アルマジロの仲間は、北アメリカ南部からアルゼンチン辺りにかけて分布しているが、ミツオビアルマジロはブラジル東部に分布していて、ブラジルの固有種とされている。 広義の意味では、本種と、アルゼンチン北部やボリビアの一部、パラグアイやブラジル南西部などに分布息している Tolypeutes matacus(Southern three-banded armadillo・La Plata three-banded armadillo / ラプラタミツオビアルマジロ・マタコミツオビアルマジロ)のミツオビアルマジロ属を指すこともあるが、ふつうミツオビアルマジロと言えば、本種・T. tricinctusを指している。 体は、ほかのアルマジロ類と同様、頭部や背側、尾などが鱗状の装甲帯盾で覆われている。 腹側や足の内側は柔らかく、装甲されていないが、長くて粗い毛で覆われている。 尾は短く、耳は大きい。 また、四肢には丈夫な爪があり、前肢の爪は特に頑丈になっている。 体色は、頭部や体などの装甲部分が黄褐色から暗褐色で、腹側など、装甲されていない部分はそれよりも暗く、暗褐色から黒っぽい色をしている。 ミツオビアルマジロはふつう三列の幅広い可動帯甲をもっているが、肩と腰との装甲が体より離れているため、ここに四肢を入れて体をボール状に丸めることができる。 アルマジロの仲間はいずれも体を丸めることができるが、完全な球体に体を丸めることができるのはミツオビアルマジロ類だけで、フットボールほどの大きさに丸くなることができる。 これはかなり有効な防御方法で、多くの捕食者から身を守るのに役立っているが、それでもピューマやジャガーなどに襲われることがある。 また、ボール状になってしまうと、人の力でも引き伸ばすことは困難だが、体温によって温められた空気を閉じ込めるためにも役立っていて、他のアルマジロ類よりも乾燥した環境にも強いと考えられている。 ミツオビアルマジロは、乾いた草原や開けた森林地帯などに生息していて、主に夜間に活動する。 普段は単独で生活しているが、寒い時期には、時折小さなグループで見られることもある。 主にアリやシロアリを食べるが、さまざまな昆虫類やミミズ、カタツムリなども食べる。 また、小型の爬虫類や動物の死骸などのほか、雑食性で、トウモロコシ類や果実なども食べる。 主に嗅覚によって餌を探し、アリクイなどのように、粘着力のある長い舌で巻き取るようにして食べる 嗅覚は鋭く、土の中の獲物なども探し出し、丈夫な四肢と爪を使って掘り出してしまう。 歯は終生のび続けるが、柔らかくて、エナメル質に欠いているため、昆虫類などを噛み砕く程度だけに使われる。 穴掘りはうまいが、巣穴を自ら掘ることは稀で、オオアリクイなど、ほかの動物が放棄した巣穴や、密生した草木の中などを利用する。 動きは思った以上に素早く、危険を感じると走って逃げたり、丈夫な前肢の爪を使って素早く穴を掘って隠れたりする。 そのような余裕がないときは、体をボール状に丸めて、防御の体勢をとる。 繁殖期は10~1月頃で、雌は妊娠期間120日程で、普通は1産1子を出産する。 生まれたばかりの子どもは目が閉じていて、装甲も柔らかいが、爪は完全に発達している。 生後数時間ほどで歩き回ることができ、体をボール状にすることもできるようになる。 3~4週間ほどで目が開き、この頃には装甲も硬くなってくる。 授乳期間は10週間ほどで、雌雄共に9~12ヶ月程で性成熟する。 また、寿命は長く、飼育下では35年を超した例が知られている。 このほか、ミツオビアルマジロは食料として狩猟の対象になっているが、生息地での家畜との競合や、開発による生息地の減少などにより、生息数が減少している。 現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)に指定しているが、更なる生息地の減少などが心配されている。 尚、アルマジロとはスペイン語の「武装するもの(armadillo)」に由来している。 アルマジロ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ミツオビアルマジロ