやや暗い色をしている。 また、アルマジロの仲間にはムツオビアルマジロ、ミツオビアルマジロ、オオアルマジロなど21種ほどが知られている。 しかし、本種を含め、ほとんどのアルマジロ類は完全に体を丸くすることはできず、完全に体をボール状にできるのは、ミツオビアルマジロ属だけになっている。 ココノオビアルマジロの生態・生活 ココノオビアルマジロは開けた草原や乾燥林、熱帯雨林まで幅広く生息していて、ふつうは単独生活をしている。 多くのアルマジロ類と同様、主に夜間や薄暮に活動するが、曇り日などは日中も活動することがある。 雑食性で、主にアリやシロアリ、バッタなどの昆虫類やワーム類、クモ類などを食べるが、果実や種子、キノコなども食べる。 また、昆虫類が少なくなる冬には、両生類や爬虫類、小鳥やその卵なども食べ、時には死肉なども食べる。 嗅覚に優れていて、土の中などに隠れている獲物も匂いによって探し出すが、シロアリなどは長い粘着性のある舌でからめとるようにして食べる。 穴掘りも得意で、四肢の力が強く、前肢のよく発達した爪を使って地中に巣穴をつくる。 行動範囲は環境や食糧事情などによって変化するが、およそ0.0065~0.21平方km程度と言われていて、成長するとともに行動範囲は広くなると考えられている。 また、雌雄の行動範囲の広さは変わらないが、雄の行動範囲は互いに重なっていること少ないが、雌雄の行動範囲はしばしば重なっていることがある ココノオビアルマジロは木には登れないが跳躍力にも優れていて、驚いた時などは、垂直方向に1m程も跳び上がることができると言われている。 また、大きな体つきに似合わず泳ぎもうまい。 アルマジロの体は装甲帯盾に覆われていることから、同じ大きさのほかの動物に比べて体重が重いが、ココノオビアルマジロは泳ぐ時に浮力を得るために、浮き袋のように腸を空気で膨らませることができる特徴をもっている。 この特徴のある体のつくりによって川を泳いで渡ったりするが、あまり幅広い川は渡れないとも言われている。 しかし、潜水能力にも優れていて、かなりの時間潜っていることができるので、川底を歩いて移動することもある。 この泳ぐ能力によって行動範囲を広げることができているが、生息域自体の拡大にもつながっていて、ココノオビアルマジロの分布域は拡大傾向にあると言われている。 危険を感じると、ふつうは巣穴の中に逃げ込むが、近くに巣穴がない時などは密生した藪の中などに駆け込んで身を守る。 外敵はピューマやジャガー、ボブキャットなどのほか、タテガミオオカミやコヨーテ、アメリカクロクマなど、ココノオビアルマジロには多くの外敵が知られている。 時にはアメリカアリゲーターに襲われることもあり、幼獣は猛禽類にも襲われることがあるほか、農村部などでは食用を目的とした捕獲も行われている。 ココノオビアルマジロの繁殖・寿命 ココノオビアルマジロは分布域が広く、繁殖期には変化が見られる。 北半球での繁殖期は6~7月の初夏頃で、南半球では11~12月頃が繁殖期と言われている。 繁殖は一夫多妻で、雌は妊娠期間4ヵ月程で、ほとんどの場合1産4子を出産する。 これは、ココノオビアルマジロは他のアルマジロとは違い、1受精卵が4つの同一の胚に分裂することによるもので、他の動物の一卵性双生児などと同じ発生現象になっている。 この胚の分裂はほぼ確実に行われ、このような発生は、哺乳類の中ではココノオビアルマジロだけと言われている。 この為、ほぼ確実に4子が生まれ、ココノオビアルマジロは高い繁殖力をもっている。 生まれたばかりの子どもの体重は60~80g程で、目はすぐに開くが皮膚は柔らかく、数週間の間は鎧のように硬化しない。 授乳期間は2~3ヶ月程で、その後も1年ほどの間は親と一緒に生活している。 雌雄共に1~2年で性成熟し、この頃には親と離れて独立した生活をするようになるが、完全に成熟すには3~4年ほどはかかると言われている。 野生での寿命は長くて12~15年程度と言われているが、中には20年のものも知られていて、飼育下では20年を超えたものも報告されている。 ココノオビアルマジロの保護状況・その他 ココノオビアルマジロは肉などを目的とした狩猟が行われているほか、トウモロコシや豆類など、いくつかの農作物を食べることから害獣として駆除されることもある。 しかし、全体の個体数は安定していて、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 むしろ、ココノオビアルマジロは繁殖力が強く、ピューマやジャガーなどの外敵も減少していることから、分布域のほとんどで個体数は増加していると考えられている。 尚、詳しい分布域は分からないが、ココノオビアルマジロには次のように亜種が知られている。 Dasypus novemcinctus aequatorialis D. n. fenestratus D. n. hoplites D. n. mexianae D. n. mexicanus D. n. novemcinctu |
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ココノオビアルマジロ