動物図鑑・アメリカアリゲーター

アメリカアリゲーター (ミシシッピーワニ) さんのプロフィール



動物図鑑・アメリカアリゲーター

アメリカアリゲーター
(ミシシッピーワニ)

ワニ目・アリゲーター科
学 名 Alligator mississippiensis
英 名 American alligator / Gator / Common alligator
分布域 アメリカ合衆国の南東部
生息環境 平野部の河川や湖沼、湿地など
全 長 2.5~4m 程度
体 重 150~350kg 程度

アメリカアリゲーターは比較的大型のワニで、アメリカ合衆国の南東部に分布する固有種とされている。

ミシシッピー川流域に生息していることから、別名・ミシシッピーワニやミシシッピーアリゲーターなどとも呼ばれている。
●分布域・生息環境
●大きさ・特徴
●生態・生活
●繁殖・寿命
●保護状況・その他

●写真ページ


アメリカアリゲーターの分布域・生息環境
アメリカアリゲーターは、テキサス州南部からルイジアナ州、ミシシッピー州を経て、フロリダ州からノースカロライナ州に至る平野部に分布している。
最も北に分布するワニで、アーカンソー州のミシシッピー川流域にも分布している。

淡水性のワニで、平野部の河川や湖沼、湿地などに生息している。


アメリカアリゲーターの大きさ・特徴

アメリカアリゲーターは比較的大型のワニで、平均すると全長2.5~4m、体重は150~350kg程もある。

体は雄の方が大きく、雄は3~4m、雌は2.5~3m程だが、体格や体つきは、食べ物や生息環境によっても差がある。

また、大きい雄は例外的に5mを超えるものも知られているが、大きいものでも全長4.5m程で、4mを超えるものは珍しいとされている。

いずれにしても、アメリカアリゲーターは全体にがっしりとした体つきをしていて、吻は長くて縦扁し、吻先は丸みを帯びているのが特徴にもなっている。

首は太くて、上側には4枚の頸鱗板がある。
尾も太くて長く、脊鱗板は8列で、いずれもよく目立つ。

四肢には水掻きをもっていて、前肢のものはあまり目立たないが、後肢のものはよく発達している。
また、指は前肢に5本、後肢に4本もっている。

体色は茶色や灰色、緑がかった黒褐色のような色合いをしているが、腹側は淡い褐色をしている。

子どもには、背側にはっきりとした黄色い横縞があるが、成長と共に薄くなり、やがて消えていく。


アメリカアリゲーターの生態・生活

アメリカアリゲーターは、平野部の河川や湖沼、湿地などに生息している。
マングローブが茂る河口域などで見られることもあるが、淡水性のワニで、塩分の高い海水には適応しておらず、長い時間は留まっていない。

普段は単独で生活していて、子どもの内は群れで生活しているが、成長と共に分散していく。

縄張りをもった生活をしていて、侵入者に対しては、大きなうなり声を上げて威嚇する。
声帯はもっているが、この音は、肺に空気を吸い込み、断続的に吐き出すことによって出している。

行動範囲は食糧事情などによって変化するが、雄は5平方キロメートルよりも広い行動範囲をもっていると言われている。
雌は普通これよりも狭い範囲を縄張りとしているが、雌雄共に、繁殖期などでは行動範囲が広くなる。

主に昼間に活動するが、時に夜間も活動する。
じっとしていることも多いので、陸上での動きは鈍いように見えるが、思っている以上に素早く動くことができる。

アメリカアリゲーターはしばしば早歩きをしていて、他の爬虫類などと違って、尾をほとんど持ち上げて歩くこともできる。
獲物を捕らえるときなど、短い距離なら一気に襲いかかるほどに速い。

泳ぎもうまく、水の中では敏捷に動きまわる。
太くて丈夫な尾は推進力を得るのに適していて、長い尾を左右に振って自由に泳ぐことができる。

他のワニ類と同様、肉食性で、子どもの内は主に水生昆虫やカエル、ワーム類、小魚などを食べるが、成長するにしたがって鳥類や哺乳類なども捕らえるようになり、カメや甲殻類、貝類などを含め、環境に応じて様々なものを捕らえ、僅かながら果実なども食べる。

獲物を捕らえる時は、水の中に体を沈め、目と鼻だけを出して、水辺に近寄ってくるものを待ち伏せしたりする。

小さい獲物は丸呑みにするが、時には水辺近くでシカアライグマ、イヌなども捕らえる。
このような大きい獲物は水の中に引き込み、食いちぎるようにして食べるが、食べやすくなるよう、しばらくは水の中に置いたままにしたり、口の中に入れたままにしていることもある。

また、大型のアメリカアリゲーターは稀にピューマを捕らえることもあり、ピューマにとっては唯一の捕食者になっている。

しかし、性質はクロコダイル科のイリエワニやアメリカワニに比較しておとなしいと言われていて、人を襲うようなことあまりないが、子どもを連れているようなものは気が荒くなる。

噛み付くだけでなく、尾で叩く力も強く、人への被害も報告されているので、無用に近寄るのは危険である。

また、気温が低いと動きは鈍くなり、川岸などに穴を掘ってじっとしていることが多く、冬に気温が下がる地域のものは冬眠する。

穴は年とともに大きくなり、しばしば20m程の長さになるが、寒いときだけでなく、非常に暑いときにも利用され、強い日差しを避けて休んでいる。
この穴には乾季でも水が溜まっていて皮膚の乾燥を防いているが、この水は水生生物や昆虫、両生類や爬虫類、鳥などにとっても大切なものとなっている。

この他、成長したアメリカアリゲーターにはほとんど外敵がいないが、子どもは大型のヘビや猛禽類、アライグマやカワウソ、オオヤマネコボブキャットなどのほか、成長したアメリカアリゲーターに襲われることもある。


アメリカアリゲーターの繁殖・寿命

アメリカアリゲーターの繁殖期は5月頃に見られ、この時期の雄は、しばしば大きな声を上げて雌を誘う。

また、人に聞こえない音を出すとも言われていて、この時は、水面に泡がたったり、波紋が広がったりすることが観察されると言われている。

繁殖は一夫多妻で、交尾は水の中で行われ、産卵は6~7月頃に見られる。
雌は泥や植物などで産卵用の塚状の巣をつくるが、巣は直径2m、高さ1m程もあり、水辺の近くに作られる。

巣の上部はすり鉢状に掘られ、長径7.5cm、短径4cm程の白色の卵を20~60個程産卵する。
その後、巣は植物などで覆われるが、巣の中の温度は、巣を覆う植物が腐敗するときに発する発酵熱で保温される。

卵は50~60日程で孵化するが、生まれてくる雌雄の発生は孵卵中の温度によって左右され、温度が低い(30℃以下)と雌が、高い場合(34℃以上)は雄が生まれ、その間では両方が生まれてくる。

また、雌は孵化するまでのあいだ巣を守る習性があり、雨などで巣が崩れそうになると、体で巣を押さえつけて整えるようなこともする。

孵化がはじまると、雌は、殻を破る音や子どもの鳴き声に呼応して植物や泥を取り省き、子どもを巣から咥えて水辺へと運んでいく。

孵化したばかりの子どもは全長15~20cm程で、すぐに水の中に入っていく。
子どもは群れをつくって生活し、半年から1年、長いものは2年程は親の近くに留まっている。

また、子どもの成長は最初の4年程は早く、1年で30cmを超えることもある。
8年程で1.8~2m程に成長するが、その後は、生涯を通してゆっくりと成長を続けていく。

早いものは6年程で成熟するが、普通は8年程度、遅いものだと10~12年程で成熟すると言われている。

寿命は長く、野生での寿命は20~30年程度と考えられているが、長いものでは50年ほどの寿命をもっている。
飼育下での寿命は更に長く、70年を超えたものが知られている。


アメリカアリゲーターの保護状況・その他

アメリカアリゲーターは、皮を目的とした乱獲や、近年の生息地の開発などによって一時は生息数が激減し、絶滅が危惧されていたこともあった。

しかし、保護政策などにより生息数は回復してきていて、国際自然保護連合では、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。

また、アメリカアリゲーターはアリゲーター科・アリゲーター属に属していて、同属のものでは中国の揚子江(長江)に生息するヨウスコウワニ(Alligator sinensis)が知られているが、同属のものが海を隔てて分布しているのは興味深いことでもある。

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