ミツオビアルマジロ

ミツオビアルマジロ さんのプロフィール


動物図鑑・ミツオビアルマジロ

ミツオビアルマジロ

被甲目・アルマジロ科
学 名 Tolypeutes tricinctus
英 名 Brazilian three-banded armadillo / Three-Banded Armadillo
分布域 ブラジル北東部
生息環境 草原や森林地帯など
体 長 22~27cm 程度
尾 長 6~8cm 程度
体 重 1.2~1.6kg 程度
IUCNによる保存状況評価 / 絶滅危惧種(VU)

ミツオビアルマジロはアルマジロ類の中では小型になるが、ブラジルの固有種とされている。
名前のように、三列の可動帯甲をもっていて、体をボールのように完全に丸くすることができるのが特徴になっている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他
●写真ページ


ミツオビアルマジロの分布域・生息環境
アルマジロの仲間は、北アメリカ南部からアルゼンチン辺りにかけて分布しているが、ミツオビアルマジロはブラジル北東部に分布していて、ブラジルの固有種とされている。

広義の意味では、本種と、アルゼンチン北部やボリビアの一部、パラグアイやブラジル南西部などに分布している Tolypeutes matacus(Southern three-banded armadillo・La Plata three-banded armadillo / ラプラタミツオビアルマジロ・マタコミツオビアルマジロ)を含むツオビアルマジロ属を指すこともあるが、ふつうミツオビアルマジロと言えば、本種・T. tricinctusを指している。

ミツオビアルマジロは開けたサバンナや低木林、乾燥した森林地帯などに生息していて、普段は単独で生活している。


ミツオビアルマジロの大きさ・特徴

ミツオビアルマジロは体長22~27cm程で、アルマジロ類の中では小型になる。

体は他のアルマジロ類と同様、頭部や背側、尾などが鱗状の装甲帯盾で覆われている特徴的な体をしている。

腹側や足の内側は柔らかく、装甲されていないが、長くて粗い毛で覆われている。
尾は短いが耳は大きく、四肢には丈夫な爪があり、前肢の爪は特に頑丈になっている。

体色は、頭部や体などの装甲部分が黄褐色から暗褐色で、腹側など、装甲されていない部分はそれよりも暗く、暗褐色から黒っぽい色をしている。

ミツオビアルマジロはふつう三列の幅広い可動帯甲をもっているのが特徴で、肩と腰との装甲が体より離れているため、ここに四肢を入れて体をボール状に丸めることができる。

アルマジロの仲間はいずれも体を丸めることができるが、完全な球体に体を丸めることができるのはミツオビアルマジロ属だけで、フットボールほどの大きさに丸くなることができる。

また、ミツオビアルマジロはふつう三列の可動帯甲をもっているが、可動帯甲は2~4列と幅があるほか、ミツオビアルマジロ属は本種とマタコミツオビアルマジロの2種で形成されている。


ミツオビアルマジロの生態・生活

ミツオビアルマジロは、開けた草原や低木林、森林地帯などに生息している。

普段は単独で生活しているが、寒い時期には、時折小さな家族グループで見られることもある。

主に夜間に活動するが、しばしば日中も活動し、アリやシロアリを食べるが、さまざまな昆虫類やミミズ、カタツムリなども食べる。
また、小型の爬虫類や動物の死骸などのほか、雑食性で、トウモロコシ類や果実なども食べる。

餌は主に嗅覚によって探し、アリクイなどのように、粘着力のある長い舌でシロアリなどを巻き取るようにして食べる。
嗅覚は鋭く、土の中の獲物なども探し出し、丈夫な四肢と爪を使って掘り出してしまう。

歯は終生のび続けるが、柔らかくて、エナメル質に欠いているため、昆虫類などを噛み砕く程度だけに使われる。

穴掘りはうまいが、巣穴を自ら掘ることは稀で、オオアリクイなど、ほかの動物が放棄した巣穴を使ったり、密生した草木の中などを巣の代わりに利用する。

動きは思った以上に素早く、危険を感じると走って逃げたり、丈夫な前肢の爪を使って素早く穴を掘って隠れたりする。

そのような余裕がないときは、体をボール状に丸めて、防御の体勢をとる。
これはかなり有効な防御方法で、多くの捕食者から身を守るのに役立っているが、それでもピューマジャガーなどの外敵に襲われることがある。

また、ボール状になってしまうと、人の力でも引き伸ばすことは困難だが、体温によって温められた空気を閉じ込めるためにも役立っていて、ミツオビアルマジロは他のアルマジロ類よりも乾燥した環境にも強いと考えられている。


ミツオビアルマジロの繁殖・寿命

ミツオビアルマジロの繁殖期は10~1月頃に見られる。
一夫一婦や一夫多妻などの詳しい繁殖形態は分からないが、雌は妊娠期間120日程で、普通は1産1子を出産する。

生まれたばかりの子どもは目が閉じていて、装甲も柔らかいが、爪は完全に発達している。
子どもは生後数時間ほどで歩き回ることができ、体をボール状にすることもできるようになる。

3~4週間ほどで目が開き、この頃には装甲も硬くなってくる。
授乳期間は10週間ほどで、雌雄共に9~12ヶ月程で性成熟する。

ミツオビアルマジロの寿命は長く、飼育下では35年を超した例が知られている。


ミツオビアルマジロの保護状況・その他

ミツオビアルマジロは食料として狩猟の対象になっているほか、生息地での家畜との競合や、開発による生息地の減少などにより、生息数が大幅に減少している。

現在、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(VU)に指定しているが、更なる生息地の減少などが心配されている。
また、同属のマタコミツオビアルマジロも生息数が減少していて、準絶滅危惧種(NT)に指定されている。

尚、アルマジロとはスペイン語の「武装するもの(armadillo)」に由来している。

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