アルマジロの仲間は、いずれも装甲帯楯に体が覆われていて、頭や尾、四肢もうろこ状に守られた特徴的な体をしている。 アルマジロ類はこのよろい状の体の為に、同じ大きさのほかの動物に比べて比較的体が重く、ムツオビアルマジロでは体長が40cmでも、体重は5kg程にもなる。 硬い装甲帯楯と可動帯甲は軟らかい皮で繋がっていて、外敵に襲われたときなどは、四肢は胴、肩などの装甲の間に引っ込めることが出来るが、ムツオビアルマジロもタテガミオオカミやジャガー、ピューマなどの外敵に襲われたときなどは、体を丸めて身を守る。 但し、完全にボール状に丸くなるのはミツオビアルマジロだけで、本種を含め、他のアルマジロ類は完全には丸くはならない。 ムツオビアルマジロはブラジルの中部から東部、パラグアイ、ボリビア東部、ウルグアイ、アルゼンチ北部などに分布していて、アルゼンチンのアルマジロの中ではもっとも普通に見られる 熱帯多雨林や草原、サバンナや二次林など、幅広い範囲に生息していて、主に開けた地域に多く見られる。 体色は灰色から黄褐色、淡い赤みがかった茶色など変化があるが、腹面は背面よりも暗い色をしている。 また、腹部の軟皮や甲間などには毛が生え、毛は多い。 頭部は扁平しとがっていて、頭の甲板は大きい。 体にある可動帯甲は6~8帯で、名前の由来(ムツオビ)になっている。 尾は他のアルマジロ類よりは長く、平均して体の半分ほどもある。 また、尾の甲板は2~3の基部からなっているが、甲板底部(尾の基部)には独特の臭いを出す臭腺がある。 行動範囲は狭いもので1k㎡程度と言われていて、縄張りを主張する為、巣穴の近くなどには臭いがつけられている。 四肢の力は強く、前足には5本の指があり、いずれも鋭くて強力な爪がある。 穴掘りはとても巧みで、巣穴はふつう草原に穴を掘って作るが、巣穴は数日程で放棄され、新しいものがつくられる。 また、巣の近くには尾を引きずったあとや糞があるので見つけやすい。 この為か、ヤブイヌなどは巣穴を掘ってアルマジロを捕まえたりする。 他のアルマジロと同様、普段は単独で生活し、群れをつくることはない。 しかし、ムツオビアルマジロは基本的に夜行性の動物と言われているが、昼行性と言っていいほど、他のアルマジロ類に比べて日中にもよく活動する。 また、好んで水の中に入ることはないが、体に似合わず泳ぎはうまい。 雑食性で、木の根や果実などの植物質のほか、ミミズや昆虫類、カエルなどの脊椎動物なども食べ、時には腐肉なども食べる。 また、ムツオビアルマジロはトウモロコシ畑などの農作地の周辺にも多く生息し、農作物などを荒らす為、落とし穴などを掘ってよく捕らえられる。 決った繁殖期はなく、妊娠期間60~70日程で、1産1~3子、普通は2子が生まれる。 生まれたばかりの子どもの体重は95~115g程で、目は閉じている。 生後25日程で目が開き、9ヵ月頃には性成熟する。 動物園などの飼育下での寿命は8年~12年程度と言われているが、15年を超すものも記録されていて、20年を超えるとも言われている。 ジャガーやヤブイヌなどの外敵のほか、ムツオビアルマジロは肉や医療目的とした狩猟も行われているが、現在のところ絶滅の恐れはないとされている。 このほか、ムツオビアルマジロには次の5亜種があるとされている。 ・Euphractus sexcinctus sexcinctus (ブラジル南東部) ・E. s. boliviae (ブラジル中部や東部) ・E. s. flavimanus (パラグアイ東部やウルグアイ、アルゼンチン北東部) ・E. s. setosus (ブラジル南東部の一部) ・E. s. tucumanus (アルゼンチン北西部の一部)) 尚、南アメリカには、この他にもココノオビアルマジロなどが生息しているが、アルマジロとはスペイン語の「武装するもの(armadillo)」に由来している。 アルマジロ科の動物へ / このページの先頭へ |
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ムツオビアルマジロ